表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運極さんが通る  作者: スウ
虫襲来編
57/127

セタンタの不思議



 目を開けると天井ではなく、セタンタの顔があった。

「おはようございます!師匠!!師匠は美人さんだったんですねっ!神々しいです!」

「おはよ。」

 あれ?

 セタンタはどうやってこの部屋に入ってきたんだ?

 寝る前にちゃんと鍵は閉めたはずだけど。

「マスターキーです。」

「それ犯罪。」

「ごめんなさい。」

 私とセタンタのやりとりでジンとウォッカが起きた。

「ん〜。るしーぉはよー。」

「おはよう。」

「2人とも、おはよ。」


 ピロリん。

『運営からメールが1件あります。』

 ん、何でしょう。


『3日後、1月5日、AM0:00より、イベントクエスト「虫襲来(イノセクトパレード)」を開始します。場所は第二の街「シナンティシ」。迫り来る虫から「シナンティシ」を守りましょう。…最悪の結末を迎えない為に。』


 期限が記載されていない。

 ということは、ボスを倒せば終わりということかな?

 …最悪の結末?

 それは迎えさせるわけには行かないね。

 メールを閉じ、胸に抱えて寝た卵の様子を見る。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 種類 卵 ☆?

 名前 不思議な卵

 …もう少し。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 …まだっぽいね。

 今日も胸として鎧の隙間に入れておこう。



 さて、セタンタの師匠をやるからには、彼のステータスや扱う武器について知っておかなければいけないと思う。

 まずはステータスを見よう


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 種族 半神人(ハーフゴッド) ☆8

 名前 セタンタ

 Lv2

 HP 1020/1020 MP820/820


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 …セタンタ君?

 種族に神が入ってるよ?

 ってことは、デヒテラさんかお父さんのどちらかが神様ってことかな。

 デヒテラさんは神オーラみたいなのが無かったから多分人間だろう。

 ということは、お父さんかな。

 私のHPが2割削られたのも納得がいったよ。

 って、あれ?

 種族が人間じゃないってことは、◈偽造の腕輪を付けていないってことだよね。

「セタンタ、偽造の腕輪は付けなくていいの?」

 サッーと、セタンタの顔色が悪くなる。

「師匠…鑑定使える感じですか?」

「うん。」

「…見たことは内緒でお願いします。」

「分かってるよ。」

 セタンタが偽造の腕輪を付け終わったので、お次は扱う武器について。

「セタンタはどんな武器を使うの?」

「これです!」

 何も無いところから槍を取り出した。

 アイテムボックス使えるんですか。

 優秀ですね。

 でも、その槍は何処から手に入れたのだろう?

 デヒテラさんは戦闘タイプには見えなかったんだけど。

「その槍は何処で手に入れたの?」

「クラン叔父ちゃんから貰ったんです!!」

「クラン叔父ちゃん?」

「はい!クラン叔父ちゃんは僕のお母さんのお兄ちゃんで貴族なんです。たまに遊びに来て武器の使い方を教えてくれるんです。あ、クラン叔父ちゃんの家には大きな犬が居て、クウっていうんです!この前赤ちゃんを生んで、その赤ちゃんがすっごく可愛いんです!!赤ちゃんの出産に立ち会った時、叔父ちゃんが、これはお礼だよって言ってこの槍をくれたんですっ!」

 深緑の槍を大事そうに胸に抱き締めた。

 そっか。

 クラン叔父ちゃんには感謝だね。



 コンコン

「るし様、朝食の準備が出来ました。」

「師匠!家のご飯は美味しいですよ!早く行きましょう!」

 セタンタがグイグイと手を引っ張ってきた。

 力が強いって…。

「わ、分かったよ。ジン、ウォッカいくよ。」

「「はーい。」」

 私は卵を抱えてセタンタの後を追った。




 一つの机を囲むように椅子が四つ並んでおり、焼きたての白いパンとホカホカと湯気が上がるお汁物、水々しい野菜が用意されていた。

 美味しそうな匂いに涎が止まらない。

「この国特産の麦をふんだんに使った「白麦パン」と、向日葵の油を使った「向日葵サラダ」、そして、この宿特製の「黄金スープ」です。」

「デヒテラさん、凄く美味しそうです。」

「ふふっ。ありがとうございます。」

 あ、そういえばお昼ご飯どうしようか。

 ここには多分戻ってこれないだろうし。

 お弁当って頼めるのかな?

「あの、デヒテラさん。この宿に泊まっている間、お昼はここに戻ってこれないのですが…お弁当って頼むことは出来ますか?」

「はい、大丈夫ですよ?うちの子の我儘を聞いてもらって…すみません。」

「い、いえいえ!私も丁度用事がなかったので、大丈夫です!」

「…そうですか。あ、冷めないうちにお召し上がりください。」

「はい!いただきます。」

 ほんのりと温かいお椀を口元まで運び、口に含む。

 スープの優しい味が口いっぱいに広がった。

 この味はっ。

「コンソメッ!!」

「こん…?師匠が喜んでくれたなら何よりです!」

 焼きたての白麦パンを頬張る。

 外はカリッ中はフワッモチッとしていて、リアルよりも美味しい。

 フォークを使いサラダをとる。

 シャキシャキと刻みいい音が野菜の新鮮さを表している。

 向日葵の油が野菜とうまくマッチしていてもう手が止まらない。

 4人は黙々と食べ続ける。

 周りを意識出来なくなるほど目の前の料理が食欲の琴線を刺激していたからだ。





「ご馳走様でした。」

 こんなに美味しい御飯を食べたのは久しぶりだなぁ。

 我が家だと、ずっーと屋台のたこ焼きやらなんやらばっかりだったからなぁ。

「これ、ギムレット姉さんに今度作ってもらお。」

「それいいねー。僕、これ好きー。」

「ジン!ウォッカ!僕は嬉しいです!」

 3人はご飯について語り始めた。

 ジンとウォッカはよっぽどここのご飯が気に入ったんだね。

「るし様、お弁当4人分出来上がりました。」

 厨房からお弁当4つと水筒を4本抱えたデヒテラさんがやって来た。

「ありがとうございます!大事に食べますね。」

 お弁当と水筒を受け取り、アイテムボックスに仕舞う。

「さて、3人とも。そろそろ出発するよ!」

「「「はーい!」」」





 まずはギルドクエストを受注しに行こう。

 この国のギルドも蛍光色だったため、すぐに場所が分かった。

 クエスト掲示板から適当にCランククエストを3枚剥がして受付に持っていく。

「すみません。このクエストを受けたいんです…がっ…!?」

「はい。こちらのクエストですね?カードも確かに。」

 あまりの衝撃に言葉を失ってしまった。この衝撃はあの服屋さんのTシャツ短パンマッチョ以来だ。…目の前の受付じょ…受付嬢と言ってもいいのだろうか。

 ケモ耳マッチョを彷彿とさせる男性がいた。

「どうしたんですか?大丈夫ですか?」

「は…だ、大丈夫です。」

 思考が停止していたようだ。

 第一の街にも第二の街にも凄いマッチョがいっぱいいるもんなんだね。

 私は3人を連れて急いでギルドを出た。



 …。

 マッチョでピッチピチの受付嬢さんの服を着ていて顔が爽やかという、このトントン3拍子が揃った受付嬢モドキがこの世界には沢山いるという認識でいいのかな?

 もしかすると、横の受付嬢も…?

 深く考えないでおこう。




 正面から門を出て向日葵畑を進む。

 この国の周囲は普通サイズの向日葵が咲いているが、1km先は巨大な向日葵の森が国を囲むように展開している。

「僕、初めてギルドの中に入りました!あ、あの向日葵大きいですね!」

「セタンタ、俺らから離れんなよ?」

「るしー何のクエスト受けてきたのー?」

「それはね…。」

 今回受けたクエストはこちら。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 Cランククエスト

 ・カマッキリーの討伐 0/5

  銀貨5枚

 ・巨大向日葵のの花びら採集 0/10

  金貨1枚(品質により金額上下)

 ・ヴェノムスパイダーの討伐 0/5

  銀貨8枚


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「だよー。」

「初めて聞くモンスターの名前だねー。」

 未知のモンスターと未知の領域探索だから、十分に気をつけていかなくてはいけない。

 幸い、この普通の向日葵畑はモンスターが湧かないセーフティーエリア。

 まだ着く気配はないので、セタンタに色々と質問したいことがあったから聞いてみる。

「セタンタ、その防具はどうしたの?」

 実はセタンタ、門を出る前にアイテムボックスから取り出した鎖帷子と篭手を装備していた。

「クラン叔父ちゃんが何かあった時の為にあげるって言ってくれました。」

 クラン叔父ちゃんはよっぽどセタンタのことが心配なんだね。

「ふ〜ん。あ、セタンタのお父さんは神様なの?」

「う〜ん。分かんないです。でも、オーラ?がキラキラしててオデコに光る十字架みたいなのがついてたような。…お父さんは凄く優しいんだっ!今はお仕事に行ってるから…。寂しかったんだけど、でも今は師匠とかジンとかウォッカがいるから寂しくないよ!…です。」

 少し寂しそうに笑うセタンタの顔から視線を離すことが出来ない。

 悪いことを聞いちゃったかな。

 クシャクシャと頭を撫でる。

「ちょっ!?…師匠?」

「ん、気にするな。てかセタンタ、敬語じゃなくていいんだよ?」

「…そうですか?」

「うん。」

「わかりま…わかった!」

 セタンタは花が咲くような笑顔をした。

 それに釣られて私も笑う。







「うわぁ。近くで見ると向日葵の森って大きい!」

 興奮してブンブンと槍を振り回すセタンタ。

 ちょっ、危ないから。

 目に当たったら失明しちゃうよ?





 ここからは未踏破領域。

 私達は空を飛んできたから中がどうなっているか正直言って分からない。

 どんなモンスターがいるかも分からない。

 だからこそワクワクする。

 さぁ、気を引き締めていこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ