人生一発目のダンジョンで親友が死にました
いつの間にか沢山ブックマークされてる…本当にありがとうございます!これからも読んでいただけると幸いです!
『なんとなんと!最高レベルが1600までアップいたしました!』
「………………え?」
「最高レベル上がった!やった!まだまだ育成出来る!ね、ティー…ああああ!!?」
「せんろっぴゃく…せんろっぴゃく…せん…ろっぴゃ……く………」
「落ち着いてティーア!すごい状態異常になってる!なに!?洗脳!?混乱!?」
「どっちでもない…」
「なによ?レベルMAXの威厳無くなったのが悲しい?」
「違う…」
「じゃあなに!」
「1600なんて!もしレベルMAXにした人と戦うことになったら一瞬で殺されんじゃん!私が出来たのにゲーマーが出来ないわけが無いよ!!」
「あんたねえ…せめて自分でフラグ立てるの辞めなさいよ…」
「フラグってなに!?」
「知らんの!?」
「プラグは知ってる!」
「プラグじゃないフラグ!」
『1600にするにあたって、必要なのはやはりステータス!ということで、ステータスの上限も、全て9999までとなりますわ!』
「大幅アップだ!これは腕がなる!」
「ええ…」
『やはり!レベルだけでは物足りませんわよね!ご心配なく!アルオン内には新たに六つのエリア、そして300以上のダンジョンが作られました!もちろん、そこを守るボスモンスターもダンジョン内に潜んでいますわ!中には王級のモンスターもいるかも……!ちなみに、新エリアに行けば今までよりも多く経験値を得る事ができるので、ぜひ活用して下さいな!では説明はここまでですわ!皆様!新しくなったアルライトオンライン、これからもよろしくお願いいたしますわ!』
パチパチパチパチパチパチ…
「新しくなったって…まずなにをすれば!?」
「そりゃあダンジョン行って装備とか武器を集めるんでしょうよ」
「だだだダンジョンってどこ行けば…?」
「そうだなあ…まずはあの山のてっぺんにあるダンジョン行く?なんかいい装備や武器がありそう!」
「一人で行ってよ…」
「ダメよ!こういうときは二人で行くのがセオリーなの!」
「うええ…セオリーなんて嫌い…」
ぐだぐだ言いながらも結局ダンジョンへ
「どうすればいいのさぁ?そこから教えてよお…」
「まずダンジョンにあるのはやはり宝への道を阻むモンスター達かしら!強かったり弱かったり色々よ」
「ええ?強いのはやだなぁ…」
「なにを弱気になってんのよレベル1000!」
「あんたレベル1000を神かなんかと勘違いしてない?」
「ええ?そう?」
「私は!!ただの絵描きです!!!!」
「ちょっと!そんな大声出したら…」
「え?」
わらわらわらわらわら…
「ぎゃー!なんかきた!」
「こいつら音に反応するのよ!もお!めんどくさいの呼び寄せて!!」
「ごめんなさい!!どうしよう!?」
「仕方ない…スキル、"紅の炎"!!!」
シュナが呪文のような言葉を唱えた途端、杖から紅々と燃える炎が出てきたと思うと、一瞬で炎は広がり、モンスター達を焼き尽くした。
「うわ…すごい…」
「レベル970舐めんなよ?」
「970!?ほぼ1000じゃない!?」
「いや、最高レベル1600まで上がったからまだまだ!」
「ええ…」
その後もいろんなモンスターが出てきたが、ほとんどシュナに任せっきりなので割愛する。そしてたどりついたのは大きな扉。綺麗な水色をしている。
「色的に水属性かしら…私水系統苦手なのよね…」
「なんで?」
「私が得意なの炎魔法なのよ!だから水属性のモンスターだと不利なの!」
「へ〜」
「あんたも戦いなさいよ?私道中で魔法使いまくったせいでMP少ないんだから…」
「ええ!?」
「ほら行くわよー」
ギイイイイ…
「待って待って私魔法の使い方も攻撃の仕方もわかんない!待って!お願い!」
バタン
「あばばば来ちゃった…」
「今更でしょ。期待してるよ!」
「そんなあ…」
ギャアアアオオオオ!!!!
恐ろしい咆哮がフィールドに響く。
その咆哮の主は澄んだ湖のような美しい色をしていた。ただ、見た目はまさにドラゴン、という感じの見た目をしている為、怖さは全く消えない。
「やっぱり水系統か…キツいな…」
「うそ!?不利!?シュナ不利!?」
「圧倒的に不利」
「そんなあ!!」
「ん?」
「どうしたの?」
「あいつのレベル…おかしい…」
「え?」
「普通ボスモンスターってたとえ王級でも800までなんだよ。あった事あるから知ってる。でもあいつのレベル…明らかにおかしいよ!」
「おかしいって…どういうこと?」
「だってあいつの頭の上のレベル…」
「え?頭の上?」
ティーアはドラゴンの頭の上を見た。なにか数字が書いてある。その数は…
「レベル……」
「1300…?」
またもや咆哮が響く。するとなにか大きな波のような水の塊がこちらに流れてきた。攻撃してきたのだ。
「っ…ティーア!」
「シュナ!?どうし…」
「転送!!!!」
「へ?」
シュンッ
いつの間にかティーアは波の届かない程高い場所にいた。
「シュナ?シュナー!どこ…あっ…!」
下には波に飲み込まれた親友の姿があった。
「シュナ!!!!」
ザ、ザザ…ザザザ……
シュナにノイズがかかる。デスポーンの合図だ。
「ティーア…あとを……よろし…く………」
シュナが消えたと共に、シュナが戦闘から離脱しました。という無慈悲な報告が流れてきた。
「シュ、ナ………」
これはあくまでもゲーム。死んでも復活する。わかっている。わかっているのだ。でも。
「たとえゲームでも!私の親友を殺したあなたを許せない!!」
ドラゴンの近くに移動したティーアは即攻撃を始める。やり方はわからない。だから、
「あなたの攻撃を、氷で真似する!!」
「スキル、"氷の嵐"!!!!」
なぜ呪文を言えたのかはわからない。ただ、感覚で目の前の水を凍らせる。それだけを考えて。ありったけのMPを注ぎ込む。
すると、たまらないと最後の咆哮をあげ、ドラゴンは倒れた。たとえレベルが1300だとはいえ、999全てのMPを注ぎ込んだ氷攻撃には耐えられない。ティーアの勝利だ。
「はあ…はあ…はあ…はあ…」
「やった…勝った……」
全てのMPを一気に消費した為、アバターにも負荷がかかったのか、体が少し重く感じる。
「ふう…」
「よし、外行ってシュナに会いに行こう…」
戦闘から離脱したのならば、きっとダンジョンの外にいるはずだと外へ出ようとすると、静かな声が聞こえた。
『その氷は』
「え…?」
振り向くと、黒い布のような物をかけた謎のNPCがいた。頭の上には「勇者」という名が浮かんでいる。
『時に正義をも凍らせる』
「……正義?」
「それってどういう……あ…」
いつの間にか、勇者は姿を消していた。
「いない…」
なんだったのだろうと勇者が立っていたところを見ると、綺麗な虹色に光る宝石のペンダントが落ちていた。
「忘れ物かな…」
「まあいいや!次会ったらわたそ!」
そう言ってティーアはダンジョンを出た。
今回も読んでくださりありがとうございました!