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ひとめぼれ?農家の方ですか?

出会いっぽい話です


ちなみに透明人間の山田さんとか黙々の山口さんとかは完全に作者の趣味です

特に伏線とかにはなりません


人物表

ルカ

剣士 猫探しとか色々がお仕事


アリス・イン・ワンダーランド

魔術師 ここに書くネタって案外と出ないんですよね


山田さん

透明人間 ところでこの人透明人間にする必要性無いですよね? サングラスにコートにマスクの人が作りたかっただけですが


山口さん

盲目 透明人間のパートナーというだけの理由で盲目キャラにしました 得に意味は無い


 夕日が差し込む教会の中で二人の女性が居た。

 一人はシャツとジーンズに赤いコートの人形のような女性。

 彼女は両手にナイフを持ちながら地に倒れており、胸から流れた液体が床に赤い模様を描いている。

 もう一人はどこか不思議な雰囲気を持つ巫女服の少女。

 手に水晶のあしらわれた杖を持ちながら、浅く息をしながら倒れている女性を見下ろしている。



「五月蝿いなー…静かに寝かせて…」


 私がそう言うと、彼女がくすりと笑っているような気配がした。


「ん…友人と…このま…たを…しまうのも惜…い…ね」


 見下ろしながら何か言われてるようなもするが、ほとんど聞こえねぇ!

 彼女が何を言おうとも興味は無いし、正直体も動かないので、私はおとなしく倒れたままドアの向こうから覗いてくる夕日を眺め続けている。

 それにしても眠い…。


『失われし我が名の下に命ずる』


 朦朧としていく意識の中で、誰かの呟くような言葉だけが耳に届いた。


□ □ □ □


 目を覚ますとすでにあたりは暗くなっており、目の前には一枚の封筒。

 辺りを見渡すとどうやらここはすでに使われていない協会のようで、明かり窓から月の光が差し込んでいる。

 とりあえず体を確認してから起こし、両手のナイフを仕舞ってから封筒をぺりぺりと開ければ中には1枚の便箋。


「…うさんくせー」


 私は内容を読んでからポツリと呟き、いつの間にか閉まっているドアを開こうと動き始めた。

 動いてから気づいたけど、傷は治ってるみたいだねぇ。治ってるのか、無かったことになっているのか、元から無かったのか、はどうでもいいけど。


 ドアを開けると、そこには水色のところどころが赤黒くワンピースを着て、その手には一本の杖を持っている少女。

 彼女は月明かりに光る銀色の髪をなびかせながら月を見上げており、その様子が何とも幻想的で、私はしばらくの間ぼけーっと服と同じように赤い汚れのある彼女の横顔を眺めていた。

 やがて、彼女を見つめている私に気づいた様でゆっくりと視線をこちらへと向けると、私に杖を向けた。


「あなたは、名有りですか?」


 …え?名有り?つまり…どういうことなのかなー?

 アレか!名前を聞いてるとか?

 というかこの構図拙くない?

 私が殺されるまで残りカウント後何秒?って予感がするんだけど!

 まぁ…それでも別にいいのだけれど。


「んと…始めまして私はルカ、訳あってファミリーネームはないんだけど…よろしくね?」


 とりあえず友好的な関係は始まりの挨拶からだって、どこぞの友人が言っていた様な気がしたので、素直に名乗ると微笑んでみる。

 いや、何がどうよろしくなのかは知らないけどさ。

 そのまま無言で見つめ合うこと数秒…数十秒…。

 そろそろ私が友好的な関係は無理かなー?とか諦め始めた辺りで、彼女はそっと私に向けていた杖を下ろした。


「抜かないんですか?」

「…何を抜くんでしょうか?」


 思わず敬語で答えると、そのままさらなる沈黙が続くこと数秒…数十秒…。

 それにしても綺麗な子だねぇ…そういえば私この子の名前知らないではないか!

 おのれ人に名乗らせながら自分は名乗らないとはなんと言うことか!?

 とか何とか暇つぶしに彼女に対して憤るような振りをして沈黙に耐えていると、やがて彼女は杖をトンと地面に付くと、私の周りが燃え上がり真昼のように明るくなった。

 そして炎から発せられる熱!というか熱い!何コレマジで熱い!このまま続くと蒸し焼きにされる!

 幸いに炎は私を蒸し焼きにせずにすぐに収まり、一人残された私を月明かりとひんやりとした空気が包み込んだ。

 私は彼女の居た場所を少しだけ眺めてから、昼間の間に見つけておいた空き家向けて歩き始めることにする。

 彼女の居た場所にはもう誰も居ないのだから、私がここに居る必要性は無いでしょう?


□ □ □ □


「面白い人を見つけたんだ」


 私を呼び出した山田隊長が開口一番にそう言うと、隣の山口さんが資料を渡してきました。


「最近この国に来たみたいでね。君と同じくパートナー無しのソロ活動。依頼は迷い猫探しから魔物退治まで…好みとか関係無しで何でもしてるみたいだねー」


 山田隊長がつらつらと語ることを右から左へと聞き流しながら資料を読んでいきます。

 内容は…何だか猫と話していたとか、迷い犬を探すために一晩中森の中をさまよっていたとか、取引現場に殴りこんで全員病院送りにした、とかそんな内容。

 正直言ってそれだけならただの面白い人、っていう印象しかないのですが、一番目を引かれたのは最後に会った彼女の顔写真。

 あ…この人って…。


「どうしても依頼を受けてないときの動きがわかんないんだよねー。情報屋から聞いた話だと、尾行してもすぐに撒かれる上に探知系の魔法にも全くひっかからないとか…まったく、何のためのプロなのやら。

 でも彼らの情報からすると、どうも依頼を受けてないときは誰かを探してるような動きをしてるらしいねー」


 綺麗な月の日に夜の教会前で会った人だ。

 一目見たときはよく出来た人形かと思いましたけど…私が見ていることに気づいた瞬間に人っぽくなったのでよく覚えています。

 私でもどちらが演技で、どちらが本当なのかわからなかった不思議な人。

 あの時は思わず逃げ出しましたけど…もしもあのままお話ししてたらもっと色々わかったんでしょうか?


「…と、言うことで彼女を君のパートナーとしてスカウトしようかと思うのだけれど、どうかな?」

「異議なしです」

「本当かい!?」


 私がそう答えると、山田隊長は嬉しそうに身を乗り出しました。


「それじゃ早速、新人歓迎会のことなんだけど…」


 まるで彼が次にそう言うことがわかっていたかのように、山口さんの手から私へとぽいぽい資料が渡されていきます。相変わらず素敵なコンビですねー。

 それにしてもルカさん…ですか。

 出会った月の日を、今思い出してみても、彼女は私たちとは全く別の存在の様な気がしてきます。

 根本的な…何かが違うような。

 しかし、私のそんな違和感も新人さん歓迎会の内容で吹っ飛んでいきました。


「そういえば誰が勧誘するんですか?」

「もちろん!隊長であるこのボクさ!」

「山田様、それは無理があるかと思います」

「…そ、それはどういうことかな?」


 …私も無理があると思います。


□ □ □ □


「ほら、おとなしくしろって…あんまし五月蝿くすると…食べちゃうぞ!」


 にゃーにゃー手元で鳴く猫を顔の高さまで持ち上げて言い聞かせる。

 私的にはこの子を依頼主の元へと返してご飯を食べるのも、この子をそのまま食べるのも結果としては変わらないからどちらでもいいんだよねー。

 私が猫の顔を眺めながらそんなことを考えていると、どうも私の意図が伝わったようで彼?は大人しくなった。

 そのまま手元にある籠へと入れると、ゆったりと周りを眺めながら歩き始める。

 幻想的な彼女と出会ってから勝手に借家としている家に着いても、なぜか彼女のことが忘れられない私が居た。

 おおー?もしかしてこれは俗に言う恋という奴で、しかも私は一目ぼれしたのではないのか!?という結論が出たのが出会った翌日。

 しかし、私は女であり彼女も当然女…だと思う。女同士で恋人というのはアリなのか!?主に彼女的な意味で!

 ちなみに私は万事オーケー!もはや私の桃色思考は飛ぶに飛んで夢のウェディングロードまで到達済み!

 ならばどうするか?数分悩んだ私の出した結論は…まずは恋人ではなくお友達から始めればいいんじゃない!?ということだった。

 ということで、一目ぼれという想いを秘めている恋する少女である私は、名も知らぬ彼女を探しつつも今日もふらふらと過ごしているのであった。


「以上!自己激励終了!」

「にゃー?」

「あんたは気にしなくて良いのよ」


 籠の中で鳴く猫に言い聞かせる。

 正直、顔しか知らない誰かを探すのはかなり不毛な予感がするのだ。そもそもこの街に居るのか事態知らないし。


「あー、すみません?」


 そんなことをつらつらと考えながら猫を届けた帰り道、呼び止められたので足を止めてそちらの方を見る。

 そこに居たのはサングラスに帽子、マスクにコートという怪しさ大爆発な誰か。


「…」


 見なかったことにしよう。

 そう結論付けるとさっさと歩き始める。


「あっ!待ってくれよー!」


 近づくな、寄るな、道を塞ぐな。私にあんたみたいな見るからに怪しい知り合いは居ないぞ。


「初めまして、僕は隊長をやってる山田といいます」

「初めまして、私はルカ」


 冷めた視線で怪しさ大爆発を見ていると、なにやら自己紹介されたので返しておく。だが、絶対によろしくしたくないので黙っておく。


「単刀直入に言おう!君を僕の部隊にスカウトしたい!」

「すみませんでした」


 そう言って右手を出してくる変態男にさっさと謝ると、また歩きはじめる。

 部隊って何ぞや。


「あ、待ってくれよー!…困ったなー」


 後ろでなにやら言っているが気にしない。出来るだけ係わり合いになりたくない。


「山田たいちょー」


 …うん?今の声は?

 思わず振り返ると、そこにはずっと捜し求めていた念願の彼女の姿。


「新人さん歓迎会のことなんですけど、場所が取れましたー」


 いつか見たときとは違い、彼女はどこかぼけーっとした様子で山田に話しかけている。

 新人さん歓迎会…?

 その瞬間、私の思考は高速回転。

 新人さんは誰?

 私は今あの変態にスカウトされた。

 つまり新人は私?

 ということは歓迎されるのは私とな?


「あー…そのことなんだけどねー「いいわよ」」


 山田の言葉に割り込むようにしていう。


「ん…?」

「あなたの部隊、入ってあげる」


 彼女と一緒の部隊なら大歓迎!

 断る理由を探すほうが難しいね!

 隊長が変態だとか、隊長が怪しいとか、そういうことを差し引いても大歓迎!


「それはよかったー!それじゃ早速歓迎会なんだけど…」


 何か言い始めた山田のことは無視して彼女への方を見ると、彼女もぽけーっとした顔で私の方を見た。

 まずは何よりも大事なことがある!


「初めまして、私の名前はルカ、訳あってファミリーネームは無いんだけど…」


 そこで切ると彼女へと微笑み掛ける。

 それはあの日に出来なかったこと!


「あなたの名前はなーに?」


 すると、あの時とは違ってちゃんと答えが返ってきた。


「初めまして、私はアリス、アリス・イン・ワンダーランド」


 不思議の国のアリス…か。いい名前ね。


「そう、よろしくね、アリス」

「はい、よろしくお願いしますね、ルカさん」


 彼女もそういうと、私の方を見てぽけーっと笑った。


「…ということなんだけど、あれ?二人とも聞いてる?」


 これが、私と彼女の最初の出会いのお話。

 そして、私の最初で最後だった初恋の始まり。

たまには出会い回を先に持って来ようとたくらんだ!


コレ書くの結構疲れました…



と、いうことでどうだったでしょうか?


少しでも楽しんで貰えたら幸いです

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