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迅雷の魔女の生涯  作者: アレン:re
新しい出会いと厄介ごと
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ギルドでの不当な言いがかり

朝起きた私たちは、いつもの通り少し時間をおいてからギルドに来ていた。


「ラルーナ様、おはようございます!」


「レイナさんおはようございます!換金をお願いします。」


「わかりました、少々お待ちください!」


そう言ってレイナはいつもの通り革袋を引っ提げて奥に下がっていく。


(ここが冒険者ギルドか?ずいぶんむさくるしいものが多いな・・・)


私の首元からひょこっと顔を出したスイが、首を振って辺りを確認した後にそう漏らす。


「ちょっと、あんまり顔を出さないでよね!バレたらどうするのよ!」


私は小声で首元のスイに話しかけながら、フードを深くかぶり直す。

こんな目立つ魔物を連れているのが見つかれば、またいらぬ注目を浴びるかもしれない。

ただでさえ最近面倒ごとばかリ起きているのに、これ以上の面倒はごめんだった。


「それにしても・・この時間にしてはなんだか冒険者の数が多いような・・・」


辺りを見渡せば、いつもより多くの冒険者が話し合っているのが見える。

何か問題でもあったのだろうか、そんなことを考えながら待っていると、奥からレイナが帰ってくるのが見えた。

ちょうどいいと私は帰ってきたレイナに疑問をぶつけてみることにした。


「お待たせしました!こちらが報酬になります。」


「ありがとうございます。あの、レイナさん・・何か起きたんですか?なんだか今日は冒険者の数が多いような気がするんですが・・」


「あぁそのことですか・・そうなんです、昨日の夜に街を出てすぐの所にある森に行っていた冒険者の方が持ち帰った情報なんですが、何でも森の魔物の様子がおかしいらしいんです。」


心当たりのある情報に目を見開く。

もしかしたらそれって・・・とりあえず詳しい話を聞いてみようと、もう一度質問を投げかける。


「えっとー、おかしいとは具体的にどのように・・・?」


若干上ずってしまった声は、幸いにもレイナには気づかれなかった。


「聞いた話によりますと、その情報提供者は少し森の奥の方で依頼されていた夢キノコというものを採取しに行っていたそうなのですが、そこで魔物同士が争っているのを確認したそうなのです。なんだか魔物の様子も興奮状態だったらしく、何かあの森で問題が起きている可能性が高いため、現在ギルドでは調査にいっていただける冒険者の方を募集しているんです。あちらにいらっしゃる方々は、その依頼を受けようと集まった方々だと思います!」


「あはは、そういうことだったんですか・・・物騒な話ですね・・あは・・・」


完全に私たち絡みの件だった。

昨日あのまま複数を残して立ち去ってしまったため、残った魔物たちを後から見られたのだろう。


(ふむ、完全に昨日の出来事と一致するな・・)


「もうそれ以上言わないで・・・はぁ頭痛くなってきた。」


「ラルーナ様?」


「はい!!あっすみません少し考え事してました・・あはは。」


「はぁそうですか・・それよりも、ラルーナ様もいつも狩場にしているのってあの森でしたよね?今は何があるかわかりませんので、森に赴く際は十分にお気を付けてくださいね?」


「はい、気を付けます・・・ありがとうございます。」


「まぁラルーナ様なら、いつも運んでくださる魔物を見るとオークなんかも倒されているようですし、あまり心配はいりませんでしょうけど!あっそうそう!昨日調べてみたんですけど、その歳でランクアップされた方はいまだいないそうですよ!凄いですね、さすがラルーナ様です!いつもたくさんの素材をギルドに持ち込んでいただいてますし、この調子でどんどんランクアップ目指して頑張ってください!」


「あーあはは、頑張ります・・・」


いつものレイナのよいしょに、乾いた笑みを浮かべながらそう返す。

正直なところ、強い魔物と戦うためにランクアップすること自体は嬉しいのだが、そこまで固執しているわけではない。

最悪ギルドを通さなくても、強い魔物とは戦える。

手っ取り早く稼げるから冒険者を選んだのであってSランクを目指す、みたいな目的は持ち合わせていなかった。


私たちがそうやって少々長いこと話し込んでいると、私の後ろから不機嫌な声が聞こえてくる。


「おい、俺はいつまでここで待ってりゃいいんだ?あぁ!?」


「ヴァロットさん!すみません!」


レイナが後ろの男の名を呼んで謝罪する。

しかし男は謝罪を受け入れることなく、さらに突っかかってくる。


「よぉ嬢ちゃん、お前のうわさはよく聞くぜぇ!何でも他の冒険者が倒した魔物を漁って不正をしているらしいじゃねぇか!」


いつの間にそんな噂が立っているのだろうか。

それを聞いたレイナは、顔をしかめて思わずといった感じで言い返す。


「そ、そんなことはありません!!ラルーナ様はちゃんと自分で魔物を倒しています!根も葉もない噂を信じるのはやめてください!」


私より怒っているレイナを見て逆にこちらの怒気が収まって冷静になれた。

しかしヴァロットと呼ばれた男は言い返されて更に頭に血が上ったのか、声を荒げてなおも私を貶めるような発言をしてくる。


「不正でもしなくちゃこんなガキがランクアップなんてできるわきゃねぇだろうが!おかしいだろ!まだ乳臭いガキがこんなに早くランクアップなんてできるわけねぇぜ!」


その声を聴いて、私たちに視線が集まっていく。


口々に「なんだ喧嘩か?」、「そうだそうだ!」、「情けない男だ・・」等と好き勝手に喋っているのが聞こえてきた。


「つまりヴァロットさんはラルーナ様がこんなにも早くランクアップしたからって嫉妬しているんですか?あなたは確かDランクでしたよね?自分より下の冒険者のことなど気にしている暇はないのでは?」


「ちょっとレイナさん・・!」


レイナがあまりにも食い下がるのを見て、思わず止めに入る。

私に矛先が向いているうちはどうでもいいが、私のために怒ってくれているレイナに矛先が向かうのは勘弁してほしかった。

しかし、止めるのが遅かったのか、ヴァロットは怒りの矛先を完全に私以外に変えたようだった。


「なんだと?受付嬢の分際で舐めてんじゃねぇぞ!!てめぇ殺してやる!!」


「・・・・!」


冒険者の剣幕に気丈に振舞って睨み返しているレイナであったが、その顔には隠し切れない恐怖が浮かんでいる。

私はとりあえずこの場を収めようとヴァロットに向き直り、宥めようとする。


「あの、落ち着いてください!ここでそんなことしたら大ごとになりますよ!」


しかし、頭に血が上っている男には響かない。

私は周りを見渡して誰か助けてくれる人はいないのかと視線を向けるが、冒険者たちは大半が面白いものを見るような目でこちらをにやにやとみているだけだった。

何人かは止めに入ろうとしている者もいたが、周りの冒険者に止められていた。


そんな冒険者に心の中で悪態をつきながらどうしようか考えていると、ついにヴァロットがこちらに向かってきた。

周りの目は完全にこちらにくぎ付けになっている。


腰に差していた剣を抜いてまでこちらに向かってくるヴァロットにどうしようかと頭を悩ませていると、突然目の前に水球が浮かんでヴァロットに向かって飛んでいく。


「ぐわぁ!!」


勢いよく射出された水球に反応することができず、ヴァロットは腹にそれをもろに食らって玄関の扉まで吹っ飛ばされる。

勢いはそのまま止まることなく、扉を破ってそのまま外までゴロゴロと転がっていった。

周りは余りの突然の出来事に皆目を丸くしていた。

私だってそうだ、何が起きたのかわからずその扉を見つめることしかできない。


すると、頭の中に聞きなれた声が響いてくる。


(全く煩わしいやつだ、品性のかけらもない。あのような下種がこの世に生きていることが間違いだな。)


私が首を下に向ければ、ローブの襟元から顔を出したスイがなぜかどや顔をしていた。

助かったのは事実だが、今この注目されている状態で出てくるのだけはやめてほしかった。

急いでフードを深くかぶり直し、また何か問題が起こる前に早々にギルドから出ていくことを決意する。


後ろで未だ呆けているレイナを一瞥し、私はギルドを後にするため走って出ていく。

その途中ここにいる全員の視線を背中に受けているのを無視して、私はギルドを飛び出した。

外には人だかりができており、何事かと視線を向ければ、どうやら気絶しているらしいヴァロットを囲んでいるようだった。


それを確認した私は、逃げるように門まで走った。



ラルーナが去ったギルド内は、現在騒然としていた。

話題は決まってたった今起こったことに対してだ。

皆が口々に近くにいた冒険者と話し合う。


「おいおいヴァロットの野郎やられちまったぜ!あのガキがやったのか?」


「状況を見る限りそうとしか考えられん。しかし、予備動作など感じられなかったぞ!」


「そりゃねぇだろ!まだありゃ十にもなってないぜ?誰か別のやつがやったしか思えねぇ」


「でもそれじゃあいったい誰が?ここにあんな早い水球出せる魔法使いいるの?」


そうやって冒険者が騒いでいる横で、扉の前に立っていた男の前に二人の冒険者が集まってくる。

周りは皆さっきの話題に持ちきりであり、集まった三人の冒険者たちもその話題だろうと、特に注目は集まらない。


そのうちのリーダー格のような赤い髪を立たせた強面の男が、周りにいる二人に問いかける。


「お前ら・・・見えたか?」


「えぇもちろん、私たちは扉側の方で観戦してたからしっかりと確認できたわ。」


「元はといえば森の異変の調査も、あの魔物が見つかるかもと受けようとした依頼だったが、まさかこんなに早く見つかるとはなぁ!ついてるぜ!」


黒いローブで全身を隠してはいるが隠し切れない色香を放つ女と、刈り上げた髪がいかつさを醸し出す頬に縦の傷がある男がその質問に答える。

三人の口元にはよからぬことを考えているような笑みが浮かんでいた。


「あのガキを追うぞ、あの魔物は金になる。おまけに強力な水魔法を使うときたもんだ。あのガキはどうでもいいが、魔物には注意を払って尾行する。いいな?」


「分かってるわ。」


「あぁザンザス。」


そう言って三人は人知れず、ギルドを後にする。


ラルーナの背後には、また新たな問題が降りかかろうとしていた。


ようやく、二章で決めていた展開まで持ち込めました。

どこかで区切ろうかとも思ったんですけど、書ききった方が展開的にもいいかと思いそのままの投稿です。

ここから物語は新たな展開へと進みますのでどうか面白いと思っていただけましたら、ブックマーク、★★★★★での評価よろしくお願いします!1

最近停滞気味ですので、どうか慈悲を・・・・笑

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