わが伯爵家は生き残るために独立国家を樹立しようと思います!
「急報です。今回のクーデターは首謀者であるヴェガ-侯爵家当主ルイス・ヴェガ-侯爵様が帝国軍に拘束されたことにより失敗に終わりました」
1750年7月に同年の2月にベルガ帝国で起こったクーデターは突如終結したのだった。
反皇帝派でクーデターに参加した貴族たちは今後家をどのようにして残すかを考えていた。
そして、ケルギ伯爵家もその一つだ。
先の報せを聞いたケルギ伯爵は気絶したのだった。
「という訳で、今から私が主人に代わってわがケルギ伯爵家をいかにして残すかを決定させていただきます」
と伯爵家の面々に対して言い放った。
「母上、貴方の意見を伺いたいのですが…」
「そんなの決まってますわ」
と息子のへフェスの声を遮って言った。
「ケルギ王国を樹立するのよ!」
何でもないようにこんなことを言うとは恐ろしい。と、へフェスは思ったがもうすでにクーデターに参加して失敗に終わっているので取り潰し、最悪処刑されることはわかりきっているのでこれに同意することにした。
「分かりました。母上」
「理解が早くて助かるわ」
「でしたら私に初代国王の座を頂けますか?」
「は?いえ。それは出来ません。貴方が初代国王になったら一代で終わってしまいますから。」
「母上、さすがです。よく私のことを理解しておられる。私でしたらすぐに王国から帝国に変えるので「ケルギ王国」は一代で終わってしまいますもんね」
母上も他の面々もなぜかあきれたような顔をしていた。
「そういう事ではなく、貴方が初代国王になってしまったら国が滅ぶのです。貴方はまだ爵位も継いでいないのですよ。そして領民ともほとんど接していない貴方に領民がついてきてくれると本気で思っているのですか?」
答えに詰まっていると父上が目を覚ました。
「私が気絶している間に神からのお告げがあった。それは、2日後にこの家の者は皆処刑されるとのことだ」
それを聞いてその場にいた者全員が言葉を失った。もうすでにクーデターの首謀者であるヴェガ-侯爵様は捕まっており反皇帝派の軍も武装解除しているためクーデターに与した貴族も捕らえられ始めているという情報も届けられた。
「しかし、それを回避する方法が1つだけあることも告げられた」
「父上、それはどのようなことでしょうか?」
「それは私にも分からない」
この役立たずの夫なんかよりへフェスの方がよっぽど有能だわ。と、夫の今の言葉を聞いて思ったので私は意見を述べることにした。
「ケルギ伯爵、貴方以外には言いましたがケルギ王国を樹立しようと思うのですがいかがでしょうか?」
「国王がわたしで皇太子がへフェスの国か、悪くないな」
「いえ違います。へフェスが国王です。貴方の出る幕はありません」
そうこうしていると、帝国軍の兵士が入ってきて全員捕らえられたのだった。
「まさかクーデターが失敗したら、今度は独立国家を樹立しようとするだなんて処刑は免れませんね」
と、隊長らしき人が言った。
「許しを求めた貴族は当主の交代だけで済んでいるのに残念ですね」
という訳で、わがケルギ伯爵家は絶えてしまいましたが、皆さんも何か悪いことをしたらちゃんと謝りましょうね。もしかしたら許してもらえるかもしれませんよ。