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タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する  作者: 雨香
第1章

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庭園デート1

「おや、お一人ですか?あまり期待はしておりませんでしたが、いい仕事したみたいですねぇあの刺客」


クリストフさんの謎のセリフを聞いてつい後ろを見やる。私の後ろにはじいやもケイトさんもいるけど?


「??あ、カイウス殿下ですか?殿下とは途中で別行動になりまして」


「思ったより仕事のできる刺客でしたね。彼女達の認識を改めますよ」


んん??あのご令嬢達はクリストフさんが送り込んだの???


「ふぉっふぉっふぉっ、あのご令嬢達はクリストフ殿の差金ですか。どおりで未婚のご令嬢達が多いなと思っておりました」


「特別な事は何も。リリ様のお買い物中の入場規制者から若いご令嬢の欄を消しただけですよ。ご夫婦の入場だけでは、彼女達がかわいそうではありませんか」


「おまえ、そんな事…………」


()()()()()()、消してしまいまして」


ニコニコ笑顔のままのクリストフさん、怖い!!


「それで、楽しめたか?」


内輪だけだからか、崩れた口調のままで嬉しい。ずっとこのままならいいのに。


「はいっっ!!とっても楽しかったです!不思議な色の紅茶とか、綺麗な物がいっぱいありました!あ、お礼がおくれてごめんなさい!シェイド様に沢山買って頂いたのに……ずっと大切にします!」


「楽しめたなら……いい」


シェイド様、口元を押さえて天井を仰いでる。どうかしたのかな。


「坊ちゃん、我がグラセン公爵家の完全勝利ですぞ」


「…………そうかよ…………」


?何が??誰かと戦ってたの??


「お嬢様。伯爵位の方達のご挨拶まで一刻ほどございますゆえ、少しご休憩なさいますか?団長様、カイウス殿下と()()()()しまいましたので、お嬢様の護衛、お頼みしてよろしいでしょうか?」


「わぁ!いいんですか!?嬉しいっ!お庭に一緒に行きませんか?」


ケイトさんナイス!!


「おや団長、ちょうど団長の有給申請が通りましたよ。一刻です」


「……………………」


「ふぉっふぉっふぉっ、坊ちゃん、気張りなさいませ」


「だめですか?お仕事忙しいですもんね……わがまま言ってすいません……」


「ぐっっ…………!」

シェイド様は今度は両目を片手で覆って天井を仰いでしまう。


シェイド様の口から断りの言葉が出たらと思うと急に怖くなり、ワタワタと逃げの言い訳ばかり並べてしまう。


「あ、あの!お仕事の邪魔をしたいわけじゃなくて、その……すいません、私、シェイド様とお会いできて舞い上がってしまって……カイウス殿下を探しに行きますね!今日は沢山買っていただいてありがとうございましたっ!!」


じわじわと涙が出たのを見られたくなくて、踵を返したところで大きな手で腕を掴まれた。


「クリフ、半刻後に第一に報告しとけ、探されたら面倒だ。たっぷり嫌味も入れとけよ」


!!??


「言われなくても」


「いってらっしゃいませ。お嬢様。団長様、くれぐれも、よろしくお願いいたしますね」


「承知した」


お、推しと庭園デート!!これは夢!?


「忘れるところでございました。坊ちゃま、こちら、お嬢様の宝物でございますゆえ、お預け致しますね」


「じいや!!!???」


じいやがシェイド様に預けたのはあのつる籠で、上に被せたハンカチがヒラヒラしてなんとも頼りない。


「~~~~っ!!じいや!内緒にしてって言ったのに~!」


「おやおやお嬢様、不肖じいや、ついうっかり。しかしまだ何もいっておりませんぞ」


「ゔぅ~~」


「…………なんだ?」


「な、何でもないです、私が持ちますね!」


「大事な物なんだろう?護衛は荷物持ちも兼ねるぞ?」


意地悪な顔までカッコいいなんて反則!!!


「ほら、行きましょうか、リリ様」


急にかしこまって、騎士の礼をしてエスコートしてくれる。


「~~~っはい!みなさん、行ってきますね!」


「「「 いってらっしゃいませ。 」」」


カイウス殿下の時は無だったのに、ドキドキして息が苦しい。

はぁ……かっこいい。優しい。すごい。語彙が死ぬ……夢みたい……


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