第5話:真夜中の特訓、明日こそファイア・ボールの完全習得!(2)
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午後:エルヴィンと秘密の修行
午後、エルヴィンが「特訓だ!」と元気に誘いに来た。彼は村の裏手にある小さな森に瑠璃を連れて行き、そこで特訓を始めようと言う。魔道薬なしで自分の力だけでどこまでできるか試すための修行だ。
「エルヴィン、本当にここで魔法の特訓をしてもいいの?」
「大丈夫大丈夫!ここなら誰も来ないし、気にせず力を出せるって!」
エルヴィンはそう言うと、自分の風の魔法を披露してみせた。ふわりと舞い上がる風が木々を揺らし、葉が踊るように舞い上がる。その美しさに、瑠璃は改めて感動した。
「すごい…私も早くこんな風に魔法を使えるようになりたいなぁ」
「よし、まずはその気持ちが大事!じゃあ、いっちょファイア・ボールを撃ってみな!」
エルヴィンの元気な声に励まされ、瑠璃は両手に魔力を込めた。今回は力を抜いて、心を穏やかに保つことを意識しながら。ゆっくりと呼吸を整え、火の玉が手のひらに浮かび上がるのを感じる。
「い、いけるかも…!」
瑠璃が集中して火の玉を安定させようとした瞬間、エルヴィンが横から声をかけた。
「おお、すごいじゃん!それ、もうちょっと強くできるか?」
「ちょっと待って、集中を切らさないでよ…!」
しかし、エルヴィンの無邪気な応援に気を取られた瞬間、瑠璃の火の玉は暴走し、ポフッと不発に終わってしまった。火花が散ってあっけなく消えてしまうのを見て、瑠璃は思わず顔を赤らめる。
「ご、ごめんね…」
「いやいや、全然いいって!瑠璃が火の玉を安定させられるようになってること自体がすごいじゃん!」
エルヴィンは笑って肩をすくめ、再び励ましてくれた。その姿を見て、瑠璃は失敗にもめげずにまた挑戦する決意を固めた。
夕方:ひとりで挑む魔力の試練
日が傾き始めた頃、エルヴィンと別れた瑠璃は、ひとりで再び魔力の練習に取り組んでいた。エルヴィンの励ましも心強いが、最後は自分の力で火の魔法を完全に習得したいという気持ちが強かったからだ。
「もう一度…集中、集中…」
深呼吸をし、心を落ち着けて火の魔法を試みる。手のひらにふんわりと小さな火花が現れる。これなら安定していると感じ、少しずつ魔力を増幅させるように流し込む。すると火花は徐々に大きくなり、安定した火の玉が手のひらに浮かび上がった。
「やった…今度こそ成功かも!」
瑠璃の手のひらに浮かぶ火の玉は、見事に安定していた。エルヴィンのアドバイスと先生の教えが功を奏し、ついに自分の力で火の魔法を操れるようになったのだ。
「これで…私も、魔道士の一歩を踏み出せたかも!」
瑠璃の目には希望の光が宿り、彼女の魔法の道がようやく始まろうとしていた。
次回 第6話:最弱魔法使い、ダンジョンに挑む
11/14投稿予定!!




