プロローグ:異界の召喚
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目を覚ましたとき、黒木瑠璃は見知らぬ天井を見上げていた。
「えっ…ここどこ?」
あたりを見渡すと、豪華なシャンデリアが天井から下がり、壁には不気味な紋章が飾られている。まるで中世ヨーロッパの城のようだが、瑠璃には心当たりがない。彼女が最後に覚えているのは、高校の部活で居眠りしていたときのことだった。
「もしかして、転生ってやつ…?」
そう、瑠璃はまさかの異世界転生を果たしていたのである。
「では、新たなる皇帝候補に御登場いただきましょう!」
突然、目の前に現れたのは威厳のある中年の男性。瑠璃はまだ状況を理解できないまま、その男に促されるように壇上に立たされた。
「皇帝候補? 私が?」
混乱している瑠璃をよそに、男は続ける。
「ここは魔道帝国ロウナ。諸外国に囲まれた小さな国家だが、強力な魔力を持つ者が集まる帝国でもある。この世には七つの属性――火、水、風、土、光、闇、無――が存在し、それらを駆使する者が皇帝として君臨するのだ!」
「ええと…魔法ってこと?」
瑠璃は呆然としながら聞き返した。すると男は小さく笑い、彼女に薄い本を手渡す。
「これが君のステータスだ」
瑠璃は本を開き、自分のステータスを確認する。
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名前:黒木瑠璃
職業:見習い魔法使い
レベル:1
属性:無
魔力:5 / 1000
スキル:なし
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「えっ、雑魚じゃない!? 何これ、魔力5って、誤植?」
他の皇帝候補たちが「レベル30」「魔力800」など強力なステータスを誇る中、瑠璃のそれはまるで子供の遊びのような数値だった。瑠璃は呆然としつつも、小さな疑問が湧いてきた。
「え、でも、私って普通の高校生だよね…どうしてここに?」
男はやや困った顔で瑠璃に答える。
「どうやら、異世界から召喚されてしまったようだ。もしかすると、大いなる力が眠っている可能性もあるかもしれない…まあ、ないかもしれないが」
「いや、ちょっと! そこはもっと強調してよ!」
「とにかく、これから君には修行を通じて実力を磨いてもらう。七大魔法を操る皇帝大魔導士を目指して頑張るのだ!」
瑠璃は必死に状況を飲み込もうとするが、まだ気持ちが追いつかない。しかし、ただの高校生だった彼女には選択肢がなかった。
「じゃあ…地道にやるしかないってこと?」
「その通りだ。修行を積んで、少しずつステータスを上げるのだ! 魔道帝国ロウナの未来は君の手にかかっている…かもしれない!」