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9/10

夢と現のカタミチキップ

ラストです

次の話にめっさ短い後日談があります


色々考えましたがおまけはカット


ということで


人物表

ルカ

一応しゅじんこー 名字はご想像にお任せします さびしんぼう 今回ほぼ出番が!


アリス・イン・ワンダーランド

一応ひろいん ちなみにルカ姉≠アリスです 別人です ご了承ください 今回の一人称


巫女さん

いつものあの人 いつかメインに入れたげたいですね またお前かといわれても謝らない


 寂しい…。


「寂しいですか?」


 どうして皆居なくなるの?


「寂しいなら、大切な人が出来るまでボクがお呪いを掛けてあげましょう」


 赤い少女が覗き込むようにして話しかけてくる。


「でも、約束は忘れないでくださいね?」


 彼女はそう言うと、楽しそうにくすくすと笑った。



□ □ □ □



 ルカさんが倒れた後、失礼だとは思いましたが勝手にお家の方へと運ぶことにしました。…他意はないです。

 別にお部屋が見たかったから、とか背負ってる時間を少しでも長くしよう、とかそういう邪な考えは全くありません。私は縦縞に生きたいと思います。


 起こさないように気を付けながらルカさんをお布団に寝かせると、彼女は何処か安らかな表情で眠っています。

 苦しそうだったのでコレはありがたいことですが…ルカさんの服が寝汗で濡れてるじゃないですか!

 こここ、これはふ…服をきき着替えさせないといけないですよね?いけないですね!?いけないですとも!

 そうとなれば善は急げ、彼女が起き…彼女が寒さで風邪を引く前にルカさんをお着替えさせることにしましょう。風邪はダメです風邪は。

 ですが…辺りを見渡しても着替えのようなものは見当たりません。そもそも家具自体が少ないので探索不足ということはないでしょう。

 部屋にあるのはお布団が一式と扉くらい。会うたびに服は変わっていたので別の部屋にあるんでしょうか?

 ということでつっかえつっかえとなる扉を開けて廊下へと出ると、とりあえず一番近い部屋へと移動します。


 そこで見えたのは壁に掛かっている赤いコート、古めかしい箪笥、そして箪笥と同じく叩けば壊れそうな本棚でした。中身は…絵本ですね。それもかなり綺麗な感じの。

 少し不思議には思いましたが、とりあえず本棚ではなく目的のものが入っているだろう箪笥へと近づきます。

 箪笥の上には鞘に入れられてるナイフと思わしきものが2本そして、何でか真新しい写真立て。

 写真はどうも和服の女の子が2人写ってるらしく、片方は楽しそうに、片方は無表情にカメラのほうを見ていて、何処か対照的な印象があります。

 たぶん片方の楽しそうな子はルカさんでしょう、今よりも幼い感じでとても可愛らしいです。本当、貰っていきたいくらいに。

 ですが気になったのはもう片方の子。

 この子…誰かに似てる気が…。

 私が写真立てを手に持って考えていると、隣の部屋で何かの倒れる音が聞こえました。


「ルカさん?起きたんですか?」


 考えるのは脇において置く事にして、早速ルカさんの様子を見に行くことにします。

 私が扉を開けたとき、彼女はゆっくりと立ち上がっているところでした。

 夢現な表情をしている彼女と目が合った瞬間、私にはその人が誰かわかりませんでした。そして感じたのは、違和感。


「ルカ…さん?」


 話しかけるな、という内なる警告を抑えるようにして大好きな彼女へと話しかけます。

 すると、彼女は何処か夢現な表情のままにこりと笑うと、ゆっくりとお辞儀をしました。

 違和感が…強くなっていきます。


「おはようございます、姉さま」


 …え?どういう…。

 私が混乱する間もなく、ルカさんはお辞儀の姿勢のままバランスを崩したように倒れていくので、とっさの判断でその身体を支えます。

 すると、彼女はそのまま…まるで甘えるようにぎゅっと抱きついてきました。


「姉さま…あったかい」


 とくん、と私の鼓動が鳴る音が感じられます。


「姉さま姉さま…絵本、読んでくださいますか?」


 ルカさんはうわ言の様に呟くと、そのまま意識を失った様で寝息が聞こえてきました。

 疑問と混乱でぐるぐるとしている私を残したまま。



□ □ □ □



 一人の女性が、両手にナイフを持ちながら夕焼けに染まる教会へと入っていく。その女性はシャツとジーンズの上から赤いコートを着ていて、何処か人形の様にも見える。

 彼女は教会の中を警戒をしていない様にふらりふらりと歩いていたが、突然彼女の頭上から黒い影のような物が降ってきた。

 次に響いたのは、何かの悲鳴。

 そこには彼女の手によって腕を切り落とされ、痛みに悲鳴を上げる動物の様な影と、その黒い返り血を浴びながらも悠然と眺めている女性の姿があった。

 そして女性は、影が振り下ろした腕をナイフで弾くと、その首を切り落とした。

 ゆっくりと溶けるように消えていく影を見ることもせずに、女性は出口へと歩いていく。

 しかし、突然女性の胸から黒い槍の様なものが突き出したかと思うと、それも影と同じく溶ける様にして消えていった。

 倒れた女性から流れる血が、床に不思議な模様を描いており、さっきの一撃が致命傷となっていることがわかる。


「まったく、久しぶりにあったかと思えば死に掛けてるんですね、ルカさん」


 何時の間にいたのだろうか、倒れる女性を一人の少女が見下ろして居た。少女は巫女服の上に赤いコートを着ており、手には水晶のあしらわれた杖。


「五月蝿いなー…静かに寝かせて…」


 ルカは隣で眺めている少女へと呟くようにして言うと、また浅い息を続ける。


「んー、友人としてこのままあなたを殺してしまうのも惜しいですねー」


 彼女はくすりと笑いながらそう呟くと、杖を一文字に構えた。


『失われし我が名の下に命ずる』


 彼女がそう呟くと、女性の足元から魔方陣が現れ、女性は静かになった。


「ではではいってらっしゃい、ルカさん。願わくばあなたに幸せがあることを」


 少女はどこか別の場所を見ている様な表情で呟くと、倒れて居る女性の近くにしゃがみこんだ。



□ □ □ □



「んぅ…」


 いつもの如く、絵本を読み聞かせていると、ルカさんは糸が切れる様にして眠りに付きました。

 ちょうどいいので、彼女が眠っている間に私は3日経った時点での考えを纏めることにします。

 まず最初に彼女は私を別の誰かと勘違いをしていること。

 2つ目として、彼女が眠るときは意識と関係なく落ちるようにして眠るということ。

 3つ目、コレが一番気になりますか…彼女が眠る時間がだんだんと長くなっていっているということ。

 3日でわかったことはこの3つだけ…考えても答えが全くでないですね…。

 よくよく考えてみれば、私はルカさんのことを全く知りません。

 名前のことも、好きな食べ物や嫌いな食べ物に至るまで…。

 まったく、呆れてものも言えないですね。


「あなたは今どんな夢を見てるんですか?ルカさん」


 私が安らかに眠る彼女の髪をなでていると、突然後ろから気配がしました。


「アリス・イン・ワンダーランドさんですね?初めまして」


 襲撃者!?こんなタイミングでですか!


「動かないでくださいな」


 私がとっさに振り向こうとすると、静かな声が聞こえます。


「少しでも変な動きをしようとしたら遠慮なく攻撃を加えます。…あなたは避けれても、そこに居る彼女はどうでしょうね?」

「っ…」


 誰かの声に身体を止めると、くすくすと笑うような気配がします。


「そんなに緊張しないでくださいよ、殺す気ならとっくにやってるんですから」

「…不法侵入って言葉は知ってますか?」 


 信じたわけではないですが、その言葉の裏に黙っていたら攻撃する、という意図が見えたので話しかけます。


「生憎と、常識というものを教わらなかったものでして」

「そうですか…そちらの方を見ても?」

「ん、んー…それはダメですね。ボクの方から動くことにしますのでしばしお待ちを」


 …振り向き様に攻撃を加えるのは見抜かれてましたか。

 やがて、とたとたという足音がしてきて、誰かは私の目の前にやってくると、ぺこりとお辞儀をしました。

 見ようによっては女性にも少女にも見える黒髪の彼女は、ルカさんと同じ赤いコートを着ており、その下はなぜか巫女服。紅白というには少しばかし紅色が濃いですね。


「初めましてアリスさん、私は…」


 どうしてかそこで切ると、窓の外へと視線を向けてんー、と呟いています。


「…私は、魔法使いということにしましょう」


 魔法使い…?ふざけてるんでしょうか?

 ですが今は一刻も早くこの状況を何とかするのが先です。もしも目の前の彼女の気が変わったら、ルカさんか私、どちらにしても無事ではすまないでしょう。


「…それで、魔法使いさんが一体何のようですか?」

「ん、んー?そうですね、時間も少ないですし始めることにしましょうか」


 そして彼女は無表情になると、告げた。


「このままだと、ルカさん死んじゃいますよ?」

「…どういうことですか?」

「うすうす感づいてるんじゃないですか?糸が切れた様に意識を失う彼女、起きているときは夢現で、何処か別の場所を見ている。そして、日々が過ぎるごとに目覚める時間が短くなっていく」


 そこで彼女はルカさんを見てくすりと笑いました。


「うすうす、感づいてるんじゃないですか?」

「…」


 こいつ…何者でしょう。

 私の沈黙をどう受け取ったのか、彼女は楽しそうに笑うと話を続けます。


「まぁ、どちらでもいいんですけどねー。ということで、不肖ながら私がある少女の物語を語ってあげましょう」

「…」


 何処か芝居掛かった口調で話し始める赤い少女。

 その姿は隙だらけで何時でも攻撃が出来るのですが…とりあえずは彼女の話を聞くことにします。

 今は、それくらいしか手がかりが無いのですから。その手がかりのためなら、なんでもしてみせましょう。


「ホントはいけないんですが、緊急事態ですし秘密ですよ?」



 そういって始めた話は誰かの昔話の様。

 ある有名な魔術師の家に二人の姉妹が生まれた。先に生まれた姉は魔力の適性がなく、後から生まれた妹は天性の物があった。

 まったく期待を受けない姉と、時期当主という期待のされすぎて潰れそうになっている妹。けれども対照的な彼女たちは姉妹ということもあり、とても仲がよかった。

 妹が姉を支え、姉が妹を包み込む。

 閉じた家の中で永遠に続くと思われた二人だけの世界。

 しかし、ある日事件がおき、二人の世界は崩壊を告げる。

 姉が自らの父親を殺してしまった。

 それは妹を守るたるなのか、それとも自身の境遇を嘆いた結果なのか、それはわからないが、妹はそんな姉を守るために全ての罪をかぶろうとする。

 姉に、瀕死の重傷を負わせることによって。

 その結果、妹は長く続いた監禁状態で人形の様になり。姉は支えとなる妹を失ったことで他人がわからなくなる。

 そして、妹は親殺しの罪を着せられたまま山へと捨てられ、そこで魔法使いに会い、姉の記憶を消す様に頼む。

 その結果、世界に一人残されるということも知らずに。



「…というお話なんですよ」


 そういって彼女はルカさんへと優しい目線を向けた。今ので完全に確信が出来ました、コレは…ルカさんの昔話。


「その少女は今でも夢を見てるんですよ、自分が手に入れられなかった幸せな夢を」


 そこで彼女は私の方へと視線を向けました。


「お姉さんに似ている、あなたを通して」

 

 ああ…なるほど。

 思い出すのは3日前、真新しい写真立てに入っていた二人の少女。

 あの写真は…私に似てたんですね。


 ですが、それでは疑問の解決にはなっても問題の解決にはなりません。


「…それで、私にどうしろと言うんですか?」

「アリスさんはルカさんのお姉さんに似てます。ですから、あなたには選んでもらいたいと思います」

「…何をですか?」


 なので聞くことにします。答えないなら、強引にでも。


「そんなに怖い顔しないでくださいよ」


 彼女はそういってくすくすと笑うと、続けました。


「夢を終わらせて生きて貰うか、幸せな夢を見ているままで死なせてあげるか、です」

「…」

「それでは、昔話はこのくらいにして、別のお話を始めましょうか」


 彼女は続けます。私に選ばせるために。


「知ってるかも知れないですが、ボクたちはあなたとは別の世界の人です。

 夢の世界、パラレルワールド、あり得たかも知れない可能性の世界、言い方はどれでもいいですが、ボクたちはそんなとこからぴょーんとやってきました」


 …彼女はなぜか手を頭に乗っけると跳ねる仕草をしています。


「まぁ…詳しくは省きますが、ルカさんが死に掛けてましてね。せっかく出会ったんですし殺したまま、というのもアレなので治療する時間を得るために魂だけ飛ばさせていただきました」

「そんなことが出来るんですか?」

「あれ?知らないんですか?」


 彼女は何処かおどけた様にして笑った。


「魔法使いは、奇跡を起こすものなんですよ?」

「…それは初めて聞きましたね」


 私がそう答えると、彼女はアレ?という顔をして私の顔を覗き込んだり、いい決め文句だと思ったのになー…とか呟いたりしています。


「ま、まぁ、それは置いといてですね。

 別の世界で魂だけ飛ばした、ということはさっき言いましたが…器が無い以上、あまり長くいると戻れなくなります。具体的には死にます」

「それまでのタイムリミットがもうすぐ…ということですか」

「はい、長くても後4日ですね」


 4日…4日ですか。


「ですからあなたに会いに来たんです。ルカさんは死んでもあなたの傍に居ることを望みました。あなたは、どうしますか?」


 彼女は真面目な表情になると、私に聞いてきます。


「夢を終わらせる代わりに元の世界で一人生きて貰うか、それともここで幸せな夢を見ているままで死なせてあげるか、どちらか選ばせてあげましょう」


 …たぶん元居た世界に帰ったら、もう戻って来れないんでしょう。


「今すぐにとは言いません。そうですね…明日の夜、山の中の幽霊屋敷に居ます。もしも答えが出たら尋ねて来て下さいな」


 そういって彼女は立ち上がると、私の横を通り過ぎました。


「…どうして」

「…んー?」

「…どうして、私にそのことを教えたんですか?」

「ん、んー…そうですね」


 何か考える気配がした後、くすりと笑ったような気がしました。


「一人だけに選ばせるのって、何だか不公平じゃないですか?」


 その言葉を最後に、彼女の気配は無くなりました。


「ん…」


 静かになった部屋で、私は苦しそうに眠っている彼女の髪を優しくなでると、何処か安心したように表情を和らげます。

 ルカさんにとってはたぶんこのままのが幸せなんでしょう…。

 ですが…私は…。

 ぐるぐると渦巻く思考の中、後に残るのはルカさんの寝息だけ。



□ □ □ □



 月明かりに照らされた夜道を歩くと、突然開けた場所へと出ます。

 そして見えるのは、朽ちてぼろぼろとなっているお屋敷と、その前に一人佇む赤い少女の背中。


「知ってますか?」


 遠くから眺める私に気づいたのでしょうか、彼女からぽつりと声が聞こえてきます。


「ここには昔、吸血鬼と幽霊が住んでいたんですよ?」


 その後ろ姿はとても儚くて…そして、とても寂しそうに見えた。


「さてさて、それじゃ答えを聞きましょうか」


 ああ、あなたは、この世界で一人きりなんですね。



□ □ □ □



 寝起きでぼーっとしている彼女へと話しかけます。


「ルカさんルカさん」

「んー…?」

「ピクニック、行きましょうか」

「…姉さまも一緒?」


 私がそう聞くと、彼女は何処か恐る恐る尋ねてきました。


「はい」

「…それじゃ行きます!」


 嬉しそうに輝かせる顔に微笑むと、ピクニックのためにお菓子と絵本をかばんに詰めます。

 空にはお日様模様。絶好のピクニック日和といえましょう。

 今日は6日目、タイムリミットといわれる一日前。


□ □


 夕方を嫌がる彼女ために日が沈むのを待ってから、目的地となる草原に着いた後は二人で一緒にお菓子を食べたり絵本を読んだりして過ごします。

 ルカさんは眠そうにしていましたが、いろんなものに目を輝かせたりしてとても楽しそう。ですから、私はそんな素敵な時間が少しでも長く続くように祈りながら彼女と過ごします。


「姉さま姉さま」

「何ですか?」

「絵本、読んでいただけますか?」

「はい、いいですよー、どれがいいですか?」


 ですが、やがてそんな時間も終わりが来ます。


「んぅ…」

「眠いんですか?」

「まだ…大丈夫です…」


 何処か無理をしているように起きている彼女を見ていると、本当に時間が無いということを嫌でも実感します。

 ですから、私は杖を持つと彼女へと語りかけます。


「ルカさん…よく聞いてくださいね?」

「んー…?」


 夢現な、何処か別のところを見ているぼんやりとした瞳。


「ルカさんとは、お別れをしないといけないんです」

「…え?」

「色々考えたんですが…やっぱりあなたには生きてて欲しいですから…」


 私がそう言うと、彼女は泣きそうになりながら私の服を掴もうとしますが、もう体があまり動かないのか、その手は途中まで上げられたまま地面へと落ちます。


「そんな…やだよぅ…姉さま」


 何度も必死にルカさんは手を上げようとしては私の服を掴もうとしますが、手があがることはありません。

 私はそんな彼女の姿に涙が出そうになるのですが、ここで泣いたら立ち上がれなるので何とか堪えると立ち上がり、杖を構えます。


「私が居なくても、きちんと生活をするんですよ?」

「姉さま…」


 例え私を見て無くても…偽りでも…彼女の姉として…妹に心配をかけないように。


「ルカさんは一人じゃないんですから…ちゃんといい人を見つけて…」

「嫌だよぅ…」


 溢れ出そうになる涙を堪えると、笑顔を作って。


「幸せに…生きてくださいね?」


 だって…彼女が…大好きだから。


「そんな…アリ…ス…?」

「え…?」


 泣きそうになりながらも私の名前を呼んだルカさんは、さっきまでのルカさんじゃなくて…。


「嘘…でしょ…嘘だって…言ってよ…アリス…」


 私が…大好きになったルカさんで…。


「ねぇ…アリ…ス…一緒に…居ようって…約束…したじゃ…ない?」


 そんな…最後の思い出は…笑った顔で居たかったのに…。

 視界が…にじんできます。

 なので私は…精一杯の声を張り上げると…杖を地面に突き刺しました。


『愛しき者のために…命ずる!』


 すると…地面から魔方陣が現れ、優しい光がルカさんを包み込んで行きます。

 その様子を最後まで笑顔でいないといけないのに…私の視界は涙でにじんでいきます。


「…ばい…ばい…ルカ…さん」


 やがて光が収まった後、そこには誰も居ませんでした。










□ □ □ □









 誰も居なくなった草原で、一人の少女が崩れるようにして泣いている。


「ルカさん…ルカさん…!」


 愛しい者の名前を呼びながら。









□ □ □ □









 目を覚ますと、教会の扉が見える。

 痛む体を起こしながら身だしなみをチェックすると、胸の辺りが赤黒く染まっている。


 …えーと?確か…刺されて?

 何か…大切なものを忘れているような…。


 痛む頭をさすりながら扉を開けると、銀色の髪の少女が見えた気がした。


 あれ…?今のは?

 そう…確か…私は…っ。


 次第にクリアになっていく頭の中、愛しいあの子の姿を探す。


 そんな…嘘…でしょう?


 必死になって居るはずのあの子のことを探していると、ぽつり、と頭に何かが当たる感覚がした。

 見上げると、そこにあるのは星空ではなく、曇天の雨雲。


 ああ…そうか…。


 だから私は気づいてしまった。

 ぽつり、ぽつり、と雨が降って来る。


 ここに…あの子は…居ないんだ…。


 ぽつぽつとした雨はやがて本降りになり、私の視界をにじませて、身体を冷たく濡らしていく。


 それは…一人ということをどうしようもなく突きつけられている様で…。


「…寂しいよ…アリス…」


 涙でにじむ視界の中、ぽつりと呟いた言葉は誰にも届くことなく、雨音に消えていった。



コレで完結となりますが、お付き合いいただける方は後日談へどうぞ

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