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「お前はここで死ぬはずでは無かったのだ」
神っぽい何かが言った。
真っ白な空間。愛するベースも無い。
「私は死んだんじゃ……」
しかし、神っぽいのはフルフルと首をふる。
「人間には無限の可能性がある。しかし、唯一逃れられない運命がある。それは死だ。死は平等では無い。これだけは生まれつき定められている」
「そら、皆死ぬでしょうに」
「そういうことでは無い。そういうことでは無いのだよ。つまる所、生まれつき、寿命と言うものは定まっているのだ。死神の鎌からは誰も逃れられず、逆にどれだけ願おうと、死神はその時まで迎えには来ない」
「つまり、死期だけは変えられないと?」
「そういうわけだ。お前は誤って死んだ。しかし、死神はやって来ない。だから私が修正するのだ」
「私は、死んで無い?」
「そうだ。だから、時間を巻き戻す。トラックが突っ込んで来る前に。ちゃんと避けろよ?」
「分かりましたとも。じゃあ、さっさと戻してくれ」
「しかし、こちらのミスでもある。だから、特別にオマケを与えよう」
「私の声を重低音にしてくれるとか?」
「そうでは無い。そうでは無いのだ。ただ一つ、皆が知りたい事を教えるだけだ。10年。お前の余命だ」
そして、フッと意識が遠のく。酒匂千歳17歳。27で死ぬ運命だ。そして、ベースは俗称であり、本来の名前をベースギターと呼ぶ。