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悪役令嬢に転生した、はずですが?  作者: れもん。
1章
24/142

20 相談事

ブクマ100件超えありがとうございます!

 シェリアがフィデルとケンカのようなものをした翌日。毎日のようにルティルミス家に来ていたフィデルは来なかった。シェリアはやっぱり怒らせてしまったかとベッドの中で少し俯く。


 禁術で寝込んでしまってから早数日。もうそんなに経っているというのに、三日も寝ていた弊害か、シェリアはまだ上手く歩くことができない。部屋の中をうろつくぐらいはできるが、少し長い距離を歩くと、だんだん足元がくらくらして座り込んでしまうのだ。


 そんなシェリアを心配した侍女たちからまだ部屋にいるよう説得され、シェリアはこの数日間ほとんどを自室───主にベッドの中で過ごしていた。


 とはいえ、ずっと寝ているわけにはいかないので起きていると、思考は昨日のフィデルとの出来事にばかりいってしまう。


 なんで悪役令嬢を続けるのかという質問の答えはまだ見つかっていない。フィデルが怒った理由も。


(なんでこうなっちゃったんだろう)


 シェリアは心の中でそうこぼした。本当に、どうしてこうなってしまったのか。自分はフィデルの隣にいたいだけだったのに───。



「お嬢様、昼食をお持ちしました」



 いつの間にか入室していた侍女の言葉にはっとシェリアは現実に返った。


 普段は別室で、時間が合えばルティルミス伯爵である父のジェラードや王城勤めの兄アルフレッドと一緒に食事をしているが、今はシェリアの移動がままならないのでそうはいかない。



「ティア」



 シェリアが侍女の名前を呼ぶと、侍女───ティアは不思議そうに顔をあげた。



「どうされました?お嬢様」


「その、一人で食べるのは寂しいから」



 付き合いの長いティアはシェリアが何を言いたいのかわかったようで、ふふ、と口元を緩めた。



「わかりました。シェリア様がご飯を終えるまで側にいますよ」



 ティアはシェリアと一、二歳しか変わらないのに、公と私をしっかり分けている。仕事中はシェリアをお嬢様と呼び敬語を使っているが、シェリアの友人として振る舞うときには呼び方が「シェリア様」に変わり、敬語が少し砕けたものになる。本人いわく、口調を変えることで気持ちを切り替えているそうな。


 ティアが言外に「友人として側にいる」と言ってくれたことに安心して、シェリアの視界が潤んだ。



「シェリア様?」


「ティア、あのね」



 突然泣き出したシェリアにティアは戸惑った様子だったが、シェリアが話し出すと時々相づちを打ちながら聞いてくれた。


 悪役令嬢のことまでは話せなかったが、フィデルが禁術から助けてくれたこと。けれど、フィデルを怒らせてしまったこと。嫌われたかもしれない、とすごく不安なこと。



「それにね、最近フィーのことを考えると、心臓が速くなって痛いの」



 シェリアがそこまで言い終えると、真面目な顔で聞いていたティアはため息をついた。



「シェリア様、キスでもされましたか?」



 図星過ぎて、シェリアは泣きながら食べていた食事を飲み込めずにむせた。ティアはおお、と驚いている。



「シェリア様はそれくらいされないと意識するはずもないと思ってましたが……フィデル様もなかなか頑張りましたね」


「い、意識?」



 ごくごくと水を飲んで落ち着かせながらシェリアはきょとんとした表情で聞き返した。ティアも同じ表情で首を傾げる。



「違うんですか?シェリア様はフィデル様を意識されてるから鼓動が早くなったりするのでは?」


「意識って、どういう風に?」


「それはもちろん、男性として」



 ティアの回答にシェリアはこぼれんばかりに目を見開く。いやまあ確かに、キスをされたときにも思ったがフィデルも幼馴染みである以前に男性なのだ。今までまったくと言っていいほど意識していなかったが。



「そのご様子だと、シェリア様には自覚がないようなので言っちゃいますが、それは恋ですよ」


「こ、い?」



 外国語、よりも意味のわからない異世界言語を聞いたような気がした。こい?コイ?鯉?恋?恋とは、前世でもしたことがないキラキラな感じのあれだろうか。



「恋って、あの恋?」


「シェリア様がどの恋のことをおっしゃっているのかわかりませんが、たぶんその恋です」



 かあ、とシェリアの顔が赤くなるのが自分でもわかった。まさか、自分がフィデルに恋なんて。いや確かにゲームの中では最推しだったけど。



「だ、だけど、私なんかがフィーを好きだなんて」


「シェリア様なら、大丈夫だと思いますけどねぇ」


「何で?」



 シェリアがそう呟くと、「さすがにそこまで言ったらフィデル様に怒られちゃいます」とティアは返す。いったいなぜ怒られるというのだろう。今怒られているのはシェリアなのに。


 しかし、何度聞いてもティアはそれ以上のことは教えてくれない。というより、「私の命と質問の答え、どっちが大事ですか」と涙目で言われてはそれ以上聞けない。



「とにかく、私はシェリア様の恋を応援しますから!」


「だから恋なんかじゃ……」



 ティアはそう言うと、シェリアの食べ終わった食器を手早く片付けて退室してしまった。


 そういえば禁術騒ぎで忘れてしまっていたが、フィデルに一度そんな相談をしたような。けれど、きっとそれは禁術のせいでおかしくなっていたのだ。そうに違いない。


 いつもはティアに相談すると大体のことは解決するのに、今回だけは悩みが増えてしまった気がする。しかもティアの言い方だとまるでフィデルまで───。



「私は悪役令嬢で、フィーは攻略対象なんだから、そんなことあるはずない」



 ティアの恋愛脳には困ったものだ、と全てを侍女のせいにして、自分は何も気づかなかったことにした。

半月程度の間でここまでたくさんの方に見ていただけると思っていなかったので、作者も驚いてます笑

これからもうちのシェリアとフィデルをよろしくお願いします!

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