異世界と邂逅
「話をしよう…」
焚き火を前にして男は語りだした。
「この世界には悪魔と天使がいる。どういうこと?と思うかもしれないが、奴らは人類と敵対している」
男は指を鳴らすと、先ほどの怪物と同じホログラムと光の甲冑を纏った騎士が現れた。
「そうはならんやろ」
「なっとるやろがい!……じゃなくてまぁまぁ気にしないで」
「はぁ」
呼吸おいて再び話し始めた。
「あれは2万……いや2千年前だったか」
「どんな間違えだよ」
そうして男は、いつのまにか持っていた本を読み始めた。
「天使は突如現れた。激闘の末人類は東の果てに天使を追い詰めた…………が西に魔神が現れた。もう力を使い果たしていた人は神に祈りを捧げた。神は慈悲深く、魔神の四肢に楔を打ち、西の果てに封印した。山を築き魔族と我らを分けた。そうして今の大陸が完成した。東の果ての『の海岸』、西の果ての『オリンパス山』ー創世ー第一節ー」
OKわからん。
何言ってんだこいつ。
見つけたのは中二病だったか
「なるほど、わからん」
「創世っていうのは全世界共通の”神話“だ。」
「なるほど、わかった」
「…………話聞いてるよな?」
神妙な顔でこっちを見てきた。
やばい適当に返事しすぎたか。
「いやいや、聞いてるよ。わかってないけど」
「大丈夫!とりあえず言えることは、奴らを見かけたらトゥトゥヘァー!みたいな感じでぶっ飛ばせばいいんだよ」
「なるほど、わからん」
何言ってんだこいつ……やっぱやべぇやつだったんか?
「次に 魔法だg……」
――――――――――――――――
話をまとめると、この世界はネオっていう力?が満ちているらしい。
ネオは空気中に含まれていて、体の中にも流れてる。
人々はこの力を他の力に転用して生活しているとか。
例えば、かまどの火をおこしたり、水と汲んだり、いろいろと便利らしい。
あと、この世界では空を飛ぶことは一般的なことらしい。
一般人でも大体の人が空を飛べるんだとか。
感想としては、なんかよくわからん。
さっきのホログラムみたいなのはおかしいけど、人間実際に見てみないと信じないものなのだ。
なんてことを考えていたら眠くなってきた。
ちゃっかり用意されていた焚火の前に座って、だらっと星を見ている。
月明かりが強くてきれいには星は見えないけど、でも今まで見てきた中で一番きれいな星空だったと思う。
記憶ないんだけど。
「これからどうしよっかなぁ」
無意識に出た言葉を、教師を名乗る不審者は聞き逃さなかった。
「ほう。やっぱり行く当てがないのか」
「...なんで行く当てがないとうれしそうなんだ」
「いやそういうつもりじゃないんだけど」
そう言うと一枚の紙を渡された。
「ほれ、読めるか?」
そこにはある学校の入学試験の要項が書かれていた。
「ウェリス?」
「そう神都アルビオンにある学校だ。お前にはそこに入学してもらう」
「いやでもs」
「どうせ行く当てないんだろ?俺が面倒みるからさ」
これは罠だ!
怪しい男にはついて言ってはダメっていうのが世界の常識だったはず。
でも行く当てはない、記憶もない。
だめだ、行くしかない。
「じゃ、じゃあ行くわ」
「やったぜ」
男は左腕でガッツポーズをした。
本当にこれでよかったのだろうか...
「早朝に出発するぞ」
そう言って洞窟に戻っていった。
焚火の日を見ながら今日のことを振り返ろうとしたとき、すでに夢の中にいた。
チュンチュン
フィクションのような小鳥の鳴き声で目が覚めた。
朝焼けとは言えない高さにある太陽を感一瞥して、寝過ごしたかなと少し焦った。
だが、その不安は杞憂であるとすぐに分かった。背中から視線を感じたからだ。
真後ろに体育すわりでまっすぐこっちを見つめる男がいた。
「ファッ!?」
心臓が痛い。マジでびっくりした。
「待って?幽霊じゃないよね?」
にやにやしながら男は答えた。
「実は..........まぁ生きてるけど」
「だる」
思わず本音が出てしまった。かまちょすぎる。
もしかしてくそめんどくさい人なのでは?
あっでも今日はちゃんと服着ているな。なんかバイクに乗っていそうな感じだ。
すると男は手をポンと叩き、何事ともなかったかの様子で本題に入った。
「さて、出発だ」
「わかった。どうやって行くんだ?もしかして...歩き?」
すると中指を振って。
「ちっちっち、空を飛んでいくんだよ」
「そらぁ?」
昨日のやつか。百聞一見、見せてもらおうか魔法の力とやらを。
背中をガッツリ掴まれる。
まさかねぇ、人が空を飛ぶわけ。
男は思いっきりしゃがんで、地面が割れるほどの力で地面を踏みしめた。
風圧で顔が歪む。
「とんdふぁぁぁぁぁ!!!」
「口塞がないと舌なくなるぞ。」
よし黙ろう。思ってた5倍くらい早い。
せいぜい鳥くらいかなって思ってたけど、その比じゃなかった。
音速超えてるんじゃないか?
雲が木がパラパラ漫画のように過ぎていく。
すげぇ早い、てかなんか眠くなってきた...朝顔洗ってないからか?
やばい普通に寝る。
「はいついた~」
「ふぇ?はや」
そこは森だった。まさかの森→森だった。町に来たと思ったのに。
さっきと変わった点といえば、かなりおんぼろの家が一軒あるくらい。
「おーい、戻ったぞー!」
男が家のほうに叫ぶと、人影が家から出てきた。
背は俺より少し低いくらい。銀色の長髪、赤い瞳。そう美少女がいたのだ!
次回「衝撃の修行法」