第六話「連携を取れ」
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飛びかかってきた怪鳥を、悠誠はその機動力をもって、
祈光は成長させた木をもってそれぞれ回避する。
「まず一発っ、二弦!」
ベースの弦音波による技の発生速度は、五弦から一弦に向かうほど早くなり、
その分威力は弱まっていく。だからこそ悠誠は
ここで使い勝手のいい二弦を選択したのだが……
『グルゥァッ!』
「悠誠、避けられたぞっ!」
「知ってる!おい、祈光!お前の蔓使ってあいつの動き止めれへんか?」
「分からん!やってみるわ!」
落ち着いて木の蔓を構え、怪鳥の動きを見つめる。
『ギィァアアヤアアア!』
「来たッ!行くぞ!」
唸るような猛スピードで蔓が怪鳥を捕える。
「うっしゃきた!」
「ようやった祈光!今のうちに俺がっ」
『うぎぃえええあ!』
「くっそ…っ!?」
「蔓が…千切られた…!」
細い蔓で拘束できるほど3mの怪鳥は甘くない。
「くっそ…どうすればっ!」
「おい祈光っ!俺が時間稼いどく!あいつ止めれるくらいの密度の蔓用意してくれんか!」
頼んだぞ、と続ける悠誠の期待に応えるべく祈光は魔法を練り上げるのだった。
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極度の集中を持って魔法を練り続ける祈光を置いて、
悠誠と怪鳥は苛烈な戦闘を繰り広げていた。
「おいっ祈光!まだなんか!」
「あとちょっと待っててくれ!」
そうして会話をする隙にも飛び込んでくる
怪鳥を悠誠は舌打ちと一弦による音波を飛ばす。
タイミングを測った攻撃は怪鳥の翼を掠めるのだが…
「やっぱ、一弦じゃダメージ入らんわなぁ……。」
「おい悠誠、準備完了や!」
「ないすぅ、祈光ぁ!」
「おい焼き鳥!こっち…来いやぁ!」
そう叫び、怪鳥を煽ると、狙い通り
怪鳥は祈光の元に飛び込んでくる。
「生物学《発芽》極限!」
『ATP、生命の神秘だね!』
今度は静かに伸びた極大の…祈光の太腿程はありそうな
蔓が怪鳥の全身に巻きついてその身の動きを封じる。
『ギィヤァウォオオアアー!』
格下だと思っていた相手に捕らわれる屈辱に怪鳥は
その身を捩り、唸る。しかし蔓は…千切れない。
「よくやった!祈光ぅ!」
その期を逃さず構えた悠誠が弦を思い切り指で弾く。
「指弾き*五弦」
衝撃が、辺りの木々を揺らした。