表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/302

A-005. そして、今――

 俺は、金が嫌いだ。


 それは今も変わらない。

 でも、もうそんなちっぽけな感情には振り回されない。

 俺は大人になったのだ。

 たくさんの出会いと別れを経て、少年期は終えたのだ。


 数ヵ月に一度、故郷に帰ることがある。

 今では逞しく成長した弟と、清らかに成長した妹達。

 母さんもちょっとやつれたけど俺を快く迎えてくれる。


『私達は、お前に救われているよ』


 帰る度に聞かされる母さんの言葉。

 そう言ってくれるだけで、俺も心が救われる。


 弟は、働いていた農場の娘と近々結婚するらしい。

 農場主には息子がいないから、将来的に農場が手に入ると喜んでいる。

 狡猾な弟に育ったものだ。


 上の妹は、町の憲兵との結婚が決まっている。

 式は五月末日――きっと俺は式に出ることはできないだろう。

 ……幸せにな。


 下の妹は、俺の影響で冒険者を志したこともあったらしい。

 だが、今は落ち着いて王都で宝石職人として働くのが夢だと言う。

 宝石職人を志すだけあって、熱心なジエル教徒だ。


 家の借金も、もう少しで全額返済できる。

 そうすればみんな、もっと楽に暮らせるからな。

 もう少しだけ……我慢してくれよ。


「次はいつ帰ってこれるんだい?」

「さぁ……。重要な仕事が詰まってるからなぁ」

「体だけは気を付けて。今はもう、お前が戦う必要なんてないんだからね」

「わかってるよ。心配するなって、母さん」


 俺は故郷を出て、待たせていた馬車に乗って王都への帰路に着く。


 次の相手(・・・・)も手強い。

 向こう見ずなジャスファよりも遥かに上手(うわて)な男だ。

 だけど、俺は負けない。

 必ず最後までやり通してみせる。


 一度やると決めたなら。

 その身が裂かれようと砕かれようと。

 全霊を尽くして、ただ真っすぐに己の信念を貫き通す。


 お前から教わったことは、今も俺の(ここ)に根付いているよ。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


次話から第三章が始まります。

少しずつ世界が広がっていきますのでご期待ください。


「おもしろい」「続きが気になる」と思った方は、

下にある【☆☆☆☆☆】より評価、

またはブックマークや感想をお願いします。


応援いただけると、執筆活動の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ブックマーク、感想、評価など お待ちしております。



以下より「最強ギルドの解雇録」の設定資料を閲覧できます。

《キャラクター紹介》  《ワールドマップなど各種設定》


【小説家になろう 勝手にランキング】
cont_access.php?citi_cont_id=365597841&size=135
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ