11 恋と違和感
またまたキャラの濃いのが登場です。
グレン・マクレーン。マクレーン公爵家の次男という地位をもつ彼とは、フィデルも交流があった。というか、公爵家の次男という立場で、年頃も同じくらいなので話しやすいだろうと大人たちが交流を持たせたのだ。
絶望的に相性が悪いというわけではないが、正直フィデルはあまりグレンが好きではない。なぜなら────彼がナルシスト、というやつだからだ。
顔はいいので、彼のファンだという女子生徒は多い。が、本人が自分が大好きすぎるため、自分に釣り合うと思った人物以外には思わせぶりな態度をとるだけ。そんなものは、異性はともかく同性からみれば気持ちのいいものではない。
「シェリアさん、ちょっと今時間をもらってもいいかい?」
フィデルとシェリアに声をかけたくせに、用件があるのはシェリアだけだったようだ。当のシェリアはというと、見とれているのか虚ろな瞳で頷いている。
その光景にどこか違和感を感じて、これが本当にシェリアのいう恋なのかと不思議に思い、食堂を出ていく彼女を呆然と見ていた時だった。
「フィデル様!」
げ、とフィデルは顔をしかめる。シェリアはあのナルシストに連れていかれるし、迷惑なのには会うし、今日はついていないのかもしれない。
いっそこの声には気がつかなかったことにして、食事を続けようとしたフィデルに、駆け寄ってきたメルディアはまるで恋人か何かのように腕を絡めた。
「あら、今日はシェリアさんはいませんのね」
「離れろ」
今までのやり取りを見ていたくせに、とわざとらしくそう言うメルディアにフィデルは心の中で悪態をつきながら振り払う。
「そうですわ、お互いに一人なのですから、昼食をご一緒しませんこと?」
メルディアはフィデルの冷たい言葉を気にもせず、今までシェリアが座っていた向かいの席に座った。
その行為は図々しい以外のなにものでもないが、一応学院内では身分は平等という扱いのため邪険にもできず、フィデルは苦い表情になった。
とりあえず、うるさく話しかけてくるメルディアに関しては無視を決め込んだ。そして、この間兄に聞いた彼女の怪しい行動について思い返す。
精神干渉系の禁術について調べているという話だった。フィデルはメルディアの会話とも言えない会話は無視しながら、注意深く彼女を観察するが何か魔法を使っている様子はない。自分より魔力の高い者に使っても効果はないのだから、当たり前といえばあたりまえだ。
ならばもう諦めたのかとも思ったが、彼女はずっと図書館通いを続けているという。怪しいことこの上ない。
たしかあの禁術は使われると浮かれた気分になり、依存性が高いと書物には書いていたが────そこまで思い返してフィデルは違和感を感じた。
なんだろうと首をひねるが、違和感の正体はわからない。
フィデルはモヤモヤとしながらも、メルディアを放置して席を立ち、次の授業に向かうのだった。




