第十一話「常識ですよね・・・?」
わたたとDOGの出会いのシーンについて説明を追加しました。
ご了承ください。
丁度良く魔狼を10匹狩る依頼があったので、それを受けて
祈光達は街の外へ出てきた。受付の人曰く、
魔狼は二本の鋭い牙と爪、角などが素材として売れるらしく、
依頼が正しく達成されたかどうかはステータスプレートを見れば分かるらしいのだが…
まさかりえりえ先生との解剖がここで活きてくると思っていなかった。
そこらの石などから魔物をそこそこ綺麗に捌く技術は、
りえりえ先生の指示なしの祈光達ではほぼ不可能な芸当だっただろう。
「よっしゃ十匹目解体終了ー!」
「疲れたなぁー。」
「これで野宿は避けれるぞ!」
「やったな。」
「なんかお前反応薄くね?」
「疲れとんじゃぁボケぇえ。」
「そかそかすまん。」
「いいよーっと、んじゃ、戻るか。」
「そうしよう。」
そうして街へ戻り、冒険者ギルドまで素材を抱えて戻ると、さっきの受付の人が
驚いた表情で話しかけてきた。
「え、それ…どうしたんですか!?」
「え?」
「ん?」
「それですよ!魔狼の素材です!」
「え…さっき森に入って狩ってきました。」
そう告げると受付嬢(仮)は呆れたような、納得したような表情で言う。
「冒険者登録の時に併せて説明しておけばよかったですね…。
まさかアイテムボックスをしらないとは…。」
「…………アイテムボックス?」
「ナニソレ?」
「普通に生活してきたら知っていると思っていたのですが…」
「そんなに常識的なものなんですか?」
「当たり前ですよ!文献によればダンジョンで見つかった無限に物を収納でき、
中の状態もほぼ永遠に保たれるというそれを、太古の魔法学者が研究に研究を重ねて
複製に漕ぎ着けて100数十年!中の状態が保たれるものや、無限に収納可能なものは未だ貴重な物ですが、
そうでない、容量の制限があったり保存がされないものなんか
今では辺境の村の子供でも全員持ってるって言われているんですよ!?」
「そうなんですか…。(すっごい説明的な文章だ…)」
「へぇ…。(めっちゃ説明的やなぁ)」
「まぁ、何かしら理由があるんでしょうし、もう気にするのはやめておきます。」
「それは…ありがとうございます。」
「いえいえ。アイテムボックスくらいならすぐ近くの道具屋でも売っていると思うので、
後で買うことをオススメします!」
「そうします!」
「さて、ではそちらの素材を売却しますか?」
「はい、お願いします。」
「まずはステータスプレートをお渡しください!」
「どうぞ。」
受付嬢は受け取ると奥へ入って直ぐに戻ってきた。
「依頼の達成、確認できました!依頼達成の報酬は、素材の売却額と併せてお渡ししますね!
あとは…魔狼の角と牙と、爪、皮などですね。
…それにしても、すごく綺麗に剥ぎ取られていますね。どうやって回収したんですか?」
「あーー、えっと…。」
「森に落ちてた石で…。」
「石で!?石でこんな綺麗に!?」
「まぁ、色々あって…。」
祈光と悠誠はそう苦笑して答える。
未だ驚きの中といった様子の受付嬢はまたため息を付いて言った。
「もう何も気にしないことにします…。気を取り直して、買い取りの方ですね。
依頼達成金が銀貨2枚。素材のほうが銀貨1枚と銅貨5枚となります!」
「えーーっと、とても言いづらいんですが…。」
「??どうかしましたか?」
「お金についてなんですけど…」
「…。続けてください。」
「銅貨一枚って…どのくらいのお金なんですか?」
祈光の言葉を聞いた受付嬢はパタリと倒れ込んで動かなくなった。
周りの冒険者らからマジかこいつら…。という視線が突き刺さる。
「いけませんね、一瞬気を失ってしまいました…。」
「あの、なんかすみません。」
「いいですよ。通貨についてですね?
銅貨一枚は、露天商で売っているようなものであれば、
だいたい焼き鳥を一本買えるくらいの金額です。」
「なぁ悠誠。焼き鳥一本って日本円でどんくらい?」
「100円前後ちゃう?」
「へぇー。」
「…続けますね。小銅貨十枚で銅貨一枚分。銅貨十枚が銀貨一枚に相当する価値があります。
銀貨十枚は金貨一枚、金貨百枚で大金貨一枚分です。」
「そうなんですねぇー。」
「安い宿なら銀貨一枚で泊まる事が出来たりしますよ。」
「へぇーーー。」
「もう…何もないですよね…?」
「多分…大丈夫です。」
「…。では、こちらが報酬になります。」
「ありがとうございます。」
そうして祈光達はお金を受け取り、生暖かい冒険者らの視線を感じながら
ギルドを出るのであった。