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衝撃の修行開始

「あんただれ?」


 突如として現れた彼女はふてくされた表情で訪ねてきた。


 「というか遅すぎでしょ師匠。朝まで帰ってこないのは聞いてないんだけど!」


 答える間もなく彼女は言葉を続けた。

 悪びれた様子もなく男は話し始めた。


「いやー思ったより時間がかかってな、でも新しい仲間を連れてきたぞ。アルバース・アルバっていうやつだ」

「初めまして」


 それらしく挨拶しておく。ちゃんとお辞儀してね。記憶は失っても常識ある男なのだ。

 顔を上げると、神妙な顔をした状態で彼女は待っていた。


「なんか...キモ」

 「んだとぉぉぉ!?」


 はぁぁぁぁぁぁぁ???なんだこいつ?

 俺の地雷原をどかどか踏み荒らしていきやがった。

 記憶はないけど、言われたら傷つく言葉ランキング堂々第一位だぞ。


 「そんな服着ててキモくないわけないじゃん、馬鹿なの?」


 あたりまえでしょ、と言いたげな顔をしている。

 そう言われて自分の服を見る。ギリシャ風のローブ、素足。

 ヨシ!普通d...なわけあるかぁ!

 キモ過ぎる。ハロウィンですらそんな恰好しないぞ。

 すぐさま横の顔を見る。


「おい、その前に。いつツッコむか迷ってたけど。この服のセンスはなんだ」

「いやー、かっこいいだろ」

「え?本気で?」

「うん」


 なんでそんな当たり前みたいな顔で見てくるの?

 やばいって。哲学者か何かかよ。


「新しい服ほしい、切実に」


 こっちは必死に懇願しているのに、ふーやれやれみたいな感じで。


「しょうがないなぁ、これやったら新しいの渡すよ」

「これ?」


 というと、男は右側を指さした。

 そこには円形の魔法陣が2つあった。

 地面を削って作られていて、その際に使ったらしき木の枝が近くに置いてあった。


 「なにあれ」

「お前らを改造するための装置」

「「???」」

「やってみるほうが早い!」


 そういって男は2人を魔法陣のほうに投げ飛ばした。

 着地の瞬間、魔法陣が光り、体が強制的にプランクの姿勢になった。

 強烈な痛みが二人を襲う。


「「ぎゃあ”あ”あ”あ”あ”」」


 体に電流が走ったような、火であぶられるような。

 蜂に刺されたような、刃物で切るような。

 様々な痛みが全身を襲っていた。


「まって、いたまっいたいて、痛すぎる。やめてくれ!!!」


 必死の懇願。だが男には効果がないようだ!


「いやーすぐ慣れるよ。それにさ、一日経ったら終わるから。いけるいける」

「は?いた一日?」

「冗談でしょ!?痛い!!」


 きょとんとした顔でこっちを見てくる。

 おい笑えない。

 この痛み1日は無理だ。

 すると男は屈伸し始めた。

 まさかどっか行かないよね?

 するとこっちをちらっと見て


「では、さらば。あとアルバース、今後俺のことは師匠と呼ぶように」

「まて!それどころじゃ」


 俺を運んだ時以上の速度で消えていった。


「頑張ろうか...」

「〇ね!」


 励ましたつもりだったのに。

 顔を見ると尋常でないくらい歯を食いしばっていた。

 俺も歯を食いしばろう。

 

 ー少し離れた大木にてー

 そこにはテレビを見るようにくつろぐ一人の男がいた。

 木でできた机の上にはリンゴとブドウ、チーズが置かれていた。

 「どれどれ、かなり歯を食いしばっているな。こうやってを頑張ってるやつを見ながら食う飯が一番うまい!」


 そう独り言をニヤけた顔でつぶやくと、チーズを一切れ食べた。

 うまい、。そう一言つぶやくと。2人をまた、凝視した。


「ん?あれは......ふっはっははははははは!!!こ、これはおもしろい。やっぱり俺があいつを育てるべきだ!拾って正解だったな」


 腹を抱えて笑う男を横目に、二人の修行は進んでいく。

 ――――――――――――

 太陽が頂点に達したころ。

 だんだん痛みも少しずつ揺らいできた。

 一番痛かったのは最初だけで、そっからはまだ我慢できる痛みになりつつある。

 雲が流れていくのが見える。時間の流れが速いようで、遅いようで父祖着な感覚だ。

 かろうじて首は動くけどやることがなくなる。

 ...暇だな。そう思っていると、隣の字彼女が気になった。

 そういえば横の女の名前なんて言うんだろうか。

 ちらっと横を見る。さっきよりは余裕がありそうだ。


「ねぇ名前なに?」

「は?」

「だ、か、ら名前!俺だけ知らないのは不公平だろ」

 「...アリシア、キリス・アリシア」

「へーいい名前じゃん」

「...のんきね」

「いやーどうしようもないじゃん」


 言いずらそうにアリシアは言葉を続けた。


「私は東の孤児院出身で、この前師匠に拾われた。外の世界を知れると思ったらこれよ!これ!ひどくない!?」

「それは、そう」


 そう聞くとめちゃめちゃかわいそうだな。

 いや待てよ、流れで来たけど記憶失ってここにいる俺も相当に不憫なのでは?

 許せ...まぁ命の恩人だしまぁワースか。



「「............」」


 き、気まずい。

 こういう時名に喋ればいいんだ?教えてしty。

 急激に痛みが走る。

 いったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉい!!!

 急に復活しやがった!しかも最初と同じ痛み!

 アリシアは、と視線を移す。

 ちゃんと歯を食いしばっていた。

 うんダメそう。

 なんか雲も多くなってきたし...ヤバくね?



 ――――――――――――――――

 4hours later...


 はい、ちゃんと雨が降りました。

 なんとこの魔法陣、雨は弾いてくれますがジメジメは貫通してきます。

 想像してください、地面すれすれの日の雨を。

 この魔法陣はクソです。

 ゴロゴロゴロ

 雷はまずい。俺らほんとに死ぬ。

 助けて、ウル〇ラマン!

 ドカァァァァァァァァンジリジリ!

 痛みがなくて、調子に乗っていたら雷が真横に落ちた。

 わぁ!大迫力じゃなくて。危なすぎだろ。

 意味があるかはわからないが、空に叫ぶ。


「おい!今のは危ないって!マジで助けてくれ!」

 すると急に目の前に男の姿が現れる。

「や」

 「うわ」


 手を挙げてこっちを微笑む。

 くっそなんでこいつこんな笑顔なんだ。

 こっちはこんなに苦しんでいるのに、いやこういう思考はよくないな。


「雷当たったらまずくない?普通に死んじゃうよ?」

「大丈夫、その魔法陣に入っている間は無敵だから」


 マジかよ。最強やんけ。


「あとどれくらいなの?」


 ナイスアリシア、俺も気になってたんだ。

 するとわざとらしい笑顔を残して消えた。


「「..........」」


 クゾが...

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 すっかり夜も更けてきた。

 雲もどっかに行って昨日と同じ満点の星空が見える。

 女の子と二人で星を見る。

 なんてロマンチックなんだ。...プランクでなければ。

 そして眠い。痛みもほとんどなくなったおかげで、暇な時間だけが過ぎていく。

 ほら、蛍だって出てきた。

 視線の先には、たしかに光があった。うっすら明るく、まるでたいまつでも燃やしているような。

 ん?人がいる?

 かすかにだが、声が聞こえてきた。


「本当にあってるのかよ」

「ほんとほんと、ここに一軒家があるんだって、楽に盗めるぞ」


 だんだん近づいてくる。

 松明の火に当たって、頭だけだが見えてきた。

 顔はよく見えないが、緑色のローブをつけている、男二人組。

 間違いない、盗賊だ。

 もしかして、見つかったらまずい。

 するとアリシアが声をかけてきた。


「ねぇ、どうしよう」

「そりゃあ...へへ」

「へへじゃないでしょ!」

「ばk」

「おい!誰かいるのか?」


 やべぇよ...やべぇよ...

 こんな無防備な状態じゃ、あんなことやこんなこと......

 いや待てよ、この魔法陣って無敵だったよな。

 雷でも壊せないんだし、がはは勝ったな。


 「そうじゃん、この魔法陣って無敵だったじゃん」


 思い出したといわんばかりの顔をアリシアはしている・


「そうじゃない!心配しなくていいj」


 魔法陣が、解けた。

 どさっという、床にたたきつけられる音が聞こえる。

 体に力が入らない。

 え?え?え?

 声も、出ない。アリシアのほうからも、声が聞こえない。

 眠気も襲ってくる。意識が、半分あるかないかだ。

 盗賊もこちらに歩み寄ってくる。


「女と、男か」

「思わぬ副産物じゃん!ラッキー!」

「女は俺が先にもらうぜ」


 せめてアリシアだけでも、そう必死に体を起こそうとするが、体は、うごかない。

 でも、せめてともう一度かけたとき。体は、動いた。

 東雄族とアリシアの前に立つ。両手を大きく広げ、立つ。


 「あ?何だこのガキ」

「魔力も纏ってないくせに、調子に乗るなぁぁぁ!」


 見えなかった方手には、短剣が握られていたらしい。

 思わず、目をつぶった。バキン、という音とともに俺は倒れた。

 アルバースの意識はここで途切れた。

 残された盗賊は驚きと恐怖が入り混じっていた。


「剣が、折れた?」

 「で、でもあいつも倒れましたよ。劣化してたんですって」

「うんうん、改造成功だな」

「いやーよかった,,,,,,え?」


 盗賊二人は、必殺の手刀の前に倒れた。

 支障を名乗る男は、親のような顔でつぶやいた。


「よく頑張ったな」


二人の頑張りを褒めるように、太陽が地平線の先か昇り始めた。


次回「出発」

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