第二十一話「報告へ」
決意を固めた所で折り重なった疲労がピークに達したのか、
祈光はすぐに眠ってしまった。
目が覚めた時には空はもうオレンジ色になりかかっていて、
慌てて祈光は目を覚まし、隣室の悠誠を起こしに行った。
その時には悠誠はもう目を覚ましていて、呼びかけると
直ぐに出てきた。これから二人はギルドに向かって、
依頼達成の報告と、突然変異種のスライムについての
説明をしに行く。依頼達成のお金が入れば
お金は後で払ってくれていいと言ってくれた宿屋の亭主に
今日泊まる分も合わせて二日分、払うことが出来る。
「んじゃ行くか。」
「よし、ちょっと急ごう。結構遅くなったしな。」
そう行って二人はギルドに向かった。
ギルドの木製のドアを開けると直ぐに、
受付嬢のキーラさんが話しかけてきた。
「あ、祈光さん!悠誠さん!」
「あ、こんにちはー。」
「あ、こんにちはー。じゃないですよ!私すっごく心配したんですよ!?」
怒ったような、それでいて安堵したような表情でそう言ったキーラに、
祈光達は心配してくれた事への感謝と謝罪をそれぞれ
口にする。
「あ、キーラさん…でいいんですよね?」
「はい、その通りですが……あぁ、シルヴィアさんに教えて貰ったんですね?」
「そうです。あの、依頼の達成の報告をしたくて。」
祈光がそう言うと、キーラは呆れた風なため息をついて答えた。
「依頼の報告ですね?いいですよ。じゃあ、確認するので
ステータスプレートを見せてください。」
そう言われ、祈光達はステータスプレートを渡して
受付前で待つ。
「ええぇぇぇぇええええええ!?」
突然、受付の奥の方からキーラの叫び声が聞こえてくる。
周りの冒険者は奥を見てザワザワとしている。
祈光達も呆然として立ち尽くしていると、
キーラはドタドタという足音と共に戻ってきた。
「ねぇあの!倒したんですか!?」
「?」
質問の意味が分からず首を傾げていると、キーラさんは続けて聞いてきた。
「変異種スライムです!倒したんですか!?」
「あ。」
その報告も兼ねていたという事を二人はすっかり忘れていた。
「ちょっと流石に…ちゃんと聞かせて貰いますよ?」
そう言われて、沢山の冒険者たちからの視線を背中に、
二人はキーラに受付奥の小部屋へと連れていかれた。
区切りが良かったので今回は少し短めです。