表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

再襲撃

数日が経ち、乃斗は不安な日々を過ごしていた。家の周囲から妙な物音が聞こえる夜が続き、深きものたちが再び彼の命を狙っていることを感じていた。彼はショットガンを肌身離さず持ち歩き、「エルダーサイン」の本を何度も読み返していた。


本の中には多くの呪文が記されていたが、特に「破壊」の呪文に乃斗は目を留めた。説明によると、この呪文を唱えると、相手に激しい頭痛を引き起こし、顔や手が腫れ上がり、体液が絞り落とされることで視力を奪う効果があるという。


「もしものときのために覚えておかないと…」


乃斗はその呪文の言葉を何度も唱えて、発音を体に染み込ませた。言葉を声に出すたび、部屋の空気が僅かに変わるのを感じた。まるで、呪文そのものが彼の中に力を宿しているかのようだった。


その夜、乃斗はいつものように本を読みながら眠りに落ちた。しかし、深夜に不意に目を覚ました。外から這いずるような音が聞こえてきたのだ。彼は息を潜め、音のする方向に目を向けた。窓の外に、不気味な影がうごめいているのが見えた。深きものたちだ。彼らが再び現れたのだ。


乃斗はショットガンを手に取り、破壊の呪文を唱える準備をした。彼の心臓は激しく鼓動していたが、恐怖を振り払うように冷静さを保とうと努めた。


「ここに入ってきたら…」


窓が激しく叩かれ、ガラスが割れる音が響いた。乃斗はショットガンを構えながら呪文を唱えた。その瞬間、彼の手のひらが微かに輝き、呪文の力が解き放たれた。窓から侵入してきた深きものに光が触れると、彼らは突然苦しみ始めた。


深きものたちは頭を抱え、激しい頭痛に苦しみながら呻き声を上げた。彼らの顔や手は見る見るうちに腫れ上がり、体液が滴り落ちて視力を失っていく様子が見て取れた。彼らの動きは鈍くなり、やがて地面に崩れ落ちた。


「これが…破壊の呪文の力か…」


乃斗はその光景を見て、呪文の強力さに驚きを隠せなかった。同時に、この力が自分を守るための唯一の武器であることを強く実感した。だが、安心する暇もなく、さらに多くの深きものたちが窓の外に現れた。


彼はもう一度ショットガンを構え、弾丸を次々と撃ち込んだ。深きものたちは弾丸を受けて倒れていったが、それでも次から次へと押し寄せてくる。


「これじゃキリがない…!」


乃斗は再び破壊の呪文を唱え、彼らの動きを封じようとした。呪文の効果が発動すると、深きものたちは再び苦しみ始め、動きが鈍っていった。だが、呪文を唱えるたびに乃斗の体力も限界に近づいていくのを感じた。


「もう…これ以上は…」


彼は倒れそうになりながらも、必死で自分を奮い立たせた。その時、耳元でかすかな声が聞こえた。


「よくやった、少年。だが、これはまだ始まりに過ぎない。これからが本当の試練だ。」


その声は、どこかで聞いたことがあるものだった。乃斗はその声の主が誰なのかを思い出そうとしたが、意識が薄れていく中で、それを知ることはできなかった。彼はそのまま深い眠りに落ち、次の戦いに備えて体を休めるしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ