表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する  作者: 雨香
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/97

ホワイトデー1


二回目の慰霊の日からも、シェイド様は忙しいままでなかなかお会いできなかった。

朝ごはんぐらい一緒にと思っても既にいない事の方が多い。


その代わり、グラセン騎士団の人が側にいてくれる事が増えた。


「姫ちゃ~ん!おじさんこの日を待ってたよぉおお!!!なっかなかシェイドがおじさんを入れてくれないから拗ねちゃう所だった!」


今日は叔父様の日だった様で、朝からハイテンションの叔父様と対面している。

公爵邸の中庭で朝からお茶会なんて、贅沢だなと思う。


「叔父様、この前は自己紹介もせず、失礼致しました。リリ・ユウキと申します」


カーテシーもだんだん様になってきた。

ケイトさんはわりとスパルタなんだよね。


すぐ横で、満足気な顔をしているケイトさんが見れたので、合格点だった様だ。


「ヴァルド•グラセンだよ~!シェイドの父方の叔父だね。ひめちゃんのばあやがずっとうちで働いていたから、おじさんの事を聞きたかったらメイルに聞けばなんでもわかるよ!さぁすわろうすわろう!」


「ばあやが?」

 

「うん、そこの侍女も昔うちの子だった子だね~、ケイト君、久しぶり。大出世だねぇ」


「お久しぶりにございます。その節はお力添えを頂き、ありがとうございました」


ケイトさんが頭を下げる。


「叔父様も、推薦状を下さったんですか?」


「そうそう、ダメ元でも挑戦したいって言うからね~、シェイドとおじさんの分で審議にかけてもらったんだよ~。まさか聖主猊下まで出てくるとはね~」


「ありがとう、ございます。ケイトさんがいなかったら、私……」


「いやいやおじさんは書類一枚書いただけだよ。あの頃のシェイドは常に目が座ってて怖かったけど、丸くなって良かったよ」


「目が……?シェイド様、何かに怒ってたんですか?」


「姫ちゃんを手放したのが余程こたえたんじゃない?馬鹿だよね」


————「おい。うっせぇぞ、おっさん」


「シェイド様!!!わわっ、お帰りなさい!」


私がガタンと席を立つと、琥珀色の瞳を細めて笑ってくれる。

なかなか会えない私の好きな人が、今日もかっこいい。


「おっさん、俺が変わるからもういいぞ。アランが稽古してほしいってよ」


「嘘……だろ………………五分もいなかったぞ!!姫ちゃんの護衛やらせろ!!拒否する!!!!」


割と本気で拒否しているらしい叔父様が、大声で抗議していて笑ってしまう。


「ヴァルド殿!よろしくお願いします!!!」


「うっっわっ!わんこ君連れてきちゃったの!?ぐっ、曇りなきまなこ!!やめろっっっ!見るなっっ!!」


「アラン、連れてけ」


「はい!姫様、失礼いたしました!」


「あ、うん?またね」


大柄の叔父様をアラン君がズルズル引っ張っていく。

最後まで喚いていたけれど、どこかに移転で消えていった。

アラン君、いつから移転できる様になったんだろ、初めて見たな。


「シェイドさま?今日は一緒にいてくださるんですか?」


「ああ、俺が護衛する」


「わぁ!嬉しいです!!もっとおしゃれすれば良かった……」


やった!やった!!


「十分だよ」


さっきまでヴァルド叔父様が座っていた席に座ると、ケイトさんが新しく入れたお茶を優雅にのんでいる。うぅ、かっこいい。


「私が何かまずい事をしたから、シェイド様また忙しくなっちゃったんですか?」


「リリは……魔熱の治療をしたいか?」

シェイド様は私の質問に質問で返してくる。すごくずるいと思う。


「それは……困ってる人がいるなら……したいです。私でも、できる事があって、嬉しいですから」


濃い琥珀色の瞳がじっと私を見る。


「じゃあまずはグラセンの騎士達で比較的症状の重いものだけ集めるから、治療、してくれるか?」


「はいっ!がんばります!」


「頑張らなくてもいい。グラセンの騎士を癒してくれるのは、正直助かる。長年苦しんでいる者もいるからな」


「ひどいんですか?」


「今のグラセンにはリリのおかげで魔獣が出ないから、リリの来る前からの患者が大半だ、この前のやつほどひどくはない」


「この前の人は、グラセンの人じゃないんですね」


「あぁ、魔獣もあいつも他領に行って探してきた」


「良くなりました?彼」

あの、灰色オオカミみたいな人、どうなったのか魔力枯渇のせいで見れていない。


「ピンピンしてたよ、おまえに会わせろってうるせえからすぐ送り返した」

 

「良かった……」 


「次からはベールで顔を隠して欲しい」


やっぱりね、そんな気はしてたんだよねぇ。


「はい」


「いいのか?嫌がるかと……」


「その方が護衛しやすいとかですよね、しょうがないです」


「…………………………」


「シェイドさま、このチョコレートすごく美味しいんです、召し上がりませんか?」


「ん?あぁ……甘いのは、いい」


なんだか気まずくて、無理やり話題を変えると、思った通りの返答が来て笑ってしまう。


「ふふふ、お菓子いつも全然食べないの気づいてました」


「甘すぎだろ、リリの食ってるのは」


「そうです?このチョコレートすごくおい……?え?チョコレート!?」


「なんだ、どうした?」


「バレンタイン!!!!シェイド様に渡せなかった!!!うそでしょ……」


「?橘邸の奴らが渡してきた荷物か?」


「シェイド様、それどうしました!?」


「部下が食ってた」

えぇ!?婚約者に渡されたバレンタインチョコ、この人絶対お返しとかしないよね!?

非常にまずい!!


「誰からとか書いてませんでした!?」


「俺は見てないけど、何かあるのかもしれないっつってクリフがまとめさせてたと思う」


「クリストフさん、ナイス!!!!」


「なんなんだ……」




ヴァルド「おじさんもチョコほしかった……くすん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ