雨
しとしとと雨の音で目を覚ました。八時か。
「雨かよ…。」
今日は洗濯して図書館に行って調べ物でもしようかと思っていたのに。…最悪だ。
何もやる気が起きずカーテンを開いてまたベッドに潜り込んで本を開いた。
読んだり寝たりして気がついたら正午になっていた。
トイレに行きたくなって布団からでて用をたしに行く。水分を取って冷蔵庫に何があるか確認した。作らないと何も食べるものが無い。めんどくさくなってビールを取り出してプルタブを開ける。塩味の付いたミックスナッツを取り出してボリボリと咀嚼してビールを消費する。三〇過ぎてアルコールを取る時間帯とか特に関係なくなったな。と今更ながら思う。
朝だろうが夕方だろうが昼だろうが飲みたくなったら飲んでる。缶ビール一本二本ならコーラ飲んでるのと同じ感覚になっている。甘くない分飲みやすい。慣れ、だよなあ~。なんとも言えない気持ちになって遠くを見る目になる。
あ、そう言えば整髪剤買いに行かないといけないんだった。もう底をつきる。仕事に支障が出るのは嫌だ。大きくため息をついてビールを飲み干してのそのそと着替え出す。
暇だし、少し遠くの薬局に散歩しに行こう。
外に出るとさやさやとした雨になっていた。玄関を出たところで少し立ちすくみ、小さく息をついた。外に干してあったビニール傘を手に取りアパートの階段を降りていく。
…あれ以来気持ちの落としどころを探しているがおめでとうと本人に言えるようにはまだなっていない。こういうのは焦らないで時間の経過を待つのが一番であることを知っている。
イヤホンを耳に付けてのんびりと公園を横切ったり和菓子屋で柏餅とか大福を購入して目的地を目指す。片道一五分くらいだ。
薬局で整髪料と目薬を持ってあとは何が必要か考えてぷらぷらと物色する。
ビールが冷蔵庫で冷やされているのが目に入った。
それを二本持ってレジに並ぶ。会計を済ませて薬局から出るとビールを開けた。帰りはもうちょっと遠回りして帰ろう。イヤホンを耳につっこんで歩き出す。
近所の公園を再び横切る。楓の木に目が行って少し顔を上げてビールを一口含む。俺はここに来るまでに二本目を開けていた。ぼんやりと見上げた楓は雨に濡れて若々しい。生きた緑がひどく鮮やかに目に映り足を止めた。そして一分もしないうちにまた何事もなかったかのように歩き出す。
…感傷的になっているな。
玄関のドアを開けて独りごちる。整髪剤の入ったビニール袋と大福の入ったビニール袋をぬれたままテーブルの近くのフローリングに落としてそのまま自分もあぐらをかいて座る。
飲みかけのビールをテーブルに置いて和菓子屋で買った大福を漁る。大福を頬張りつつビールを飲む。俺、こんなこと続けていたら糖尿病になりそうだな。そして柏餅にも手を伸ばす。別に酒のつまみに甘いものを食べるのが好きという嗜好の人間ではない。ただ、飲みかけのビールがある。そして小腹が空いてる目の前に大福と柏餅がある。だから一緒に取っているだけだ。それ以下でもそれ以上でもない。
次の休みは床屋に行かないとなあ。襟足がちょっと伸びてきた。




