【書籍の感想】 『ヴェールドマン仮説』西尾維新
西尾維新先生の作品は、初見です。
漫画とかアニメで、物語シリーズは見たりしているのですが……小説は初めて。
昔いとこが銀色? の箱に入った書籍を持っていて、興味はあっても興味で止めていました。
なんで止めていたんだろう?
今となっては、なぜ、読むまいとしていたのか思い出せません。
そんなこんなの、西尾維新作品活字ver.との邂逅。
まず第一に思った感想が……
思ったよりアクが強くない主人公の一人称だから、最初は淡々としていて下手すると退屈……
でした。
びっくりですよね、私もびっくりです。
どうも、インパクトのあるアニメとかの印象が強すぎたために、どの作品も初手インパクトがあるんだろう、だなんて勝手な思い込みが形成されていた模様。
この思い込みを解いてみれば、なるほど一人称でも、読み進めやすいように、また主人公不在でも話に興味がいくような動線が仕込まれています。
一人称と、三人称……というよりかは、他者の独白と、二本立ての構成が、その動線を担っているのですが。
独特です。
見ないわけでないというか、web形式の小説だと、一人称での視点がえって割とあるタイプなのですが、書籍はもしかしたらもしかして初めて見たかも。
物語は、平凡な? 主人公が非凡な家族の力を得ながら、遺体にヴェールを模したものを被せる、という特徴の連続殺人事件に向き合っていく物語です。
ミステリ、になるのかな?
注目すべきは、独白の部分。
幕間として、掲載されているのですが。
わざと、末文の鉤括弧が抜かれているのといないのとに分かれています。
私はこれに、犯人側には思考を受け継ぎし二人目がいるか複数人であるのを表したらこうなったのではないか? と推理しました。
あっているかはわかりません。
似通った境遇という共通点がありつつも、伝播していったある種の意識とか思考のようなものが、侵食し、似通った話し方や考え方になる、という描写なのかなぁとか思ったのですが。
そう考えると、小説としては完結しているのですが、物語としては続いているのではないか……なんていう可能性が示唆されている。
と、私はそう感じました。
え、何を言っているかわからない?
私も何を書いているかわかっていません!
いや、何を書いても興味を持って読んでみようと思っていただけた方への、ノイズになりそうで。
ただ、私が思ったり感じたことを書く。
しかないかなぁということで、こういう書き方になっていて……。
知らせたいのに、読書体験の邪魔になりそうなジレンマ……ぐぬぬ。
読み口? というか、主人公がド派手に活躍するわけでもないのに、スラスラ読み進められるというか。
これまでのミステリもの探偵ものなどをド派手だから読んでた、訳じゃないのですが、なんらか特徴的な主人公が謎を解いていく……な人物像が多かった気もしていて。
けれど本作は主人公が普通。
普通でもスッと読めていく、というのはなかなか新鮮な体験でした。
『ヴェールドマン仮説』、解明されえぬ謎に挑戦してみたい方に、おすすめです☆




