因習村コンテスト
オラ、アミーゴ・アミーガ☆三屋城です♡
文末に、ハートは表示されているでしょうか?
記号がどこまで対応されているのかわからず、けれど使ってみたかったので使ってみました。
さて。
タイトルの通り、因習村です。
ほんのちょっと前に、Xでも「あの祠を壊したんか」が流行っていたのですが、因習村の設定を立てて応募するコンテスト、を主宰している方がXにいらっしゃいまして。
そちらに応募した内容を、まとめて掲載したいと思います。
コンテスト応募してみたい! って方に向けてのURL紹介は後書きに載せさせていただきますので、ご興味ある方は参加してみていただけたらと思います。
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その村は、山に入りそのまた奥深く、緑の木々鮮やかに、また湖を中心にたたえた場所にあった。
青く澄んだ湖の周り、その一角には美しく夕陽を反射するほどの棚田。
春には黄緑のその身を輝かし、秋にはその黄金たるやキラキラと輝くほどであった。
のどかな村で、人々は朗らかに農作業をしている。
年二回ほどの祭りには内外から見物人がみえるほど、その独特な風習は煌びやかで目を惹くものがあった。
そんな村には年一度、奇妙な風景が広がる。
白く幅一メートル、長さ二メートル程の手漉きの和紙に、村の妙齢の男どもの魚拓ならぬ人拓がとられ。
軒先に一斉に下がるのだ。
豊穣の祭りの後、秋のみのりの収穫前とあって、黄金の中のその白に黒一色の大きな御旗の如き和紙のたなびく様は、なんとも言い知れぬ不安を、見るものにあたえた。
それは隣の森深くに住まうという森神の娘への生贄選びの儀式だった。
娘に選ばれた家には赤褌の矢が刺さる。
刺さった家は泣く泣く息子の身を清め、赤褌を身に纏わすと森へと神輿を担ぎ置いていくのだという。
数日後、その子供を供出した家には赤子が帰るそうで。
その赤子を大事に育てた家は隆盛し、粗末にした家は没落するという。
昔からの、言い伝えである。
完
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そこは、地図に記載することが躊躇われた、近隣の村に口伝でのみ伝わる秘密の村。
海にポツンとひとつ、一般の人間には知ることを許されぬ場所。
船漕ぎ向かった先、そこには二十四色の褌のかかった港があり、訪れたものを出迎えた。
その色は三十年ごとに一色だけ入れ替わる。
村には二十四の家があり、十年ごとに一軒ほど建て替わるという。
その少し前には、近隣の村におふれが出るそうだ、「どこぞか一人、旅人さ寄越せ」と。
そうして一人、男女問わず旅人にその村のことが知らされる。
丁寧にもてなされ、村へと向かわされた。
着いた村でも、備長炭でぐるり家の周りを飾り立てた家へと通され、獣の肉が出され滝壺で清められ、見知らぬ液体がかけられる。
とても美味しそうな照り焼きの、継ぎ足し継ぎ足し守られてきた伝統の味。
それを嗅ぎつけ神が来る。
火を吹き家ごと丸焼きに。
後は火龍神の腹の中。
そしてケツからひり出され、作りかえられしマレビトは、新しき褌の色と住人を定めてこと切れる。
天啓を受け家を作り、住むものは繁栄するという。
今も日本海の海のどこかに、豊かに人が住むという。
完
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「きゃー! 遅刻遅刻!!」「うわ、遅刻遅刻!!」
この合図を皮切りに、次々港に着いた旅人にぶつかる食パンを口に咥えた村娘、村息子たち。
詫びにと村内へと案内し、ミミズによく似たあまこと呼ばれる郷土食を強よu……じゃなかった、振る舞ってくる。
が、しかし、食べてはならぬ。
踊り食いを勧められ、完食すれば逃げられぬ。
食べきったが最後、嫁に婿にと捕らえられ、あれよあれよと婚礼の儀へと突き進むのだ。
婚礼の儀は三日三晩行われる。
ひたすら食パンを口に突っ込む儀式である。
これを完遂できなかった場合、その者は裏山のおおあまこ様への供物となる。
山の頂にトグロを巻いて鎮座おわしますおおあまこ様は、虹色の鱗を纏いて供物に巻きつき、長い舌を使って脳を啜る。
骸は山へと捨てられる。
あの山はそうして出来たと村長の家には伝わっているそうだ。
だからあの島へ行ってはいけないよ。
呼ばれても行ってはいけない。
あれはそういうところだからと、体から酵母のいい匂いのする旅の老婆が言った。
完
因習村入村案内 https://sites.google.com/view/inshumuracontest?usp=sharing