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お肉は好きですか?

えーと、第2話です

人によっては不快な内容になるかもしれません

つまり残酷描写つけた方がいいんじゃね?って内容です

一応友人に聞いたらそうでもないといわれたのでつけない方向でいきますが、そう言ったものがダメな方はこの回は飛ばした方がいいかもしれません


ではでは、それでも読むという方はどうぞお先へ



人物表

ルカ

剣士 アリスLOVE


アリス・イン・ワンダーランド

魔術師 考えてたり考えてなかったり ちなみに名前と夢の国は関係ありません


山田さん

透明人間 隊長


山口さん

盲目 山田さんのパートナー

 朝起きて郵便受けを見ると、見慣れた封筒が入っていたので封筒ごと力任せに破ろうとする。


「っ!」


 力を入れていざ破らん!とした瞬間、指先に熱い衝撃が走って思わず封筒を落としてしまう。

 指を見れぱ火傷した様で、赤くひりひりとしている。思わずため息も出るってもんだ。…はぁ。

 仕方ないので、落ちた封筒を拾うと猫のシールをぺりぺり開けて中身を覗き込む。中には2枚の便箋。片方は何も書いておらず、もう片方は数行の丸っこい文字。


『親愛なる友人へ、お元気でしょうか。

 そちらの生活はもう慣れましたか?送り出した身としてはやはり、たまには気になるものです。

 返信用の便箋も同封しておいたので是非是非!お返事ください。

 破ろうとなんかすると火傷しちゃいますよ☆


 追伸

 実験も兼ねているので何も書かずとも返信はすること。

 返信方法は以下のとおり…


 そこから先はいつもと同じことが書いてあったので読み飛ばす。

 ☆って何よ☆って…

 わざわざ中に書く辺り、相変わらず捻くれてるなー。

 ぐしゃくじゃと便箋を丸めるとゴミ箱へシュート!

 便箋は綺麗な楕円を描きながらぽてんぽてんとゴミ箱の隣へと落ちた。


「…」


 しょうがないので近くまで拾いに行くと普通に捨て、真っ白なほうの便箋を眺める。

 さてさて…何を書こうか。

 何も書かずに送ってもいいのだけれど、それは何だか味気ない。

 ということでペンを持って机に向かうと、サラサラと書き始める。


 『人肉って美味しいの?』


 書き終えると便箋に再び入れ、指定されてた方法で手紙を処理してから、打ち上げの会場へと向かって歩き始める。

 久々のお酒だー!


□ □ □ □


「と、言うことで君たちにはここに向かってほしいんだ」


 グラサンに帽子とコート、さらに顔にはマスクという怪しさ大爆発の男がそう言った。

 彼の名前は山田さん、さんは付けても付けなくてもいいらしいので私たちは山田隊長とか呼んでる。呼び名の如く私たちの部隊の隊長。何でもこの山田隊長、透明人間らしい。うさんくせー!


「嫌!」


 そして山田隊長の目の前でツン、とそのちっちゃいお顔を明後日の方向へと向けている彼女こそ、私の想い人のアリス。


 そう想い人である!

 ちなみに私は女であるし彼女も女である。でもそんなの気にしねぇ!愛は性別を超えるって誰かが言ってた!

 ちなみに告白はしていない。はは!臆病者だと笑うがいいさ!

 だがもしも私があなたのことが好きです!と言ったとしよう?

 ソレに対する反応がとても冷たいものだったり愛想笑いだったりしたら…私は死ねる!

 ならば恋する乙女が想い人の男に秘めたる想いを告げない様に!

 私も彼女へと想いを告げずに楽しいハッピーライフを送るのが一番だとは思わないだろうか!?

 そりゃ私だってしたいよ!告白!でも彼女の考えが全く読めないのだ!一緒に居ても大丈夫な辺り嫌われてないのだとは思いたいけど…思いたいけど!

 たまに大胆にいろいろなことをして来てくれる彼女は果たしてオーケーなのか!?それともただの思いつきなのか!

 その判断が難しく、未だ一歩どころか前進の意思すらもてない日々に悩む毎日!


「君からも何か言ってくれよー…」


 とまぁ、想い人であるアリスの横顔を眺めながら一人幸せスパイラルに浸っていると、唐突に山田隊長から助け舟の依頼を出された。


「アリスが嫌だって言うなら私も嫌です」


 ビバ!アリス至上主義!もちろん、彼女がイエスと言えば私もイエスなのは言うまでもない。


「困ったなー…」


 私が助け舟を一瞬で沈没させると、山田隊長は困ったように頭の帽子を弄りながら隣を見た。

 彼の隣には目を閉じて何かを書いている女性が一人。

 何でも彼女、山田隊長のパートナーで盲目らしい、詳しく知らないけど。それにしても透明人間のパートナーが盲目女性とは…よく出来てるねー。


「アリスさん?」

「嫌ー!」


 へタレ山田隊長の代わりに盲目の彼女が言うけれども、アリスは取り付く島もなく見ることすらしない。そりゃ見えないんだから何処見ててもかまわないだろうけど。

 しかしそこはへタレ隊長のパートナー、ちゃんと相方のミスはフォローをするらしい。


「美味しいお鍋を出す店があるらしいですね」


 彼女の言葉にぴくりと動くアリスの耳、にへりと笑いそうになる私の顔。


「竜鍋って言うらしいですよ?食べたことはありますか?」

「あるあるー!」


 彼女の言葉にあっさりと上陸をさせてしまうアリス島。

 アレそんなに美味しかったかなー…私天ぷらセットのが好きだったんだけど。


「そうですか、ですが竜鍋は材料が限られていて数量限定らしいですね…」


 ヘー、ソウダッタノカーシラナカッタナー。

 彼女がそう言うと次に行ったときに食べられなかったことを思い出したのか、しょんぼりとするアリス。彼女のことをなでたがる右手を必死に抑える私。


「と、いうことで今度の依頼が成功したら打ち上げとして竜鍋でも一緒に食べませんか?」

「むー…」


 何か唸りながら宙を向いて考え中。

 私は打ち上げという言葉に対して高なる期待を抑えながら悶絶中。打ち上げ…いい言葉だね!お酒とかお酒とかお酒とか。

 依頼をまともにこなしてない事と、アリスが飲めないおかげで私の食生活にお酒の文字はほとんどない!


「…おやつはいくらまで?」


 すると結論が出たのか、アリスが静かに呟き、盲目の彼女から私の元へと資料が渡される。


「いつもは制限があるが…今度は何と自由だ!」

「おー」


 なにやら盛り上がっている二人を放っておいて、私は資料を漁る。私もそっちに混ざりたい…。

 依頼内容は人探しとあった。

 とある村で行方不明者となった者たちの生存の確認。可能ならば遺体の回収。

 なお、今回は別部隊の人員も導入する。

 どうも行方不明者の中には同業者も混じってるらしく、油断をしない様にとも書かれている。

 …穏やかじゃないねぇ。

 特に可能なら遺体の回収って辺りとか。これってつまり回収が困難な状況も想定されてるってことだよね?

 何だかアリスが行きたがらない理由がわかったような気がする。

 とはいっても彼女が受けると言ったのだ。

 ならばアリス至上主義の私も付いていくしかないでしょう?

 特に宿に泊まれるって辺りとか!つまりお泊り!アリスと一つ部屋!ヤバイ!ワクワクしてきた!

 今まで食事を作りに行ったことはあったけれども、お泊りまではしたことがないからテンションは急上昇!

 こうして私はまだ見ぬお泊りにワクワクしていたのであった。


□ □ □ □


「いりません」

「ア、アリス!?」


 村に着くと突然アリスがだんまりとなった。

 お泊りでワクワクとハイテンションになる私が何を言っても首を縦に振ったり横に振ったりするだけで…私の心を見事にブレイク!

 そのまま二人無言で宿へと付き、部屋へと通され、夕食の時間を聞かれたときに発したのが今の言葉である。


「で…ですが…」

「晩御飯は要りません」


 彼女は戸惑う女中さんへとそう告げると、とたとたと窓のほうへと歩いていってしまった。


「えっと…とりあえず私も晩御飯は無しでいいです」


 彼女と同じく私もそう言うと、女中さんはわかりました、と一礼して部屋を出て行った。

 肉料理が名物だったらしいけど…まぁアリスが食べないなら私もいいか。

 私は去っていく彼女の姿を最後まで見届けずにアリスの隣へと移動しようとし…窓から差し込む夕日に目を奪われ、諦めて寝っ転がると目を閉じた。

 さすが純和風の宿、畳の匂いがすさまじい…。


「ルカさんルカさん」

「んー…?」


 そのまま早く過ぎろ夕日、空気読め!とか思っていると、アリスが私の顔を覗き込んでいた。


「晩御飯、食べたかったですか?」

「んー、まぁ、そうでもないよ」


 ちらりとバックの方を見る。

 パンパンに膨れたバックの中には大量のお菓子が…一緒に買いに行った私が言うんだから間違いはない。


「それはよかったです」


 ぼけーっと笑う彼女の顔を見上げ、何となくその頬をつまむ。

 おお…やわいやわい。


「どうはしまひたは?」

「いや、なんとなく」


 頬を引っ張られながらも首をかしげている彼女の頬を離すと体を起こす。

 おおぅ…体を起こすと夕日が当たる。


「それでですねルカさん」


 せかせかと日陰に逃げてる私を追いながらアリスが言う。


「ん?何ー?」


 追ってくるアリスの頬を再びつまみながら答える。


「少し早いでふけど、お風呂にしまへんは?」


 …ん?

 何て言った?

 オフロ?

 ああ、お風呂かー、うんいいんじゃないかな?背中あらいっことか。

 うん、いいと思うよ。うん。

 ってお風呂ー!?


「まだならいいですけど…」


 黙っている私をノーと受け取ったのか、どこか残念そうに言うアリス。

 いやいやいやいやいや、オーケー!万事オーケー!何も問題はない!

 お風呂、いいね!

 ここで少しだけ深呼吸をして落ち着かせる。

 

「お風呂、一緒にいこっか」

「うん!」


 ぺかーっとした彼女の笑顔がまぶしくて、危なく鼻血が出そうだった。

 ゆ、油断してたらやられていた…。


□ □ □ □


 無理でした。

 浴場で背中洗いっこやらアヒルさんの観察やらをし、さらに熱によって熱せられた結果。見事に赤い花が咲いた。

 ちなみに鼻血ではない!

 羞恥と緊張と興奮のあまりに足を滑らせた結果である。

 おかげで私の頭には白い包帯が巻いてある。


 その後、別部隊の人とか。男女2人組で何だかケンカ売られた。

 晩御飯とか。お菓子を大量にパクパク。

 晩御飯後のお風呂とか。血液不足で倒れるかと思った。

 とか色々あった後に就寝となったのだけれど…。


「んぅ…」


 隣にはアリスのあどけない寝顔。

 今日の浴衣は猫さんマークでした。

 ちなみに私は牛の絵柄の付いたシャツと下着がいつもの寝巻き。後はこれにジーンズと赤いコートを着れば外出着となる。

 ね、寝れない…。

 想い人が隣で寝てるのだから当然である。


 お風呂で色々あり、さぁ寝よう。ということで布団を敷いたら、何を思ったのか彼女は私の布団へともぐりこんできた。

 私はしどろもどろでなにやらよくわからないことを言ったのだが、結果は彼女が私の隣で寝ている!

 というか断れるわけ無いじゃん!

 それにしても…小さな手が時折私のシャツをにぎにぎとしているのが何ともいえない!

 というよりこれはオーケーサインなのだろうか!?

 このまま行くべきなのか!ゴーサイン?ゴーサインなの?私誘われてる!?

 夢のウェディングロードまでいけるの!?

 いやいや、待て私。落ち着け。

 とりあえずその手を止めろ。

 彼女が一緒の布団で寝ているのはきっと何か訳があるはずだ!

 何か訳が…。

 訳…。


「お菓子…」


 ダメだ!そんなことはどうでもいい!

 …とにかく水を飲みに行こう。

 喉かわいたし。このままだと緩やかに干からびてしまう。


 そう結論付けると静かにアリスの手を外すと外へと出る。

 深夜なので特にズボンははかずに、コートとナイフだけ持って台所を目指す。

 村に居る間は武器を持ってろ、ということらしい。穏やかじゃないねぇ…。

 それにしてもこの格好、他人に見られたら弁解できないね。深夜に歩いてる方が悪いんだけど。

 お、台所はっけーん。

 んー…?

 どうも台所には先人が居るらしく、黒い影が倒れている。

 その影を横目で眺めつつ、その辺にあったコップで水を一飲みする。

 人影から出た粘着質の何かが床に広がっていて微妙に気持ち悪い。


「おやすみなさい」


 そこから立ち去る直前、倒れている何かと隠れている誰かへと声を掛けると、アリスの待つ部屋へと戻った。

 …寝られるかなー。


□ □ □ □


 結局一睡も出来なかったので、アリスを愛でることで朝を迎えた。

 ああ、何も無かったさ!


 その後、また朝食は断りお菓子で栄養補給。

 行方不明者の探索のために外へと繰り出したのであった。


「見つかりませんねー」


 探索中に見つけた丘の上。私が敷いたブルーシートにぼけーっと座りながらアリスが言う。


「そーだねー」


 私も彼女の隣にぼけーっと座りながら答える。


「ちゃんと真面目に探してるんですけどねー?」

「何でだろうねー?あ、一本頂戴」


 トッポをぽりぽりと食べながら言うアリスからトッポを貰いながら答える。

 ああ、風が気持ちいい。


「そういえばルカさん」

「んー?」

「この村、家畜が一切居なかったの気づきました?」

「んー…」


 正直いってよく覚えてない…。


「そうなの?」

「うむうむ、いったいここは何のお肉を使ってるんでしょうねー?」


 新しいトッポの袋を開けながらアリスが呟いた。

 そういえば…そろそろお昼過ぎかな?

 結構寝てたからそのくらいだと思う。


「あ…昨日の人だ」

「んー?」


 ポツリと呟く先を見ると、ほうほうなるほど、昨日部屋に来たらしい人がふらふら歩いている。昨日居たはずの相方は休みなのか、それとも見つからないのか、彼女の傍には居ない。

 彼女は心配そうにきょろきょろと何かを探しながら私たちの方へと近づいて来ており、やがて目があった。前は見た方がいいと思うけどねー。


「ねぇ…アルセ知らない?」


 どうやら相方はアルセと言うらしい。当然偽名なんだろうなー。

 名前を教えると悪用されるとかよくあるらしいから皆偽名を使うらしいね。知らないけど。


「見てないですねー」


 トッポを咥えている私の代わりにアリスが答える。


「そう…」

「見つからないんですか?」

「ええ、朝から見えないのよ」

「ふーん…」


 居なくなったのは朝じゃなくて夜ですよお姉さん、とは絶対に言わない。下手なことを言うとこっちが危なくなる。


「…もしも見つけたら連絡お願い」

「あいあいさー」


 彼女はそういうとどこか病人のような足取りできょろきょろと去っていった。


「私たちも行きましょうか」

「ん?お菓子タイムはおしまい?」

「しゅーりょー」

「あいあい」


 彼女がそういうならば、とゴミを集めてブルーシートを折りたたむ。

 そしてまた適当な住民を捕まえて聞き込みを再開する。


□ □


 動きがあったのは誰も居ない場所まで来たときだった。

 私は片手でアリスを抱きながら飛びのくことで、物影から前かがみで飛び出して来た何かから彼女を守ると、もう片方の手でナイフを抜くと首筋へと突き刺す。

 そのまましばらく、誰かから飛び出す返り血がアリスへと付かない様に抱きしめていた。

 なお、ここに疚しい気持ちは一切無い!やわらかいなー、とか温かいなー、とかは決して…決して思っていない!


「ルカさんルカさん、そろそろ離して下さい」


 アリスが腕の中でもぞもぞと動くので仕方なしに手を離す。


「…知り合い?」


 私から離れた後、死体へとしゃがみこんでいるアリスに聞いてみる。


「んーんー。でもこの人、宿屋に居ましたね」

「ふーん」


 彼女がそう言うので私も死体を見下ろす。どうも片手にあるのは包丁らしい…

 観察終了、何処で見たかなんてわかんない。


「それにしても何で襲ってきたんでしょうねー?」


 不思議そうに死体を見下ろすアリスを眺めていると、ポツリと呟きが聞こえてきた。ん…?…あれ?もしかして?

 私が殺さなかったら尋問できたじゃん!

 思わず頭を抱える。


「どうしました?」

「いや、殺さなかったら事件解決の糸口になったかなーと?」

「あー、そうですねー」


 ぺかーと笑う彼女の顔を見ながらさらに頭を抱える。

 どうすんだ私…。


「大丈夫です!私がすべてわかってます!」


 しばらくそうしていると、アリスが胸を張りながらそう言った。


「…」

「不穏な空気!?」

「ナ、ナンノコトデショーカ?」


 いや、胸が薄っぺらいなーとか考えてませんから、ホントですから。

 アリスはそのままむー、とジト目で見ていたが、やがて諦めたのかどこか宙を向いて考え始めた。

 静かに息を吐く私。


「どうかしたの?」

「んー…役者が足りないと思いまして」


 ふむふむ?役者ねー?


「上手く出会えるといいのですが…」


□ □ □ □


「また会いましたね」


 お菓子休憩をしている丘で彼女を待っていると、彼女はふらふらとしながらやってきた。


「…で?アルセは何処?」


 私的にはそんなことよりも、そろそろ日が暮れそうで内心びくびくである。


「その質問はおいおい答えるとしてー」


 アリスはそう言うと杖を突いた。

 その瞬間、とてつもない風が私たちを包むと何処かへと去っていき、アリスはその何処かへと歩き始めた。


「ご飯は食べましたか?」

「…それが何の関係があるの?」

「大事なことです」

「…食べたけど」

「そうですかー」


 ポツリと呟いた彼女の顔は、いつものぼけーっとした顔じゃなかった。

 そうこうしていると、洞窟の入り口に壁を建ててそこにドアを付けた様ところへとたどり着いた。


「…ここに居るの?」

「はい、どうぞ開けてみてください」


 ドアには鍵が掛かってるが、彼女はいともあっさり鍵を壊すとドアを開けると中へと入る。


「…これは?っ!アルセ!」


 ドアを開けた中から彼女の声とひんやりとした空気が漂ってくる。

 中へと入るアリスに続いて私も入ると、壁には肉切り包丁なんかの刃物。床には大きな氷と藁、そして大量の遺体。

 遺体によって部分部分の肉が削られており、一番新しくて傷が少ないのは彼女がアルセと呼んだ物。

 さてさて、削られた部分は何処へ行ったのかな?


「行方不明者もここの様ですね」

「どうして…こんな…?」

「んー?」


 アルセさん(仮名)の遺体の近くに蹲りながら彼女が呟いた。


「わからないんですか?」


 私が錆びているプレートを見ていると、震えている彼女へとアリスが告げた。

 …美味しいのかねぇ?


「わからないなら、教えてあげましょう」


 アリスはそこできると私の近くにあったプレートを指で示す。

 そこにあったのは、食料庫の文字。


「ここは、お肉を保管する場所ですよ」


 アリスがそう言った瞬間。堪えきれなくなったのか、彼女は吐き出した。

 だからアリスは食事を食べたがらずに、あの時彼女へと聞いたのだ。

 『ご飯は、食べましたか?』

 と。


「ルカさんルカさん」

「んー?」


 私がぼーっと吐き続けている彼女の方を眺めていると、アリスはいつの間にか私の近くにまで来ていた。


「連絡しましょう。見つからない人も居ますが、ひとまずは依頼完了です」

「あいあい」


 見つからない人ってことは、つまり食べるところが無くなったから捨てられたんだろう。

 こうして私たちは、吐き続けている彼女を残して食料庫を後にした。


「あれ?ルカさん?ルカさーん?」


 出た瞬間に夕日を浴び、油断していた私の意識はシャットダウン…。


□ □ □ □


 夕日を浴びた瞬間に倒れた彼女を背負いながら帰り道を歩きます。

 彼女が起きるまで待っていてもよかったのですが…食料庫を荒らされた彼らがどう動くのかは予想ができないのでさっさと離れます。

 背中には彼女の体温と、静かな寝息。

 こうして彼女と触れていると、何ともいえないドキドキとした暖かい気持ちになるのですが…これはいったい何なんでしょう?

 自問自答に答えは出ず。

 私と一緒に居てくれるいつもの彼女。

 危ないときは身を挺して私を守ってくれる彼女。

 同じ彼女なのに、私にはどうしてか別の存在の様に感じられます。

 二重人格…というのとは違うような…。

 さっきの遺体だらけの場所でも彼女は眉ひとつ動かさずに、どこか退屈そうに辺りを見ていました。

 どちらが本当の彼女なのか、それともどちらもホントの彼女なのか、私にはいまいち判断が出来ません。

 それにしても彼女はどうして私と一緒に居てくれるのでしょうか?

 私には彼女が何を考えているのか、私をどう思っていてくれてるのかがわかりませんが…それでも彼女と一緒に居る日々は楽しいのでこんな日々がずっと続いたらいいと思います。

 たとえ、それが叶わぬ夢だとしても…私はあなたと一緒に居たいんですよ。ルカさん。


はい、ここまでお読みいただきありがとうございました


何で第2話でいきなり殺伐としてるんだろうね?というか猟奇的だね


第3話はそんなことは全く無い話になる予定ですから大丈夫です

というかこういう話はそうそう書けるものじゃありません

ネタも出ないですし


ではでは、少しでも楽しんでいただけたら幸いです

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