Prologue
シェリアは王立学院の門の前に立っていた。これから始まるはずの学生ライフに思いをはせ、瞳を輝かせて校舎を見上げる。
そこで、はたと気がついた。自分はここを知っていると。
王立学院は貴族であれば誰でも通うことになるので入学試験などはなく、シェリアも訪れるのは入学式のこの日が初めてだった。なのに、知っているなんておかしな話ではないか。
「リア?」
立ち止まって考え込み始めたシェリアに声をかけたのは幼なじみのフィデルだ。国でも王族に次ぐ権力を持つレヴィン公爵家の次男ながら、なぜか足繁くシェリアの家───ルティルミス伯爵家に通ってくる。
そんな彼の手が自分の前でひらひらと振られたところでシェリアは我に返った。
「大丈夫か?何か考え込んでたけど」
「ちょっとね。もう大丈夫」
そうは言うが、いつもは元気なシェリアがおとなしい。体調でも悪いのかとフィデルがシェリアの顔を覗き込んだときだった。
「あ!オープニング!」
「おーぷにんぐ?」
突然わけのわからない言葉を叫び出したシェリアに困惑してフィデルは首を傾げた。しかし、シェリアの独り言はとどまるところを知らない。
「なんで気づかなかったんだろう。ここは君恋の舞台で、私は───」
ゴニョゴニョと呟き続けていたシェリアの言葉が不意に途切れた。かと思えば彼女の身体が崩れ落ちる。
「リ、リア!?」
倒れてしまったシェリアの身体を抱き留めると、フィデルは周囲を見渡した。周りに教員がいたら保健室の場所を教えてもらおうと思ったが、早く着きすぎたのか、教員どころか生徒も誰もいない。
しかし、それは裏を返せば人目がないということである。
「しょうがない、か」
そうフィデルが呟くと、フィデルと彼に抱き上げられたシェリアは光に包まれてその場から消えたのだった。
初投稿なのでぐちゃぐちゃですが、暖かく見守っていただけると嬉しいです。ハイスピードだったり、亀だったりマイペースに更新していく予定です。