人生初のバトルイベント〈二日目〉
二日目!と言いつつ現実では結構経ってる…
シュウウウン…
「ここが二日目のエリアか…」
さざ波がさらさらと音を立てる美しい海辺だった。
「うわめっちゃ綺麗!ここの絵描きたいな〜!」
とティーアが興奮していると、誰か来た。そうだ、今はバトルイベントの途中だったと我に帰る。
ザッザッザッ…
「ん?」
でてきたのは、小さな子供だった。だいぶ…世間で言う『ショタ』感がある。
「あ…こ、こんちは~…」
とりあえず挨拶してみた。が、何も言わない。すると、私を見るなりその人はびっくりしたように目を丸くして近づいてきた。
「お…お前!そのベレー帽!お前はお前はお前はー!!」
「え!?ななななんですか!?」
わなわなと震えながらその人は言った。
「お前は……お前か!?ぼくのドラゴン君を横取りしたのは!!!」
「よ、横取りぃ!?」
「あのダンジョンにいる激強ドラゴン君は元々ぼくが狙ってたんだ!!」
「いや、そもそも誰よあなた!」
「お前みたいな泥棒猫に名乗る名前はない!」
「ええ…?泥棒猫て…」
予想以上に恨まれているようだ。だが、そもそも早くダンジョンに来なかったこの子の責任でもあるだろうし、今更横取りと言われても困るのだが…それにこのゲーム一応モンスターをペットに出来るし、何もおかしいことはないと思う。
「とりあえず…私はどうすれば良いのだろうか…」
「戦うに決まってんだろ!お前をボッコボコに倒してドラゴン君の目を覚ますんだい!」
「ええ…なぜそうなる…」
「お前竜使いじゃないだろ!竜使いであるこのぼくを差し置いて何ドラゴンを飼ってんだ!!」
「………はぁ?そんな横暴な…」
「アルオンのドラゴンは全て竜使いの物!アルオン暗黙のルールでしょ?」
「すべっ…はぁ!?何言ってるのかわかんないけど、あんたみたいな独裁者気質の子供に、アオは渡しません!」
どうしても腹が立ってしまった。何だそれ。つまりこの少年は、竜使いがアルオン内全てのドラゴンを手に入れるのが当然だと思ってるらしい。
「いやいやおかしいでしょ!」
「おかしくない!アルオンでドラゴンを飼えるのは竜使いだけなんだぞ!」
「ええ!?」
〜〜〜〜〜
『ええ!?』
ここはアルオンの最初の街にある広場。そこには沢山の人がバトルイベントの様子を見ようと集まって来ていた。その中に、一人ベンチに座り、画面をじっと見つめる少年…ティーアを師匠と呼び慕うバルだ。
「竜使いが強いってのは知ってたけど…ドラゴンを飼えるなんて…めちゃくちゃだ…」
この男、自分の師匠の方がもっとめちゃくちゃであることを知らない。
長くなりそうなので一旦ここで切ります!勝手をどうかお許し下さい…