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タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する  作者: 雨香
第2章

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図書館のお茶会


「うまいのぉこれ。さすがセフィロス坊じゃな。女子の気持ちをキャッチーしておる」


おじいさま、めちゃくちゃ嬉しそう。

キャッチーってのが気になるけど。

テオ君は周りに花が散っていて、ハムスターみたいにモグモグ食べていて可愛い。


セフィロス様からの聖都のお土産のお菓子を沢山頂いて、おじいさまとテオ君と私で図書室でお茶会なのだ。


プレゼント魔のセフィロス様なだけあって圧巻の量だった。カードには、


『美しい貴方へ    貴方の兄より』


と一言添えてあって、心遣いがあったかくて嬉しい。


ホテルのアフターヌーンティーの様にケイトさんがテーブルに飾りつけてくれて、疲れた体に糖分が染み込んでいく。


「僕も見てみたいです!姫様の浄化の儀式!」


「ふふふ、今度一緒に行こうか。みんな浄化って言うんだけど、私、浄化はしてないよ?」


三人とも目を開いて固まっていて、困惑する。


———「姫様!ご招待ありがとございます!」


アラン君が嬉しそうに図書室に入ってきたので、テオ君が座ったままピョコピョコする。

うん。可愛い。


「団長から差し入れです。グラセンの名産なんですよ」


「何じゃあやつ、プレゼントが下手じゃのう、カードも付いておらんわ。セフィロス坊の勝ちじゃな」


籠に沢山のフルーツが入っているのを見ておじいさまが独りごちる。


「下手です?私、果物好きですよ?シェイド様がモテちゃったらこまるから、このままでいいの。おじいさま、ピーチティーにします?」


「おお、グッドアイデアじゃ!」


「では、(わたくし)が」


「ありがとうケイトさん。アラン君も座って?ロビリー菓子店の新作だって!」


「して、リリちゃん姫、先程のはなしだが……」


「?浄化の話ですか??えっと、みんなは浄化浄化って言うんだけど……私そんな聖女みたいな事は出来てなくて。私のしてる事は慰霊だね」


「何の話でしょう?」

アラン君が急に真面目な顔になって言う。


「えっと、私が今日した事は魔の魂を浄化したって訳じゃなくて……慰霊?してるの。魔の魂を慰めて、感謝して……鎮魂って感じかな?うまく説明できないけど」


「………………」

なぜかアラン君はだまってしまう。


「そういえば、私、しっかり見てこなかったけれど、やっぱり慰霊できたのは人型の魔獣と魔熱のお兄さんだけだった?」


「あ、ええ、獣型の魔獣の方は変わりませんでした」


「やっぱり……」


「何の違いがあるのかお分かりになりますか?」


「うーん、絶対とはいいきれないし、自信も無いんだけどいい?」


「はい、かまいません」


真剣な空気にテオ君が不安そうな顔をしたのを見逃さずに、アラン君がテオ君の頭をワシワシ撫でる。

くすぐったそうに嬉しそうに笑うテオ君が可愛い。


「魔族って臣君みたいに魔の魂を産み出す存在だよね?その生み出す魂は多分欠けていて、善悪の悪の部分しか無いのだと思うの。だから人の魂を求めて完全になろうとする。善と悪、人は両方からなずもっているでしょう?善が解らないと悪もわからないから……臣君みたいな……臣君は善悪の区別がついてない人だったから。平気で人を切り捨てるし、オペも……えっと医者としても患者さんで実験してるみたいな感じだった」


儀式の時の感覚を思い出しながら、考えをまとめてみるけれど、自信がある訳じゃない。


「獣型の方には善悪の区別ががないから魂として完全じゃ無いと言うか…………だから弔う事が出来ないんだと思う。何と無く、何かが足りない感じがするの」


「成る程、では魔熱の治療はなぜ出来たのでしょうか」


「えっと、魔の魂は完全になるために人間を求めてるのに、この世界は魔族はもう産まれないし、第三の御子が追いやったんだよね?人に直接取り憑く形で産まれる事ができないから、血を通して体に入ろうとするんじゃ無いかな?人の魂が欲しくて。

血液は生きてるわけじゃないし、魂としては弱い感じがするけど……血がついたりした人は魔獣にまではならないけど近い存在にはなる。魂の、欠けた善の部分は満たされるから私が弔える」


「成る程————姫様、お茶ごちそうさまでした!仕事を思い出したので残念ですがお暇いたします。是非また誘ってください!」


「まぁ、そうなるよのお」

おじいさまがテオ君のピーチティーに蜂蜜を垂らしてあげながら言う。


「?あ、ううん。忙しいのに、来てくれてありがとう!」


「いえ!テオ、今日は遅くなるから先に寝てろ」


「はい兄さん!」


実はアラン君は聖都の騎士団の寮を引きはらって、テオ君と公爵邸の使用人部屋に住み始めたのだ。家族用のお部屋もあるんだって。テオ君が毎日すごく嬉しそうで私まで嬉しい。


「あ、それなら私のお部屋においでよ。一緒に寝よう?ばぁやにココアを入れてもらおう!生クリームものせてもらおうよ!」


アラン君が驚愕の眼差しで目を見開いて固まっている。心なしか顔色が悪く血の気が引いている?なぜ。


「えっと、お泊まり会、だめだった?」


テオ君はわたわたしつつも、ちょっと期待した顔をしたのを見逃さないぞ!夜に一人は怖いよね。


「…………殺される…………」


身分がどうとか、そうゆう事だろうか。

気にしないのに。それなら私の希望という事にした方がいいかな。


「えと、アラン君?お願い」


「グぅッッ……………………………で、ではお願い致します。テオ、良い子にしてろよ?頼むから!」


「はい!!!!ぼく、良い子にします!!」


「ふぉっふぉっふぉ、公爵坊主も難儀よのう」


公爵坊主ってシェイド様のこと?

おじいさまのネーミングセンスは微妙だなぁ。



アラン「絶対殺される……死因が……お泊まり会……」

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