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悪役令嬢に転生した、はずですが?  作者: れもん。
1章
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39 世界がそう扱っても

 シェリアを襲った光の正体は、メルディアから放たれた攻撃魔法だった。シナリオとは違う、それだけでなく人として許されない行動をとったメルディアをシェリアは呆然と見つめる。


 もともと彼女から敵意を感じることはあった。たとえば、自分がフィデルと話しているとき。たとえば、決闘を申し込まれたとき。それは明確な『敵意』ではあったが、『害意』ではなかったのに。ツインテールにした黒髪を揺らして憎々しげにシェリアに杖を向けるメルディアは、もう『ヒロイン』ではなかった。



「シェリア・リナ・ルティルミス、フィデル様から離れなさい」



 メルディアの言葉にシェリアは大きく瞳を揺らす。何かの魔法がかかっているのか、思わずその通りにしてしまいそうに、なる。



「リア」



 椅子から立ち上がりかけたシェリアを止めるようにフィデルの手が添えられる。はっと我に返ると、怒りを込めた視線をシェリアに向けながらメルディアが一歩一歩近づいてくるところだった。



「なんのつもりだ」



 フィデルの問いにも答えずに、シェリアだけを睨み付けて。まるで自分が物語の主役(ヒロイン)であるかのように堂々と。そうして、シェリアたちの目の前にたどり着くと言った。



「あなたは『悪役令嬢』であって、主役じゃないのよ。ヒロインは私なの、フィデル様と結ばれるのは私なの!」


「そのために時まで止めたのか」



 フィデルのメルディアと同じくらい、いやそれ以上に怒りのこもった声にシェリアははっとした。ただでさえ異常な状況のなかに、さらに違和感があったのはそのせいだ。主役に明確な害意を持って近づくメルディアを誰も止めない。会場中を覆いつくしたざわめきでさえも、いつのまにかやんでいる。それが時が止まっているからだと言われれば納得できた。けれど、時を操作するのは大魔法のはずなのに一体だれが。



「そうですわ。私が主役(ヒロイン)であるために、この世界をシナリオ通りに戻すために、ある方が時を止めたのです」



 メルディアの唇が弧を描く。



「フィデル様、私の手をとってくださいませ。そうすればこの世界をもとに戻して、私もフィデル様も、ここにいるみんなが幸せになれるのですわ」



 そうして。まるで憐れな者に慈悲を与える聖女のように、メルディアはフィデルに手を差し出す。現実はそんな綺麗なものではないのに。シェリアとフィデルの婚約の儀を邪魔した上、主役を殺そうとまでしたのに。それでも世界は、彼女を主役(ヒロイン)として扱う。フィデルにも何かの魔法がかけられているのか、膝の上におかれた手が抗うように強く、強く握られているのがわかった。



「ここにいるみんな?リアはどうなる」


「彼女は悪役ですもの。断罪されて当然なのですわ」



 そんな理不尽な理屈、違うと言いたいのに、恐怖からか声がでない。フィデルはあんなに毅然と対応しているのに。そんなの間違っていると、そう一言言えたらどんなにいいか。けれどシェリアも少し前までそう考えていたこともあり、声が出たとしても説得力のある言葉が言えるとは思えなかった。



「だとしても、それは間違ってるな」



 シェリアの代わりにそう言ったのは、フィデルだった。シェリアはうつむきかけた顔を弾かれたようにあげる。



「なぜですの?私とフィデル様が結ばれれば、全てがっ」


「たとえ世界中が幸せだったとしても、リアがいないなら俺は幸せじゃない」



 声を荒らげたメルディアに冷静な声音でフィデルは答える。メルディアはぎり、と悔しげに唇を噛み締めた。



「なんなの?攻略対象がヒロインの意思に背くなんて」



 その瞬間、シェリアの中で何かがちぎれるような、そんな音がした。たとえるなら、リミッターが外れたような感覚。『攻略対象』?違う、フィデルはそんなものじゃない。この世界はゲームの中ではなく『現実』なのだから。自分は『悪役令嬢』ではないし、フィデルも『攻略対象』ではない。そんな役名、必要ない。


 バチッと静電気が走ったかのような音がシェリアの耳に入った。頭は真っ白なのに、先程まで声が出なかったのが嘘のように冷静な自分の声が響く。



「メルディア・クラウディス。私は貴女を赦しません」


「なによ、あなたの許しなんて」



 言い返したメルディアの殺意すらこもった声が不自然に途切れる。



「メルディア・クラウディス、確保!」



 警備の兵たちの大声が響き渡った。気がつけば彼女は拘束されていた。そんなはずなかったのに。時が止まっている中で動けたのは、シェリアとフィデル、そしてメルディアだけだったはずなのに。



 時が、動いていた。



 メルディアは呆然と、フィデルも驚いた様子で周囲をうかがっているが、シェリアは動じなかった。当然といえば当然だ。時を止めていた魔法を破ったのは、他でもないシェリアなのだから。

実は昨日投稿予約をしたつもりで一瞬間違えて投稿してしまった作者です。疲れてるのかもしれません笑

今日の分がなくなってしまうので一度消してしまいましたが、もし目撃された方がいたら、あれは「小説家になろう」様側のバグではないので!もっというなら「れもん。」(作者)のバグなので!笑ご迷惑をおかけして申し訳ありません。

そろそろ私にもメンテが必要なのかなーと思いつつ、もう少しで二章にいけたらと思います。ではまた!

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