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転生特典は「生物学」でした。~バンドメンバー&生物教師と往く異世界冒険譚~  作者: 片想い崩壊's
第一章:再会の時、冒険譚の始まり。
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第十四話「降り注ぐ、降り注ぐ。」

牽制の一撃を放とうとした二人を目掛け、突然変異スライムより

高速で粘性の液体が射出される。

咄嗟にそれを回避した二人は、常識外れの光景を目にした。


液体に触れた部分から地面が融解を始めている。


「はっ…?」


「おい祈光!ボサッとするな!」


片翼の者(フリーゲン)》によりヘドバンの推進力で飛行する

悠誠の言葉の言葉が頭上から届き、祈光は我に返って走り始める。

その頭上に撒き散らされるのは当たれば皮膚を貫き肉を焼く強酸の雨。

幾度も広範囲に散布される液体を祈光は直ぐに出せる最大サイズの蔓で塞ぎながら、

悠誠は一弦音波によって散らしながら、それぞれ反撃の隙を見極める。


強酸の密度が小さくなった一瞬の間を狙い、二人は同時に攻撃を図った。


「《生物学(プライモーディアム)》!!」


「《空震(レゾナンス)》ッ!」


生成・顕現された直径五十センチほどの植物の蔓が、

溜めて放たれた《四弦》による一撃が、それぞれ

変異スライムの頭部に迫り、その巨体を潰さんとする。


「くっそ!」


「効いてない!」


然してそれらは対象に十分なダメージを与えるに足らず、

それどころか無駄な刺激としてスライムの怒りを増幅させる。


祈光達に攻撃された怒りをもって、スライムは鞭のように唸る触手を振るった。

祈光は咄嗟に飛び退こうとするが、触手は眼前に迫っており、

回避行動は取れそうにない。


「ぐっっっっ!」


祈光は蔓を生成して何とか攻撃を逸らそうとするが、瞬時に生成した

細い蔓ではそのスピードをごく僅かに緩めさせる事しか出来ない。


敢え無く引き()()()()()それを見て、祈光は一つの気付きと共に覚悟を固める。

腕をクロスして攻撃に耐えようとする祈光の眼前に、悠誠が不敵な笑みを浮かべて

立っていた。


「そう攻撃して来ると、思ってたぞ!」


そう叫んだ悠誠が放ったのは四弦によるハンマリング。

反動によって悠誠の指先に血が滲み、その飛行も揺らぐが、その代償

複数回放たれた衝撃波は、迫る触手に対抗してぶつかり、触手の威力を散らして消えていく。


轟音の果てに触手は衝撃波に穿たれ、弾けて崩れて地面の染みになった。

スライムが痛みに苦しむ間に、二人は情報を素早く共有する。


「さっきの効いてたな!」


「あぁ。多分溶解効果のある本体とか粘液と違って、あの触手は…」


「あぁ。俺が出した蔓は、溶かされたんじゃなくて()()()()()

つまりあの触手には溶解効果がない、そうだな?」


「そうだろうな。っと、来るぞ!」


「おう!」



スライムの双眸が祈光達を捉え、睨む。

粘性の液体の射出とともに、変異種と祈光達との

戦いの火蓋はもう一度切って落とされるのであった。





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