手負いのゴブリン
日間ジャンル別ランキングで1位になってました!!
これは、夢なんでしょうか…。
一時の夢…小説の青春時代ですね…
さて、今日はアイテム整理とギルドクエストを受けようと思う。
昨日は一通りのスキルを確認することができたし、スッキリした。
アイテム整理というか、確認?を張り切って行こう。
メニューを開いてアイテム一覧を見る。
アイテム
◈ゴブリンの耳×1 ☆1
◈石×3 ☆1
◈幼虫糸×4 ☆1
◈スライムジュエル×2 ☆1
武器/防具
◈闇の追憶 (装備中)×1 ☆8 ※紛失不可
アイテム自動取得 off
ん?アイテム自動取得?
何それ。
ここはHelpを見よう。
なになに?
・アイテム自動取得をonにすると、倒したモンスターのドロップ品を、5秒後に、自動にアイテムボックスに収納する。
※その5秒内に自分のドロップ品を他人が自身のアイテムボックスに収容しようとしても、実行出来ませんので、ご安心ください。
・アイテム自動取得をoffにすると、倒したモンスターのドロップ品に触れることで、アイテムボックスに収納する。
ふぉぉぉ。
便利だぁ!
これは早速onにしよう。
これで楽できるわ…。
アイテム整理(確認)も終わったし、ギルドにレッツゴー!
ギルドは相変わらず賑わっていた。
クエスト掲示板には人がたくさん集まっている。
なんとか人ごみをかき分けて掲示板の前までいく。
私は今DランクだからCランクまでのクエストを受けることが出来る。
Dランククエストは、主に雑務である。
Cランククエストは、主にスライム、グリーワームなどの討伐クエストや、Dランクと同様のボランティア、商隊の護衛などがある。
クエスト掲示板にも色々種類があって、私が今から受けようとしているのは冒険者専用のクエスト掲示板。
冒険者専用って言っても、ジョブについている人は誰でもこの掲示板に貼ってあるクエストを受注することができる。
他にも、鍛冶士専用のクエスト掲示板、錬金術士専用のクエスト掲示板もある。
何を受けようか…迷う。
人の視線も気になるし、パパッと決めちゃおう。
私が受けたのはCランクのクエストでグリーンワーム3体の討伐だ。
報酬は銀貨1枚。
安いような気がするけど、グリーンワームは☆1なのだ。
仕方ない。
早速街を出て、討伐に向かおう!
…と、その前に、ポーションを買おうと思う。
ゴブリン戦の時に体力削られたし、体力が0になったら死んじゃうからね。
ポーションは広場に売っていた気がする。
広場って言っても、東京ドーム5個分の広さだ。
しかもサービス開始したばっかりだから、プレイヤーも多い。
初日より多いんじゃないだろうか。
よって、ポーションを売ってる場所が分からない。
人に話しかける勇気もない。
どうしよう。
こんな時に知り合いとかが居れば………
「おーい!るしさん。何してるんだ?」
声の主はなんと、残念なイケオジのアルザスっ!!
「アルザスーーーっ!!」
怖かったよぉぉぉぉ。
ぶんぶんとアルザスの手を掴んで振る。
「るしさん…?どうしたんだ?」
「じ…実は、ポーションの売ってる場所が分からなくて…」
アルザス…場所知ってるかな…。
私と一緒にここまで来たし、むしろ知らない可能性の方が高い。
さぁ、どうだ?
「俺、売ってる場所知ってるぞ?良かったら案内しようか?」
是非っ!!!
流石イケオジッ!!
ごめんなさい。
さっきまで疑ってました。
「お願いします。なんかすいません、案内してもらって…アルザスも忙しいのに。」
「いやいや、るしさんは命の恩人だし、俺の友達でもあるからな、いつでも頼ってくれ。」
にかっと笑顔を輝かせるアルザス。
ホントにいい人だ。
この人が友達で良かったよ。
ポーションを売ってる店はなんと、ギルドの横にあった。
だから、見たことがあったのか…。
「そういや、るしさんはギルドカード登録し終わってるのか?」
「…うん…。」
アルザス…可哀想な子を見る目でこっちを見ないでくれ。
気づかなかったんだ。
ギルドの蛍光色の色が強すぎて。
ポーションの種類は
・ロウポーション
・ポーション
・ハイポーション
の3つで、効果が、
・ロウポーション……HPを50回復する
・ポーション……HPを100回復する
・ハイポーション……HPを150回復する
値段は、
・ロウポーション……銅貨5枚
・ポーション……銀貨1枚
・ハイポーション……銀貨5枚
んー!お高い。
ここはロウポーションを3個買うとしよう。
これで全財産がキリのいい金貨2枚になった。
懐が寂しくなってきたや。
店員さんに使い方を聞いておく。
「基本的に、飲むか、傷口にかけるかですね。ただ、ポーションの入っている瓶は割れやすいので、慎重に取り扱ってくださいね。お買い上げありがとうございます!」
ここまで連れてきてくれたアルザスには感謝だ。
「アルザス、ありがとうございました。非常に助かりました。」
「いやいや、助けになれて良かったよ。じゃ、俺はクエスト達成しに、剣を作ってくるわ!また今度会う時は宜しくしてくれや。素材持ってきてくれれば、オーダーメイドの装備作ってやるぜ!」
アルザスも忙しいみたいで、すぐに公共の工房のほうに走っていった。
公共の工房っていうのは、まだ自分の工房を持っていない新米の鍛治士が使う場所のことで、アルザスは早く自分の工房を持ちたいから、クエストをたくさん受けているらしい。
確かに、人の目って気になるね。
分かる、分かるよその気持ち。
ポーション買ったことだし、そろそろ行こ「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉっっっっつ!!」」」
う…かな…?
広場の方がすごい騒がしい。
一番台の方からだ。
気になる…ちょっと覗いていこう。
どうやら、攻略組がこのフィールドのフィールドボスと戦っているようだ。
フィールドボスとは一つのフィールドに一体いる特殊個体?のようなもので、そのボスを倒すと、次のフィールドが解放される。
フィールドボスは、他のモンスターより格が違って、容易に倒せるようなモンスターじゃない。
現に、一番台に映っている攻略組がバッサバッサと、その命を狩られていっている。
5分後。
攻略組…全滅。
あちこちからため息が漏れる。
「はぁ。」
思わず私もため息が。
攻略組のくせに…って思うけど、まだ、サービス初日から3日しかたってない。
仕方ない、そう、仕方が無いのだ。
ドンマイ!攻略組。
まだ明日があるさ!
……ドンッ
人にいっぱいぶつかる。
主に翼が。
今からクエストに向かおうとしてるのに…,。
イライラしてくるよ。
こういう人がいっぱいいる場所で歩いている時、正直言って、翼が邪魔だ。
消えないかなぁ。
シュインッ
街の外に出て、【飛行】スキルを使おうとするのだが、
『エラーが発生しました。スキルを行使できません。』
っていうメッセージが出た。
なんで?
ちゃんと翼生えてるし、飛べるはずだよ?
飛べるは……
「へっ?」
あれ?ない、ないないない!?
ふぇっ!?
翼が!私のかっこいい翼がない!
さっき消えないかなぁ…とか思ったから?
ごめんなさい、許して!
このまま翼がないとか、そんな…嫌だ!
出てきて…出てきてよ!お願いだからッ。
シュインッ
今、シュインッて音しなかった?
振り返ると視界の端に黒い翼が…
…あった!あったよ!?良かったぁぁぁあ!
うう…ごめんね、翼さん。
まさか…翼にもon/offがあるわけですか?
凄いです。
今はonで、お願いします。
でも、街の中ではoffで。
いやはや、翼さんにはいつもお世話になってます。
これからもよろしくお願いします。
よし、今度こそ、スキル【飛行】を使う。
フワッと体が浮く。
今度はメッセージが出てこなかったから良かったよ。
早速グリーンワームを見つけに行こう!
……おかしいな。グリーンワームちゃんが一匹もいない…。
そろそろ深い草原に差し掛かるところだし降りよう。
深いと、モンスターが隠れてて見つけにくいんだよね。
降りても分からないんだけどね、ははは。
ガサガサッて音でモンスターに気づくのに精一杯。
殺気を感じろよって?
無理無理。
モンスターも私も、会うまで殺気なんて出さないよ。
出してたら、獲物(経験値)が寄ってこないからね。
はぁ、【気配察知】とかいうスキル、欲しいなぁ
気を取り直して、グリーンワームちゃんを探そー!
ガサガサッ
・・・ゴブリンが現れた・・・
けっ…。
不味いゴブリンかよ。
でも、油断は禁物だな、攻撃に備えよう。
あれ?ゴブリンさん来ないの?
何か様子がおかしい。
……いつまでも襲ってこないと思ったら、足を怪我しているようだ。
右足が赤紫色に変色して、腫れ上がっている。
しかも、足が明後日の方向を向いている。
どうやら、戦闘になることはないようだ。
……それにしても、痛々しい。
ジッと観察してると、何か気を触ったのか
「Gaaaaaッ!」
はいはい、どっか行きますよ。
何もしませんって。
流石に私は、偶然会った弱りきっているモンスターを殺すような趣味はない。
踵を返して、元来た道と違う道…道はないけど…草をかき分けて進んでいく。
さっきのゴブリンさん……知性があるような気がしたのは、気のせいだったのだろうか。
私は只今、【挑発】を使ってクエストの討伐対象のグリーンワームを金の粉に変えております。
たまにスライムもやってきます。
深い草原で【挑発】を使った方がLvが高いモンスターがやって来てくれるんだ。
ザシュッ
ちょうど今、3体目のグリーンワームを屠ってクエストクリア条件クリアしたところだ。
……。
もうちょっと狩って行こうかな。
あれ?……さらに3体ほど屠ったのに、Lvが上がんないぞ…?
もう美味しくなくなったのか?
くっ…Lv5への道は遠いようだ。
しっかし、初心者用装備がボロボロだなぁ。
まだ使えるよね?ね?うん、使えるね。
ところどころ破れたり、溶けたりしているけど、大丈夫だ。
剣の方は、やばいな…。
ヒビ入ってるよ…。
これはアルザスに依頼する必要があるな。
友達だからな、格安でお願することにしよう。
オーダーメイドをやりたいけど、まだ出来そうにないな。
素材が足りないし、お金が…ね?
お金と言えば、クエスト達成したことだし、ギルドに報告に行こう。
…でも、もう少しでLvが上がりそうな気がするんだよな。
もうちょっ〜とだけ、狩りを続けよう。
おいで〜グリーンワームちゃぁぁん。
まだ美味しいはずだよ〜。
お、森が見える、あそこに行こう!
「GAAAAAAAAAAAaッッッ!!!」
ビクゥッ。
心臓に悪い…。
金切り声のような、断末魔みたいな悲しい声だった。
バッとさっき来た道を振り返る。
あとは、考える前に体が動いていた。