表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

涙ちょちょぎれそう。なんて言葉を大事な時に使う日が来るなんて思わなかった。

作者: るーく

あらすじにも書いたのですが兄と弟の恋愛が入ってるので大丈夫な方のみよろしければお読み下さい。

みーんなー!こーんにーちわー!カツキお兄さんだよー!



俺は小さい頃弟を大切にしてた。あ、でもすまんブラコンとは言えない。

何故なら中途半端に構うからだ。

弟はあの子供向け番組が好きだった。なので時間になるとテレビの前を陣取る。弟が出来たばかりの時は嬉しくてそれこそ本人が嫌がるのに構ってたが大きくなり外へ遊ぶ物が増えるとあっさりと弟から離れ友達と遊ぶようになった俺は暇な時というか気が向いた時だけ弟に構っていた。うん、子供だし周りもそんなもんなんだろうとは思うが中々酷い兄ちゃんだったなごめん弟よ。

あぁ、テレビな。

弟はとにかくその子供向け番組が好きだった。特に歌のお兄さんが好きで彼が踊ると自分も踊る。同じ踊りではなく不思議な踊りになっていたが。

俺は学校から帰ってきてその不思議な踊りを見たのだが、弟が兄ちゃん!とそのテレビの人物を呼ぶのにムカついた。普段構わない癖にその日はもう構いまくった。弟はすげぇ嫌な顔してたのは覚えてる。


歌のお兄さんは画面越しだが毎日弟を構ってくれている。一方俺は気が向いた時だけ。当然の反応だろう。

だが俺は兄ちゃんと呼ばれるのは俺だけにして欲しかった。


結果。

歌と踊りをすんげぇ練習し歌のお兄さんの台詞というか話し方も覚えた。あ、言っとくけどあくまで子供向け番組の歌と踊りな。うん、残念だけどもう一度。

子供向け番組の歌と踊りです。

そして両親や友達も巻き込んで子供ながらいい出来だと太鼓判を押してもらいいざ弟の前で披露!



弟号泣。



あ、嬉し涙じゃないです激怒でした。



それ以来弟はその番組を見なくなった。

ちなみにそれを見てた時は一切そこから動かなかったので母ちゃんはその間に家事やらなんやらやってたのでお前の所為だと滅茶苦茶怒られた理不尽!


まぁそれは置いといて何で今それを言うのかって話しですよね。


うん、今弟がしてる顔がそれだからです。



「兄ちゃん」



突然ですが俺達兄弟は異世界に召喚されました。

お前頭可笑しいんじゃねぇのって?俺もそう思いたかったけどしょうがねぇじゃん現実なんだもの。

何回目を擦っても目の前の景色変わらねぇんだもの。

意味の分かっていない俺達にかけられた言葉は勇者様、この世界をお救いください。

ざけんな、その前に俺達が助けて欲しいわ!

と言う余裕なんてなくあれよあれよという間に地面に刺さってる勇者の剣を引き抜いた。


弟が。


そう、弟が勇者で俺は巻き込まれただけだった。


弟と俺は世界を救うために魔王を倒しに行った。仲間は姫様と戦士と魔法使い。ゲームかと思った。

ちなみに俺は何も出来ない。足手まといなのになんで一緒に行ったって?

弟一人に行かせられるわけねぇだろうが。

弟は勇者なだけありなんか切り倒したり魔法使ったりすごかったよ。俺は何も出来なくて本当にただただ邪魔なだけだったけどそれでも弟から離れる気はなかった。


えぇ、もう姫様とか戦士とか魔法使いには物凄い罵倒やら暴力受けましたよ。弟にバレないようにね。

だって斬られても燃やされても姫様の魔法で治せるから証拠残らないしね。

弟に言うなんて選択肢ないよ。俺は兄ちゃんなんだ。

それだけが理由じゃないけどな。あ、でも大半は兄としてのプライドです。

え?どうでもいいから理由?冷たいなぁ、最後なんだからいいじゃんか格好つけても。


魔王は瘴気を放つ。異界の扉を開いて。

その瘴気が世界を腐らせていくから魔王を倒して欲しいってことなんだけど、魔王を倒すとその扉が開きっぱなしになるんだって。

助かる方法は中に入って閉めるしかない。

それが出来るのは勇者。

と、勇者に近い血を持つもの。


そう。勇者召喚に巻き込まれたわけじゃなく、俺にも役目があったってこと。


勇者はその能力から失うのは惜しい。

俺が最初の暴力を受けた時に言われたことだ。

だからこそ彼等は俺を連れてきたとも言える。

だって勇者と何も出来ない奴のどちらかが犠牲になるだけで皆が助かるなら皆が何も出来ない奴を差し出すだろう。

ついでに旅の鬱憤をはらせるしね!



まぁそんな訳で俺は今扉を閉める所です。

弟があの顔で泣いて叫んでる。

姫様が、戦士が、魔法使いが弟をとめていた。


これは何度もイメージした中のCパターンだよな。泣きそうな顔をしてる弟に幸せにな、笑顔見せろよってなって泣きながらも無理矢理笑う弟の顔を見届けるやつ。


馬鹿じゃねぇのって?

何回もイメージトレーニングしないと笑って死にに行く覚悟なんて決められなかった。

弟を前に泣きたくなんてない。

俺は兄ちゃんだ。


俺は最後なんだから笑顔見せろよってイメージトレーニングした通り笑って言ったんだけど、弟は違った。笑顔を見せてくれず、あの顔のまま言った。



「許さない」



弟よ、兄ちゃん涙ちょちょぎれそうだよ。



まさかの最後の台詞を残し俺の人生は終わった。






はず、だった。






「許さないって言っただろ、兄さん」



目を開けると大きな弟がいた。

え?あれぇ!?



「もう俺のが年上だから兄さんが弟かな」



いやいや意味分からん!何で俺生きてんの!?



「そんなのもう一回扉開いたからに決まってんだろ」



なんてことしてんだコイツ!?



「格好良く死なせる訳がないでしょ」



いや俺の最後どう考えても格好良くないよね!?お前の所為で可哀相な終わり方になってたよ!


俺の叫びは綺麗にスルーされあれからのことを教えてもらった。

実は扉を閉める役目は王族は皆出来るそうだ。

えぇ……死にたくないが為に俺は呼ばれたのさ。

今までの勇者関係もそうだったみたいだ。

弟はもれなく俺を見つけるまで王族に扉を閉めさせたらしい。あぁ、開けるのは弟が出来るそうです。魔王倒したから。え、怖い。

王族はもれなく皆さんいなくなっちゃったそうです。最後はあのお姫様だったそうでもうそれはそれは楽しそうに話してくれました。

縋り付いてきたので蹴ったら顔腫れて歯が抜けてあの顔は傑作だったとかすんげぇ笑顔。兄ちゃんにも見せたことない笑顔だよ、弟よ。

戦士と魔法使いは民衆の皆さんにつるし上げられたそうです。

どうやったかって?



「もれなく全部話しただけだよ」



本来扉を閉めるのは王族の役目。なのに勇者の身内にやらせていたこと。戦士と魔法使いの家系は代々その秘密を知っていながら実行してきたこと。本来諭さなければならない立場なのにお金とか地位貰ってたんだと。



「兄さんにも見せたかったなぁ。俺の名演技」



弟は泣きながら話したそうだ。兄が馬鹿で勝手な王族、戦士、魔法使いに殺されたことを。

そして煽った。

勇者に勝てるワケがない。民衆の目の前で扉を開けて王族に閉めさせたそうだ。俺を探すという名目だけど公開処刑ですよねそれ。

瘴気?………戦士と魔法使い及びその家系に吸わせたそうです。……腐るんだよね……ひぃぃぃ!要するに関係者皆さんお亡くなりになってますよね!

魔王を倒したから瘴気の扱いも自由ってやったことといいもうお前が魔王じゃねぇか!



「外れてないよ。代々身内を失った勇者が悲しみから魔王になったんだから」



なんだってぇえぇ!



「あぁ、でも王族が扉閉められるのは知らなかったみたいだね。俺はあの馬鹿な女から聞いたから」



兄さんがいなくなってよかったなんて演技でも言いたくなかったよ。って言う弟の顔は笑顔だ。台詞で愛されてるの分かるけどさ、ちょっと待って。

魔王な弟にもびっくりだけどあの時に笑顔見せてくれないであの顔はどうなの。



「……兄さん分かってないね。テレビはさ、俺達からすると遠い所の話しでしょ」



うん、まぁ言いたいことは分かる。実際にある場所だけど触れないし遠い世界に見えるよな。



「そんな場所へある日突然大好きな兄が行ったらどう思うの?」



……あぁ、すいませんでした。

そして思った以上に弟の俺への愛が重い件が発覚しました。



「俺は許さないって言ったでしょ」



あ、はい。



「俺は二回もあんな思いをさせられたんだ」



一回目は可愛いけど二回目のあれ一緒にすんの。

やだ、重さが加速してない?



「だからね、三度目はないよ」



その為の力も手に入れたからね、って……え?

弟様が王様なの?

そして俺は妃?待って俺男。そして貴方の兄。

自分が法?

いやいやいや!そうだけど待って!

子供は世界樹の実を育てれば良い?

待って、待って、お願いだから兄ちゃんの話しを…



「もうずっと待ったよ」



弟よ、兄ちゃん涙ちょちょぎれそうだよ。



今度はこの言葉で始まっちゃうんですか俺の人生。

読み返してまさかの冒頭に兄の名前があったことに驚いた。意味ねぇな!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] いい具合の疾走感w
[良い点] 壁|w・)愛が重いぜw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ