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運極さんが通る  作者: スウ
序章
2/127

キャラ設定をしよう。

編集完了2021.6.29


 ログインした先は透明な海の上だった。砂を踏み締めると、冷たさの下に温かさを感じた。雲ひとつない空は真っ青。お肌の天敵、紫外線は容赦なく私の肌を焼く。ううん、ココドコ。

 探索がてら海をダッシュ。波の高さはちょうど踝ぐらいだから、溺れる心配はナッシング。

 暫く走り回って、ふと視線を感じて空を見上げると執事服の男が降ってきた。


「親方ァ、空から女の子が!」


 いやまぁ、殿方ですけれども。一度言ってみたかったんです、はい。

 波紋を広げつつも水面に触れない程度に浮いている殿方を感慨深げに見ていると、彼は慣れた手つきで胸に手を置いた。


「私は、あなたのチュートリアルの担当をさせて頂く東堂といいます。宜しくお願い致します。尚、チュートリアルは飛ばせませんのでご了承ください」


 真名、東堂。なるほど。目鼻立ちがすっきり整ったイケメンさんだ。声もテノールですばらしい。100点満点だ。

 私はよろしくの意味を込めて頷く。

 渾身の名台詞を無視したことはちょっと根にもつけども。


「まずはプレイヤー自身が操作するキャラクターの設定をしましょうか」


 東堂さんが私の反応を伺いつつ指を鳴らし、マネキンを出現させた。


「このゲーム『Live Online』では、髪型、顔、身長、性別など、細かく設定することができます。髪型や髪の色、目の色、肌の色……と、現実の世界ではありえないような配色ができますので、そちらにしてみてもいいかもしれませんね。設定は目の前に出ている画面から行うことができますよ」


 私は小説投稿サイトに入り浸ったり、マンガやアニメをこよなく愛する人種である。

 黒髪黒目にする気は毛頭ないぜ☆

 ……あでも黒髪黒目もそれはそれでいいかも。

 執事さんの言った通り、現実ではありえないようないい感じのキャラを作ろうと思ったのに、ベターなものも好みなのよね。ここは時間をかけてゆっくりと………。


「言い忘れておりましたが、時間制限は30分です」


 おのれ東堂!


「それを早く言ってください……」

「すみません……。なにぶん多くの人に説明してきたものですから。意図せず伝え忘れてしまうのです」


 などと爽やかな笑顔をふりまく東堂さん。顔がいい。許す。

 さて、30分となると、パパッと決める必要がある訳だが……うむ。悩むなぁ。

 


 ~10分後~


 髪色は銀色に、長さは膝まで。

 前髪は目にかからん程度の長さで。

 目の色はアメジストのような赤紫で。

 顔は……うん。凝りましたよ。かっこよくなりました。

 女の子だけど、イケメンに仕上げました。

 身長は、元の身長に+10して175cmに。

 肌は白く透き通るような色にしました。

 なに? 問題ある? ない。あるはずがない。

 最高傑作です。満足してます。


 次に決めるのは種族らしい。


「種族には色々な種類がありまして、まず、ヒューマン。これは基本的に人間ですね。器用貧乏な種族です」

「そんな事言ったら人気でないでしょうに……」

「いえいえ、そんな事はありません。このゲームをプレイしている40%のプレイヤーがヒューマンですよ」

「えっ!? なんで器用貧乏な種族選ぶんですか?」

「全てにおいてバランスよく、デメリットが少ないからですよ。……まぁ、このゲームは種族によるデメリットと言えるほどのデメリットは今のところはないんですけどね」

「どういう事ですか?」

「この世界では存在進化という、文字通り一つ上の種族に進化できるというシステムがありまして、外見が大きく変わることがあります。しかし、ヒューマンの場合だと、進化してもあまり外見が変化しないんですよ。デメリットはそれぐらいだといってもいいですね。あぁ、デフォルトだと他種族はドラゴニュート、ドワーフ、フェアリー、エルフと言ったものがありますね。まぁ、詳しくは目の前に出ている画面をご覧下さい。なりたい種族があればその名前をタップして下さいね」


 ふむふむ。カッコイイ種族になりたいな。

 そんなことを思いながら画面をスライドする。

 名前の下に種族ごとの特徴を持ったマネキンが表示されてる。これはわかりやすい。


ーーーーーーーーーー


種族


・ヒューマン ☆☆☆

・ドラゴニュート ☆☆☆

・ドワーフ ☆☆☆

・フェアリー ☆☆☆

・エルフ ☆☆☆

・フィッシャーマン ☆☆☆

・アンデッド ☆☆☆





 んん? まだ下に行けるみたいだぞ?



・ランダム(上記に書いてある種族以外のものを選べるかもしれない。だけどこれを使うと3時間の間、キャラの作りの直しができないよ? それでもいいのなら、レッツタップ!)


「あの……東堂さん。このランダムというのは……?」

「あぁ……気づかれましたか。そちらはこの7つの種族以外の種族になれる……かもしれない夢が詰まったもの。いわゆるガチャみたいなものですね。最高レア度は☆8で、レア度の高い種族は、種族ごとにこのゲーム内で1人しか当たらないもようになっております。宝くじで1億当てるより難しいですよ? プレイヤーの最低レア度は☆3で、存在進化で☆8まで到達できる仕様になっております」


 むむむ。どうしよう、めっちゃ悩む。

 正直どれも良い。全部になりたい。どのビジュアルみても好きになる成分しかなった。

 もし☆3が当たっても、存在進化というもので、☆8まで行けるらしいし。

 でもな、1人しか貰えない種族があるんだろう?

 むむむん。

 むぅぅぅん。

 この際だ。回しちゃえ!

 ていっ!


 欲望のままにランダムボタンを押すと、画面に表示されていた文字が消え、代わりにガチャを回す画面に切り替わった。画面に書いてあった文字が消え、変わりに、ガチャの画面にっ。

 東堂さんを見ると、どうせガチャの結果は大したことないだろみたいな顔でこっちを見てくるのでイラッと来た。おのれ東堂!

 可哀想な子を見る目で私を見るのはやめろ! 不運続きな人生を送ってきた私だけれど、少しは期待してくれてもいいじゃないか!


 こいっ、レア種族っ!! 私は東堂さんをギャフンと言わせたいんです。カモン!

 かもーーーーんッ!


 画面に表示されたガラポン、抽選機が回転しだす。

 手に汗が滲む。心臓の鼓動が周りに聞こえるんじゃないかってくらい全神経が、ガチャ結果に集中している。

 神様仏様、どうかお力添えを。

 不運よ、働かないでください。

 幸運よ、仕事してください。

 胸の辺りで十字を切っていると、黒くて少し青みがかっている玉が出てきた。


《・・・You are winner・・・》


 脳内に直接響く英文。画面いっぱいに舞うクラッカーの紙吹雪。


「種族……堕天使、☆8!?」


 種族の名前を呟いて、じわじわと興奮が体に染み渡る。

 えっ……えっ、アッ!?

 まじ? ふぇ!?

 やった! やったよ!?

 東堂さん! やりました!


「嘘だろ……っおめでとう!」

「ふっふっふ! ありがとうございます!」


 5分。東堂さんと私が歓喜に湧きに湧き、テンションを通常モードに戻すためにかかった時間だ。

改めて堕天使になったマネキンの姿を見る。

 背中から2対の漆黒の翼が生えていて、長さは床に着くかつかないかぐらいだ。

 初心者用装備に、黒い2対の羽はとてもシュールで、思わず吹き出してしまった。

 東堂さんも吹き出しそうになるのを堪えているようだった。目があうと気まずそうに視線をそらしたけど、私は見てたからね。


「おほん。では、このゲーム内にて使用するプレイヤー名を決めてください」


 これはもう決まっている。色んなゲームで使っていた名前を使う。


「るし。で、お願いします」

「ルシファー、もしくはルシフェルからとりました?」

「よくわかりましたね。さすがです」

「はは。さて、るし様でございますね。るし様は初回特典のIDを持っておられますか?」

「はいっ!持ってます!」

「では、こちらの画面にIDを入力して下さい」


 ふはははは。並んだかいがあった。

 どうやら初回特典だと、その種族にあったアイテムが貰えるらしい。

 東堂さんがIDを確認して、アイテムを出してくれた。


「堕天使にはこの『闇の追憶』というものが特典として付いてきます。効果は自分の運が2倍になります」

「わぉ、ぶっこわれだ……」

「そうとは限りません。るし様が運にステータスポイントを振らなければあがることもありませんので。これは種族専用装備なので紛失不可になっております。大切にお使い下さい」


 黒い涙のようなアクセサリーが付いた髪紐で、厨二病心をくすぐる装備だ。


・闇の追憶……装備者の現在の運を2倍にする。闇に落ちた天使の過去の記憶。 ※紛失不可


「次にステータスです。ステータスという言葉を口にするか、念じてみてください」


 ほう……念じるのか。

 サイキックになった気分だ。

 


ーーーーーーーーーー


ステータス


名前 るし

種族 堕天使

Lv1

HP(体力)800/800 MP(魔力)1000/1000

SPD(敏捷力) 0 ATK(攻撃力) 0

STR(筋力) 0 MND(精神力) 0

DEF(防御力) 0 DEX(器用力) 0

INT(知能力) 0 LUK(運) 0

残りポイント250


ーーーーーーーーーー


強そう……だけど体力とMP以外は0だ。


「参考にヒューマンのステータスをみますか?」

「はいっ! 是非!」


ーーーーーーーーーーー


ステータス


名前 〇〇

種族 ヒューマン

Lv 1

HP 200/200 MP150/150

SPD 0 ATK0

STR 0 MND 0

DEF 0 DEX 0

LNT 0 LUK 0

残りポイント100


ーーーーーーーーーー


 おぉ。


「レア度が高いほど振れるポイントが多いんですよね。でもまぁ存在進化をすると皆さん相応のポイント支給と体力魔力の上昇がありますので、レア度が高い人は序盤は有利ですが終盤では皆さんと同じステータスになると思います。では、ステータスの下の方に残りポイントがありますね?そのポイントを任意でステータスに振ってください」


ーーーーーーーーーー


ステータス

 

名前 るし

種族 堕天使

Lv 1

HP 800/800 MP 1000/1000

SPD 0 ATK0

STR 0 MND 0

DEF 0 DEX 0

INT 0 LUK 0→250(装備効果:500)


ーーーーーーーーーーー


「運に全てですか。ほ、他のステータスに振らなくても大丈夫ですか? 今ならまだ間に合いますが」

「いえ、これで大丈夫です」


 いいもの出したら事故るって、友達が言ってたからなぁ……。

 実際、車に轢かれたり、木から落ちたり、階段を踏み外したり、間違えて誘拐されたり。極めつけはさっき小指を打ったりしたし。

 うん! これでいいや! 運があれば、運良く攻撃とかもよけれるでしょ!

 なんですか東堂さん、その顔は。


「馬鹿だなぁと思いまして」

「おいこら、ついに本性をあらわしやがりましたね」


 くつくつ笑う東堂さんは長い指で口元を隠した。

 いまさら隠したって遅いんですよ。


「ステータスの極振りは後々後悔する方が多いんです。途中で振りなおすことなんてできませんし。だから、今のは忠告のようなものです」

「人を馬鹿にするのは忠告なんです……?」

「はは」


 東堂さんが指を鳴らした。画面が切り替わる。


「……では、戯れはここまでということで。スキルの設定に参りましょう」


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