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運極さんが通る  作者: スウ
虫襲来編
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欲しいスキル引き換え券




 暑い日差しの中、上手いこと花びらを折ってパラソル(仮)を作り日陰にいた。

 昼ご飯を食べ終わり、そろそろ行こうかとしていた所、私はあることを思い出した。

 まだスキル引換券を使っていないということに。

「ジン、ウォッカ、何回も悪いんだけど、少し待っててくれる?」

「いーよー。」

「大丈夫だぞ?」

 ホントにいい子達で助かった。


 アイテムボックスから欲しいスキル引き換え券の項目をタップする。


 ◈欲しいスキル引き換え券…これを破ると、自動的にスキルを選べる画面が出てくる。欲しいスキルをタップすると、そのスキルは取得出来る。但し、種族専用スキルなどはないので期待しないように。そして、引き換え券は一つにつき、一つのスキルしか交換出来ない。



 取り出した黒い紙をビリッと破る。

 すると、目の前にチュートリアルで見た時と同じようなスキル一覧が出てきた。

 今回は何を選ぼうか。

 カーソルを下に下げていると、【浄化(アーク)】スキルがあった。

 このスキルって、種族専用スキルじゃなかったんだね。

 結構痛かったや。

 どんな効果があるんだろう。


浄化(アーク)】…闇の属性を持つものに多大なダメージを与える。


 堕天使は堕ちた天使だからね。

 ある意味闇だ。

 このスキル、結構有能だから保留だ。

 他のスキルも見てみよう。


成長(グロウアップ)】…食物の最長速度をLvに応じて上げることが出来る。


回復(ヒール)】…体力を2割回復する。


【重力】…重力を操ることが出来る。


【火魔法】【水魔法】【木魔法】…etc


 スキルがありすぎて迷う。

 こんな時に東堂さんがいてくれたら…。

 カーソルを尚も下げ続けていると、気になるスキルがあった。

 詳細を見てみよう。


【反転】…状態を反転させることが出来る。

  ex)腐ったリンゴ→新鮮なリンゴ


 ピン!と頭にきた。

 このスキルにしよう!!


 ピロリん。

『スキル【反転】を取得しました。』

 

 早速使ってみよう。

 まずは目の前にある向日葵に。


『【反転】が使用出来ます。使用しますか?Yes/No.』


 Yesを押す。

 すると、向日葵が痙攣し、大きく揺れた。

「るしー何か縮んでるよー。」

「うっわぁ。スゲェ。」

 グングンと縮んでいき、普通の大きさの向日葵になった。

 これにもう一度【反転】を使うと…元の大きさに戻った。

 面白いスキルだ。

 これは、生物にも使えるのだろうか。

 ウォッカに使ってみよう。


『【反転】が使用出来ません。』


【反転】出来ないか…。

 ジンもウォッカも小鬼だし、小鬼は反転するものないだろうしね。

 じゃあ、私は?


『【反転】が使用出来ます。使用しますか?Yes/NO.』


 …【反転】出来るんですか、ならYesで。

 直後、身体がグニョッと曲がったような感覚が走った。

 慌てて身体を触るが、異常は見当たらない。

 どう変わったか分からないため、自身に【鑑定】をかけてみる。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 種族 大天使

 名前 るし

 Lv 11

 HP 1020/1020 MP 1220/1220

 SPD 5

 DEF 80

 LUK 544

 パッシブスキル

【運の底上げ】【神域拡張】【詐欺】【カリスマ】new!!

 アクティブスキル

【鑑定】【剣術】【大太刀術】【双剣術】【大鎌術】【時空魔法】【光魔法】【運盗み】【飛行】【暗闇】【蹴り技】【登り上手】【挑発】 【無心】【反転】【終焉のラッパ】new!!【衝撃光】new!!


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ぶふぉっ…」

「るし、どした?」

「いや…何でも。」

 まて…待て待て待て待て!!天使やばくね!?

 天使になったのは、分かる。

 けど、パッシブスキルとアクティブスキル増えてね?

【カリスマ】【終焉のラッパ】【衝撃光】

 と…とりあえずスキルの詳細を見よう。


 パッシブスキル

【カリスマ】…超人間的・非日常的な何かで民衆をひきつけ心酔させる力。※off不可


 アクティブスキル

【終焉のラッパ】…自身よりMNDが低い者に強力な精神攻撃を与える。


【衝撃光】…右手に聖なる力を一定時間溜め、相手の頭に触れることによって発動する。溜めれば溜めるほど威力は上がる。


 天使の種族専用スキルえげつな。

 この中で【カリスマ】が1番やばいんじゃないだろうか?

 常にonでoffにすることは出来なく、民衆を心酔わせるとか洗脳に近いじゃん。

 これは本当に天使のスキルなのだろうか。

 今度Noelに聞いてみよう。



 翼を出してみる。

 出てきたのは光り輝く純白の翼。

 いつもの夜を連想させる漆黒の翼ではないので、思わず見蕩れてしまう。

「るしー今日は何かキラキラだねー。触ってもいーい?」

「俺も触りてぇー!」

「いいよ!」

 3人で翼をモフモフする。

「黒い時よりもフワフワだぁ。」

「だな。だけど俺は黒い時のマシュマロ翼の方が好きだなぁ。」




 3人で翼を堪能した後、【反転】を使って元に戻す。

 ステータスを見ると、新しく増えたスキルはちゃんと残っていた。

【反転】何ていいスキルなんだ。


「じゃあ、そろそろいこうか。待たせてごめんね。2人とも、手に掴まって。」

「うん。」

「おう。」


 マップを見ながら第二の街に向けて飛ぶ。

「久しぶりに飛んだねー!」

「な。風が気持ちいいな!」

「空気が澄んでるねー!酸素がいっぱだぁ!」

「さんそー?」

「るしって時々変な言葉使うよな!」

「そーぉ?えへへ。」

 風が頬を撫でる。

 3人はほのぼのと一時の空の旅を楽しんだ。



「あー街が見えてきたよー!」

 相変わらず目がいいですね。

 私には見えない…ということで、スピードを上げましょう。

 頬をかすめる風が少し鋭くなる。

「るし…は…はやす…ぎるぅぅう。」

 弱気で喋るのは、あの男らしいウォッカ。

 目に涙を溜めて腕にしがみついている。

「ひゃっほー!」

 ハイテンションなのはジン。

 片手で腕に掴まってユラユラと風に揺られている。

「ジン、落ちないようにね。」

「わかってるー!ひゅー!」

 若いっていいねぇ。





 勢いを上げすぎて、着地が門の目の前になってしまった。


 ザワザワ


 翼を閉まって街に入るための列に並ぼうとすると、門番さんに止められてしまった。

「おい、アンタは人間(ヒューマン)じゃないのか?」

「そうですが。」

 見ると、列に並んでいるのは皆 人間(ヒューマン)だけしかいない。

「なら、アンタはこっちだ。人間(ヒューマン)以外はこっちから入ってくれ。(ボソッ)」

 と言われて両肩を掴まれ、2人の門番さんに半ば引き摺られるようにして違う場所に連れていかれた。



「…何も無いじゃないですか。」

 あるのは街を覆う外壁のみ。

 訝し気に門番さんを見る。

「まぁ、見てなって。(開けごま)」

 と言って門番さんは何もないところを押した。


 ゴゴゴゴゴッ

 壁に扉の絵が浮かび上がった。

 それを押すと、扉がゆっくりと開く。

 これは凄い。

 まるで開けごまみたいだ。

 だけど、何故隠れるようにしてこの扉が作られているのだろうか。

「何で人間(ヒューマン)じゃない人はここからしか入れないんですか?」

 すると、その問に門番さんは少し悲しい顔をした。

「あぁ。実はな、最近この国は帝国ザバブルクに吸収されたんだ。この国は小国だからな、戦争が起こればイチコロなんだよ。この国の王様は優しいから民を傷つけないために戦争を避けようと、吸収されることを選んだんだ。だが、帝国は人間主義国家で、人間しか入れないようになっていたんだ。だから、この国もそうなった。元々は様々な種族で賑わっていたんだがな。皆帝国兵に追い出されちまったんだ。王はそれを悲しんでこの国の外壁に門をもう一つ作り、人間(ヒューマン)ではない者に◈偽装の腕輪を渡すよう俺達門番にその仕事を命令されたんだ。だから人間(ヒューマン)以外のやつはここの扉から入らなきゃいけねぇんだ。」

 そうだったんだ。

 帝国のせいで堂々と正面から入れないんだね。

 もしも人間(ヒューマン)以外の種族をこの国に密入国させている事がバレたらどうなるのだろうか。

「帝国にバレたらやばいんじゃないですか?」

「バレないようにこの腕輪を付けさせているんだよ。もしバレたとしても、今この国を冒険者(アドラー)が訪れてくれているからそいつらに、1人でも多くの住人をたすけてくれるよう協力を要請するよ。」

 ガハハと門番さんは不安をかき消すように笑った。

 腕輪を3つ貰い、鎧を外して腕にはめ、また鎧を付け直す。

【鑑定】をかけてみる。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 種族 ヒューマン

 名前 るし

 Lv11


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ◈偽装の腕輪、なんて便利なんだ。

「腕輪はこの国を出るまでは外さないでくれ。」

「はい。えと、お金はいいんですか?」

「あぁ。王様が無償で提供してくれたからな。」

 何ていい王様だろうか。

 1度見てみたい気もする。

「ほら、早く扉を通ってくれ。見つかるとちと不味いことになるからな。」

 私とジンとウォッカは指示に従って扉を通る。

「気を付けてな。真っ直ぐいったら大通りに出られるから!」

「はい、ありがとうございます!」

 別れと共に扉は閉まった。


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