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何年、何回、何度でも

作者: 七瀬渚



あの日 一度目の恋をした



『運命的』


とは違ったかも



可愛い人だなぁと思ったくらい


からかってくるの 少年みたいで


自慢話するの いきがってるみたいで



可笑しくて 可笑しくて


くすぐったくて



ツンツン主張してる 長い髪



なでなで わしわし


しちゃったの



セットに30分かかったって


知らなかったの


ごめんね




とんでもない奴だと思ったよね


それ


私もだったのよ




あの日 恋をしてるんだって知った



『ロマンチック』


とは違ったかも



何でもかんでも 急なんだもん


私の計画 完全無視で



帰らなきゃ怒られるのに


眠った私を起こさなかったり




「あれ?終電もうないの?」




ねぇ


わざとでしょ? わざとよね?



よしよし しめしめ


やった! って



顔に思いっきり出てんのよ




「やだ 、もう帰りたくない」




怯えてる私を引き連れて


いきなり実家に押しかけて



ゲリラ豪雨なんて呼ばれた人よ




あの日 嫌いなあなたを見た



流されやすい 優柔不断


騙されやすい 単純さ加減



大人になったんでしょ?


もう しっかりして



反発する人に怒鳴ったり


ぶつかった人を睨んだり



…私の為に そこまでしないで




あの日 我儘わがままな私に気付いた



責められれば 言い逃れ


私悪くない あなたのせい



気付いてくれない あなたのせい


泣きじゃくるくらいしか 出来なくて



うるさいとか言わないで


過保護とか言わないで



…あなたにだけ なんだから




執念深いって 気付くの遅い


重すぎる 想い


悪かったわね



優しすぎるって 知っていたわ


依存気質も 甘えたい衝動も


もう隠せない



戻れないよ




ぶつかる度 すれ違う度


我を忘れて張り上げた



周りの人たちからしたら


迷惑以外の何ものでもなかったわね




あの日



私たちの



『自分勝手』を知った




自分たちで作った 道なんかじゃない


甘いばかり


じゃなかったよね



見苦しいところ あったよね



沢山 泣いて 傷付いた


振り回されて


荒れて 乱れた



それって 私たちだけ


…じゃないよね



この土台は 犠牲だよね




きっと




子どもだったよね





あれから歳月が流れました



永遠と誓った あの日から



あの日と同じ 数字を迎える度に



あなたは一つ


また一つと




増やして私に与えてくれます




赤い薔薇が この腕いっぱい




「もう持てないわ、困ったわね」




しわしわになった顔を くしゃくしゃにして



苦笑するまで 傍に居て




こんな未来を夢見てる


実現せよと願ってる



ねぇ



今でもまだ 奪いたくなる



今年、私は




八度目の恋をします




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― 新着の感想 ―
[良い点] 拝読させていただきました。 1度目の恋から始まり、最後には8度目の恋。 時の流れを感じさせてくれ、良いと思いました。 『からかってくるの 少年みたいで 自慢話するの いきがってるみたいで』…
[一言] 拝読させて頂きました。 読みながら、自分たちの馴れ初めを思い出しました。 確かに運命的ではなかったなあ〜とか(笑 出会ってから苦労の連続でした。 そして、それは更に輪をかけて現在進行形です…
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