3・ちょんまげ
昨晩は愚痴を聞いてやったり酒を呑んだり旋毛を押したりしながら朝方まで呑んでしもうた。
泣いていた女神はトイレに行ったまま帰ってこなかったので先に店を出て帰ってきたがリア充に情けは禁物である。
二日酔いの頭痛もするので寝床の上で寝っ転がったまま入力端末を弄っておるのじゃが。昨日の状態では装備が無しになっておったわ、危ない危ない。
前に聞いた話じゃが、どこぞの全知全能神が。
「全裸プレイで俺つえぇぇぇぇ!してくる!!」
と叫んで神権限のまま異神界のダンジョンにダイブ、無双してドヤ顔で帰ってきたそうじゃ。
翌日、首から紐を通した石版を下げて正座させられておった。
石版には「俺つえぇ!ダメ!絶対! 観光課」と書いてあったは妾も見た。
あんな目に会いたくない恐ろしいの。
話がそれたの、装備欄に触れると職業毎のセット装備というか初期装備が「極東」「東部」「東南」「東北」「中央東部」…略
試しに「極東」を選んでみるとアバターの服装と髪型が変わったのう、ん?。
妾自慢の巻き髪の一部が紐で縛られて頭頂部に載せられておる?なんぞこれ?可愛いのかこれは?。
服装も肌着にズボン襟と袖の付いた布を同じく布のベルトで結び締め背面部分の裾をベルトに引っ掛けておるし、ベルト部分に銀色の途中に枝が生えているかのような武器の棒。な
んとも珍妙な装備じゃのぉ。
「う~ん!?」
職業欄も「賞金稼ぎ・岡っ引き」に変わっておるぞ?。装備と職業が連動しておるとな!?レアな固有職では無かろうか?。
カスタマイズ出来るので服の色も妾の髪色と同じ赤紫に変更してみるとなかなか可愛い気がしてきた、襟と袖口、裾、ベルト部分に白のレースを付けてみる。背中部分に○の中に極東語で酒と入れて完成としておこう、我ながら可愛く出来たと思う、流石妾じゃ崇め仕るがよいぞ。
ステータスでは無いのじゃが到着座標が指定できるようじゃ。
ふむふむ、項目に触れて眺めておると昨夜の女神、パールヴァティ通称パー子からのメールが妾の通信器に着信しておったので先に中身の確認じゃな、昨日の礼が書いており、お礼として妾が欲しがっていた異神界の書物が添付されておった。
気遣いが出来る昨夜の旋毛を押して嫌がらせした事を反省した。
パー子が翻訳しているので他の神々より先に読めるのじゃ!とても嬉しいし自慢して回りたいがここはグッと我慢じゃ。
神界の書物の中には冒険記が多く先ほどの全裸プレイで俺つえぇぇぇぇ!してくる!!の神も異神界書物を読んで興奮したのが原因らしいが知ったことではないがの。
リア充改め独柱仲間として今後共仲良くしようと返信したおいた。
折角の異神界書物は楽しみではあるが今日からはそれら書物を生み出した星への旅行である、異神界書物の原書を見たり触ったり購入出来るかもしれないのじゃ。
興奮して頭が冴えてきた、もう行くしか無いのじゃ!。
この時の妾は忘れておったのじゃ、項目を触れていた到着座標が「西部」である事を…最近は駄目神とか駄女神とか呼ばれる柱が居るそうじゃが妾には関係ないことじゃのう。
宇宙環境省観光課の建物に入り受付で手続きを済ませて入力端末を持って併設のダイブカフェへと向かう。
自宅からのダイブではラグというかアバターに体が馴染まない気がするのじゃ、割高ではあるが旅行中の快適さや安全性は段違いじゃ。
ハッチを開けて棺桶の様なスペースに寝てハッチを締め準備完了。
意識の中に有る設定したアバターが現れるとダイブボタンが認識出来るようになったのでダイブスタートじゃ。
ダイブと同時に一瞬意識が途切れ光りに包まれ、大きく大きく揺れた。
意識が戻ると自動でハッチが空いていた。
窓に有るステンドグラスから天使が実体化しながら棺桶の横に降り立つ。
もそもそと棺桶から出て立ち上がり、体が馴染んでいるか試しにう~んと小さく声を上げて伸びをする。
視界が霞み軽い目眩と吐き気、よろけて天使に支えられ心配されてしもうた、ステータスを確認してみると…いろいろと変化があったので説明を聞いてみるとするかのぉ。
嫌な予感がぷんぷんするし。
「妾も少し酒臭いかの?」
ちょっと嗅いでみたが自分ではわからなんだ。
天使が言うには飲酒状態でダイブした為にペナルティーが科せられたそうじゃ、罪の重さは含まれるアルコール量で罰則が決められとの事、妾は一番軽い処罰だったらしい。
スキル欄に《飲酒運転》《酔拳・特級》《法令遵守・失効期間30日》が追加されておった、処罰内容は以下の通り、永久停止とかも有るそうじゃ。
レベルやステータスは鍛えたり経験することで上げられるがダイブシステムの利用は30日の停止処分。
異神界書物でも読んで過ごすかと確認してみたら到着座標が「西部」になっていたので到着座標が希望座標と大きく離れた地点、再度移動は可能だが失効期間中は使えない。
「これも30日待ちかぁ、厳しいのぉ」
と嘆いておったらこの時代には妾の求める神界の書物はまだ出版されておらず100年以上先の話、時間軸の移動については通常利用外になるので利用に関しては上司のパー子に確認してみるとのことじゃた。
とりあえず気を取り直して暫く頑張ってみようと思えたので天使に礼を言って表に出る。
協会の地下室から出て軽く体を動かしステップを踏む、協会の壁を殴っる。
「うむっなるほどな…」
小さく一声出してから痛む拳を抱えて。
「痛ってえええぇええええぇぇぇぇ」
大きく息を吸い込んで。
「妾!弱えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
心の叫びじゃった。泣きそうじゃった、というか涙目じゃった。妾から皆に一つ大事なことを言っておこう。
「飲酒運転ダメ!絶対!」
名前 :リーナ
性別 :女
種族 :人族
職業 :賞金稼ぎ・岡っ引き
ランク:F
レベル:4→1
筋力 :49→9
俊敏 :49→9
魅力 :49
運気 :49→9
魔力 :49→9
年齢 :18歳
身長 :155
家柄 :不明
家族 :不明
スキル:《飲酒運転》《酔拳・特級》《法令遵守・失効期間30日》《捕縛術》《逮捕術》《酒魔法・特級》
見た目:赤紫毛ドリル・丁髷
:スタイルそれなり
装備 :武器《鉄の十手》
:防具《岡っ引きの肌着》《岡っ引きのズボン》《岡っ引きの上着》《岡っ引きのベルト》《岡っ引きブーツ》