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気合と根性が隠し味

えー・・・知ってる人はお久しぶり、知らない人は始めまして、海月です


友人に次回作の要望を聞いたところ恋愛が読みたい!ということなので、こんなものが出来たよ!


恋愛物をガチで書くのは初めてなので至らぬ点はあると思いますが、最後までお付き合いいただけたら幸いです


ということで

人物表

ルカ

剣士かなー?


アリス・イン・ワンダーランド

魔術師かなー? 不思議の国のアリスから


 拝啓

 天国のお父さん、お母さん、元気ですか?

 好きな人が出来ました

 以下略

 などというバカげたことをやっているわけではもちろん無い!ないのだよ!明智君!アレ?ワトソンだっけ?まぁどっちでもいいやー。

 お父さんもお母さんも生きてるし。生きてるよね?


 ここで少し思考を止めると、ドアの前で深呼吸をする。ドアの前…そう、このドアの先には私の想い人が居る!

 つまり私のガラスのハートは今にも血湧き肉踊る状態!

 買い物袋を片手に、部屋の前で息を荒くしてる娘がここに居る。…お父さんに見られたら泣かれそう。いや、怒られるかな?


 深呼吸完了!

 お財布は?オーケー!なはず!

 服装は?いつものジーンズと今日はライオンががおーとしているシャツ!そして忘れてはいけない赤いコート!

 出てきたときに言うべき台詞は?何度でも復唱した!

 ならばもう恐れるものは何も無い!


 ということでドアをノックするために勢いよく手を振り上げる。いざ行かん!戦いの舞台へ!


「あ、おはよう…」

「…おはようございます」


 私がノックしようとしたら、突然ドアががちゃりと開き、そこから少女が顔を出したので反射的にあいさつをする。

 少女はパジャマ代わりの金魚の書かれた浴衣を着ており、髪は銀のロング。眠そうに閉じかけている顔がつい先ほどまで夢の旅人だったということを如実にあらわしている。 

 そして当然、突然の事態に対応できずにノックの手を振り上げた体勢で止まっている私。

 少女は私の顔を一度見、振り上げてる手へと視線を動かし、なぜか私のライオンさんシャツへと視線を動かしてから、もう一度私の顔を見ると。


「やー」


 なぜかぺチンとハイタッチをした。


□ □ □ □


「朝ごはん食べたー?」

「んーんー…」

「トーストと目玉焼きでいいー?」

「んー…」

「それじゃ先に顔洗って来てー」

「んー…」


 フライパンへと卵を落として彼女の朝ごはんを作りながら、浴衣姿でのそのそと動く彼女へと声を掛ける。

 毎度思うのだが私はこやつの何処に惚れたのだろうか…今更になって疑問が湧いてくる。

 ちなみに男だ女だとか言うのは気にしないことにした。好きになったんだから仕方ないね。

 私もまさか初恋の相手が女の子とは夢にも思わなかったわ!

 ということで恋する少女である私は、好きな彼女のために朝ごはんを作ってるのであった。一文字変えるだけで健全な内容になるのになぁ…。


「美味しい?」

「んー…」


 うつらうつら、はむはむとトーストを口に入れてるアリスへと語り掛ける。そうかそうか、いつもと変わらないか!そりゃ焼いただけだから当然だ。

 彼女が食べ終わるまで暇な私は優雅な紅茶タイム。茶葉は見つかったけど入れ方がわからないので適当に入れた。


「それでさ、アリス」

「んー…」


 もう食べ終わる頃を見計らって本題へと入る。

 そう!本題!私はわざわざ朝食を作りに来たわけではないのだ!いや、朝食も作りにきたのだけれど…ここまで来たことには理由がある!


「今日は何か予定とかある?」


 理由はある…確かにあるのだが…それをいきなり言えたら苦労は無い!伊達に1時間ドアの前で立っていない。…近所の人に見られなくてよかった。

 ということで回り道。急がば回れじゃよ。


「んー…」


 彼女はそこで初めてどこか宙を見ると、やがてゆっくりと戻した。


「今日は特に何も無いですね…」

「そ、そっか…」


 動揺し始める心臓を紅茶で鎮める。うん、不味い。


「それなら…」


 大丈夫…大丈夫…何度も練習したんだから…。


「今日、どこか遊びに行かない?」


 コップを置くとさりげなさを装ってアリスを誘う。

 そう!朝食を作るついでにデートに誘おうという魂胆なのである!今日の朝閃いて即日実行。私…考えるの苦手なのよね…。


「んー…」

「あっ、無理ならいいんだよ?」


 また宙を見て悩み始める彼女へと慌てて言う。何だか間延びしてるし…どうもまだ半分くらいは寝てる様子。


「いいですよー?」

「な、なら!」

「はいー、一緒に遊びに行きましょー」


 そこでぽけーっとした笑顔を向けるので、私は勢いよくアリスから目を離して天井を見上げる。


「じゃ、じゃあ…外で待ってるから…」

「はいなー」


 のろのろとした動きで自室へと消えてる彼女を見送った後。私はかくかくとしながら外へと出ると、空を仰いだ。

 さぁ…戦いはこれからだ。


□ □ □ □


 ぼーっと無計画に二人、商店街を歩いていく。

 何もしてないように見えるだろう。しかし私の中では様々な葛藤が!葛藤が!主に手を繋ぎたいとか!

 しかし!ソレが出来たら誰も苦労はしねぇのである。


「アリスはお昼何食べたい?」

「んー」


 ということで無難な話題に逃げる私。ふっ…チキンと笑うがいいさ…。

 彼女は少しだけ空を見上げてからまた前を向きなおした。ソレは考え事をするときに少し空を見上げる、私がアリスを観察して得た数少ない情報の一つ!

 いや、誰でも見てれば気づくと思うけど。


「鶏肉」


 …泣いても、いいかな?


「どうかしました?」


 溢れ出そうになる涙を堪えていると、不思議そうにアリスが覗き込んできた。


「な、何でもないよ?」

「そうですかー」


 何とか答える私。いや、その…急な事態には弱くてですね…。

 それにしても鶏肉…鶏肉?鶏肉屋なんてないよね?肉屋ならあるけどさ!肉屋で飯は食えないんだよ!

 ん?待てよ…ここは私の家に誘えるのではないのか!?


「えっと…あそこでいい?」

「ん…」


 適当な店を示して彼女の了承を得る。

 誘えるわけないだろ!今のままだと私の家かなりカオスだよ!

 一人暮らし家バカにするな。彼女の家も綺麗だけれど…たぶんあまり生活をしてないからだろう。

 ということで彼女がおきてから実に1時間。

 朝食からは30分ほどしか経っていないお昼ごはんへと向かうべく、二人一緒になんともわからぬ店に入る。鶏肉…あるといいなー。

 それにしても春夏秋冬とは…不思議な名前のお店。


□ □


「んー…」


 アリスよ…宙を向いて悩んでもメニューは見えないぞ…。

 思いはせども口に出すことは出来ず…仕方無しに私もメニュー表とにらめっこを始める。


 メニュー

 季節セット

 竜鍋

 朝セット

 ランチ改


 …何故昼なのに朝セットがあるのか、とかランチ改の改って何ぞ?という色々な疑問は出るが…一番の疑問は。

 竜鍋って何?一つだけ桁が違うんだけど。どう見ても私の稼げる範疇を超えてるわ…。

 と、とりあえず竜鍋は無いとして…季節セットかな。改とか怖いし。


「アリスー、決まったー?」

「うむうむ。竜鍋にします」

「そ、そう…」


 アリスよ…それは絶対鶏肉ではないと思うぞ?

 定員の女性にメニューを告げる。

 なぜか竜鍋と言った時だけ顔を引きつらせたのだけれど…いったい何が出てくるのやら。

 それから数分後、私たちがなんてことも無い話をしていると、料理が出てきた。

 片方は…天ぷらの盛り合わせかな?たけのこの天ぷらとか。たぶん季節セットだろう。

 もう片方は…よくわかんない鍋。

 何が入っているのかもどうなっているのかもわからない白濁しているスープ。というかスープ濁りすぎでしょ!


「ほ、ホントに食べるの?」


 自身の器へとよそっているアリスへと恐る恐る聞いてみる。いざとなったら私のと交換することも覚悟しておこう…。


「…?美味しいですよ?」


 何かのお肉をはむはむしながら食べていく。どうも食べれるみたいなので私も季節セットを食べることにする。

 すると、ジーっと私の手元の方を見ているアリスに気づいた。ん…?

 あくまでも平静を装って彼女の視線を追う。

 私の手元にあるのは…箸と…天ぷら?

 まぁ、まず箸は無いだろうから天ぷらだろうけど。


「食べる…?」


 聞いてみると、目を輝かせてコクコクと頷くので、彼女のほうへと天ぷらを渡すと、嬉しそうにぱく付き始めた。うん…何というか…来てよかった。


「…?」

「ん、美味しい?」

「美味しい♪」

「それはよかった」


 次々と彼女の口の中へと消えていく天ぷらを眺めながら一人鍋を見つめる。

 それにしても何が入ってるんだろう?竜?竜なのか!?


「ん…?」


 すると、いつの間にか天ぷらを食べる手が止まっていた。あれ?飽きたのかな?

 アリスは何度か鍋と天ぷら、そして私の方を見ると、やがて天ぷらを飲み干すと。


「はい、あーん」

「…」


 困惑する私の目の前で、彼女はぼけーっとしながらレンゲを私の口元に近づける。これはアレだ、恋人たちがやるという伝説のあーん?ホワイ!?何故?


「あのぅ、アリスさん?何をしていらっしゃるのですか?」

「…?あーん」


 私が聞くと彼女は不思議そうに首をかしげると、何度かレンゲで私の口を突付いた。…話が通じてないよこの子!


「…あーん」

「美味しいですか?」

「うん…」


 とはいえ据え膳はうんたらかんたら。食べるに決まってる!味なんてほとんどわかんないけど!

 すると、アリスは口をあけて待っている様子。これはアレですか!アレですね?アリスさん!?


「私にも食べさせろと?」

「びょーどー」


 アレでした!


「…あーん」

「ん…」


 その後、しばらくの間二人で食べさせ合う光景が店の中で続いたとさ。片方は真っ赤になりながら、もう片方はどこか楽しそうに。

 それにしても、竜鍋よりも天ぷらのが美味しいなー…。


□ □ □ □


 昼食も食べた後、結局何もすることが無いのでぶらぶらとし、やがて日が沈んだ。

 ちなみにお昼の代金はいつものお礼とか何とかでアリスが払った。割り勘で払える代金じゃなかったからありがたいのだけれど…何だろう、この切なさ。


「一日が終わりますねー」


 川原でぼけーっと夕日を眺めながらアリスが呟いている。

 私はというとあの夕日の明かりが苦手なので木陰に避難。別に吸血鬼とかじゃないんだけど…なんでだろうね?

 でも夕日は苦手だけれど、夕日に照らされる彼女の横顔は好きだった。

 そりゃもう!写真にして飾りたいくらい!カメラ無いけどさ!


「ルカさんルカさん」

「あいー…?」


 木陰でダウンしながら返事をする私。早く終われ夕日!そろそろ私の意識が限界だぞ!


「今日は、ありがとうございますね」

「…楽しかったー?」

「はい、とっても」


 私は彼女のぼけーっとした笑顔を見ながら、ああ…何も無かったけれど、これはこれでよかったなーとか思う。

 しかし私には最後にするべきことが!


「晩御飯…何がいい?」


 最後の力を振り絞って彼女へと聞くと、また宙を向いて考え始める。な、なるべく早くね!?


「すきやきー」

「それじゃ…買い物行こ」

「楽しみに待ってますねー」


 彼女の言葉を最後に、限界を迎えた私の意識は華麗にシャットダウンした。


□ □ □ □


 暗い意識の中、なにやら頭が柔らかいものに乗っけられている。

 そしてさわさわと髪をなでる手が心地よくて、また眠りにつきそう。


「ん…?」


 だが二度寝は危険である!主に時間とかいろいろな意味で!それだけで一日の終わる可能性を秘めた脅威の…

 理論武装をしながら目を覚ますと、目の前にアリスの顔があった。脅威の…?

 おおおお落ち着け私!

 今何時!?わからない!

 何故彼女がここに!?

 というかここ何処!?


「あ、目が覚めましたか?」


 目覚めた私に微笑むようにして語りかけてくるアリス。そこで気づいた、私…膝枕されてる!?

 ま、待て何か言わなければ…とりあえず何かを言ってこの場を凌ごう!おーけー?


「…おはよう」

「はい、おはようございます」


 彼女は私に挨拶をすると、またさわさわと私の髪を撫でながら月を見上げる。

 月明かりに反射している銀色の髪に見惚れていると、まるで今が幻想のようで、私がいつも見ているアリスとは別人に見えた。

 そういえば…私が好きになったときの彼女はこんな感じだったっけ。


「初めて会った時も、こんな月の日でしたね」


 月明かりに照らされているアリスがポツリと呟いた後、彼女はぼけーっとした笑顔で私の方を見下ろす。それに伴い今までの幻想的な雰囲気は壊された。


「それじゃ、お買い物!すきやきー♪」

「え…ああ、いこっか」


 体を起こした私の手をとる彼女に連れられて、晩御飯の食材を買いに行く。…ん?私、何か重大なことを忘れてない?

 何を忘れているのか思い出そうとしたけれど、私の手をにぎにぎとしている彼女のやわらかくて小さな手に意識が…意識がー!

 

 前略

 実家に居るお父さん、お母さん、元気ですか?

 好きな人が出来ました

 後略


 追記

 すき焼き、美味しかったです。


Q.「何で女の子しか出ないの?」

A.「作者は男性がほぼ書けません。その結果としてこういう作品となりました」


Q.「何で恋愛物なのに職業があるの?戦うの?」

A.「作者はファンタジーな物しか書けません。その結果としてこういうことになりました」


ということで初の恋愛物となりましたが、どうでしょうか?

執筆が遅い作者なので今までの作品の様に定期投稿は出来ません

もしも気に入っていただけたらのんびりと続きを待って頂けると幸いです


待ってる間に他の作品とか読んでくれたら!感謝感激です


ではでは、初めての恋愛がテーマな本作品。少しでも楽しんで貰えたのなら喜ばしい限りです

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