音楽・映像ソフトにおけるデジパック仕様について考えた事
インターネットの普及して久しい現在では、公式チャンネルの動画配信やサブスクサービスという形で映像コンテンツを楽しまれている方も大勢いらっしゃるかと存じ上げます。
しかしながら、こうしたネットを介した動画コンテンツは諸行無常である事を忘れてはいけません。
公式チャンネルの動画配信には期間限定の物も多いですし、サブスクサービスの動画だって気付けば公開終了になっているかも知れませんね。
いつまでもあると思うな、その動画。
ネット上の映像コンテンツは、いつまでも普通に鑑賞出来るのではなく、公式側や運営側の都合で見られなくなる可能性が多分にあるのです。
そうした事情を考えますと、大好きな映像作品をいつでも気軽に見たいのならば、映像ソフトを購入して手元に置くしかないのですね。
公式動画配信やサブスクサービスが普及して久しい昨今でも映像ソフトが普通にリリースされていて、尚且つ商売として成り立っているのは、「大好きな作品を手元に置きたい」というファンの思いが根底にあるのです。
そして勿論、私もそんなファンの一人で御座います。
そこで私と致しましては、公開された映像作品や音楽を、映像ソフトや音楽ソフトとしてキチンと形にして下さるソフトメーカーの皆様方には、感謝の思いをお伝え申し上げたい所存です。
そうして感謝の思いを述べてから舌の根も乾かぬうちに申し上げるのも恐縮なのですが、映像ソフトや音楽ソフトを購入する際に「どうした物だろう…」と困惑してしまう事もまた、往々にしてあるのです。
とはいえ音楽ソフトや映像ソフトをコレクションするのが楽しいからこそ、そうした不満や悩みもまた生じてくるのですね。
そのため、何卒温かい目でご覧頂けたら幸いで御座います。
そうした前提のもと、本エッセイでは映像・音楽ソフトの購入やコレクション時における私の悩みの種について語らせて頂きたく存じ上げます。
私が映像ソフトや音楽ソフトの購入時に最も困ってしまう時は、欲しいソフトのパッケージング仕様がデジパック方式だった時で御座います。
厚紙にプラスチック製のケーストレーを貼り付けたデジパック方式は、トールケースやジュエルケースといった既存の規格とは異なるデザインに出来るというメリットがあるため、初回限定盤や豪華版などに採用される傾向がありますね。
実際、トールケースやジュエルケースに紙ジャケットを挿入する普通のプラスチックパッケージよりも、デジパックの方が高コストらしいので、そうした意味でのプレミア感はあるでしょう。
そしてジャケットの表面が厚紙なので、アナログレコードやレーザーディスクの時代からディスクメディアを集めていらっしゃった方々には、「懐かしくも新しい」という親近感を喚起させるのだとか。
そうした諸々のメリットや魅力がある事は確かに分かるんですが、どうも個人的にデジパックは苦手なんですよ。
最初に挙げられるデジパックの苦手な点は、ケースのサイズやデザインがバラバラなので、並べた時にチグハグになる所ですね。
これが普通のプラスチックケースの映像ソフトや音楽ソフトでしたら、ズラリと規則正しく並べられるんですが、サイズやデザインのバラバラなデジパックですと高さや奥行き等ではみ出してしまい、それが何ともアンバランスになってしまうんです。
しかも普通の規格とは異なるので、場合によってはラック等にも上手く収まりませんし…
既存の規格とは異なるデザインに出来て個性を出せる所がデジパックの長所なのですが、長所が時として短所になる事もあるのですね。
次に挙げられるデジパックの厄介な点は、ケーストレー等が傷んだり壊れたりした時に取り返しがつかなくなる事です。
普通のプラスチックケースでしたら、たとえディスクを止める真ん中の爪が欠けたり、ケースの四隅が割れたりしても、中のディスクと紙ジャケットを他のケースへ移し替えれば元通りにリカバリー出来ますね。
ところがデジパックは厚紙とケーストレーが接着されているので、普通のプラスチックケースなら簡単に出来るリカバリー手段が出来ないんですよ。
普通のプラスチックケースのソフトなら、百均か家電量販店で新しいケースを買ってくれば済む話なのに、デジパックの場合だと取り返しがつかない致命傷となってしまうのですね。
デジパックの内側の爪が欠けてしまった時のリカバリー方法を、どなたか御存知ないでしょうか。
そして最後に挙げるデジパックの難点は、普通のプラスチックケースのソフトと違ってジャケット部分が保護されていない所なんですね。
普通のトールケースに入っている映像ソフトの場合、ジャケット部分はケースのビニールの内側に入っていますし、音楽ソフトのジャケットでしたらジュエルケースの蓋部分に収納されていますね。
ところがデジパックの場合ですと、普通の映像・音楽ソフトのジャケットに該当する部分は厚紙に直接印刷されているんです。
要するに剥き出しなんですよ。
トールケースやジュエルケースでしたらプラスチックなので頑丈ですし、頑丈なケースで守られている紙ジャケットにダメージが行く事はそうそうないでしょう。
ところがデジパックは厚紙なので、ジャケット部分にダメージがダイレクトに行っちゃうんですよ。
そりゃ確かにデジパックのソフトだって大抵の場合は紙製化粧箱に入っていますけど、化粧箱からの出し入れでも擦れたり傷んだりしちゃいますからね。
私は先程、ケーストレーが傷んだ時にリカバリー出来ない事をデジパックの厄介な点として挙げましたが、それはジャケットにも当てはまるのですね。
そしてジャケット部分が剥き出しな事は、私にとってまた別の悩みを引き起こすんですよ。
私は特撮ヒーロー番組や怪獣映画が大好きで、出演された俳優さんや制作スタッフの方々の登壇される舞台挨拶やサイン会には大喜びで参加しているのですが、そうしたイベントで私物にサインを入れて頂ける場合、私は大抵の場合、映像ソフトや音楽ソフトを持っていく事にしています。
サイン入りのCDやDVDを棚に並べた時、「この棚のこの段のDVDは全部サイン入りになったなぁ…」という具合に悦入り出来ますからね。
それにDVDやCDのジャケット部分にサインを入れて頂いたら、トールケースのビニール部分やジュエルケースがサインを堅牢に保護してくれるのですから、保管も安心という寸法です。
ところがデジパックの場合ですと、ジャケット部分が剥き出しの厚紙なので、「そこへサインを入れて頂いたら、化粧箱からの出し入れ等の際に擦れてしまうのではないか?」という不安が生じてしまうんですね。
そのため、サインを入れて頂きたい映像ソフトがデジパック仕様だった場合、泣く泣く諦めて別の映像ソフトを選ぶ事も時として御座います。
こうした事情から、私はデジパック仕様のソフトに苦手意識を感じてしまうのですね。
そのため通常版とデジパック版の二種類がリリースされている場合は、扱いやすい通常版を買うようにしています。
厄介なのは、特典ディスクの付いている限定版がデジパック仕様で、尚且つイベントで関係者の方にサインを入れて頂きたい程に惚れ込んだ作品の場合ですね。
そうした場合は、普通のトールケースに入っている通常版のジャケットにサインを入れて頂き、後に買い増しした限定版の本編ディスクと特典ディスクを通常版のケースに移し替えるという方法も出来ますが、この方法は余りにもコストがかかり過ぎるんですよね…
そのため私としては、デジパック仕様の限定盤を発売する際には、トールケース仕様の紙ジャケットやジュエルケース用の歌詞カードも封入特典として同梱して頂きたいのですね。
そうすれば、仮にデジパックの方が破損して駄目になってしまったとしても、新たに用意したプラスチックケースに紙ジャケットやディスクを詰め直せば簡単にリカバリー出来ると思うんです。
確かに紙ジャケットを追加する分だけコストはかかるかも知れませんが、特典ディスクにも魅力を感じる程に熱心なファンなら紙ジャケットのコスト分は納得出来るでしょうし、紙ジャケットもコレクターズアイテムとして機能すると思うんですよ。
紙ジャケットとデジパックの好きな方を選べる限定版ディスク、私としては是非とも普及して欲しい所ですね。