友達
背中ほどまである髪をてぐしでとかしながら、レイと一緒に食堂へ向かう。
私の容姿は、結構珍しい。
普通の人なら、髪と瞳の色が同じだし、もし違っても瞳が赤だったらピンク、という風に同じ系統の色だ。
だからレイは神と瞳の色がピンク色をしている。
でも、私は結構特殊だ。
髪と瞳の色が違うだけならまだいい。ただ、私の場合は同じ系統ですらない。
髪は、光の加減で銀色にも見える純白。瞳は、透き通るような水色。厳密にいうと、コメットブルーという色らしい。
最弱という実力も相まって、私は入団当初から注目の的だった。正直居心地が悪かったけど。
今はもうみんな興味をなくしたのか、関心を持たれることは少なくなった。だんぜん今のが楽だし、今後永遠に興味を持たないでほしい。私、目立ったり期待されたりするの苦手だし。
そんなことを考えている間に、食堂に到着した。
大きなテーブルに、椅子がいくつか並べられているのが一セットで、それが3セットくらいあるのがうちの食堂。
料理人の人たちは明るくて優しいし、料理がめちゃくちゃおいしい。さらに、ここはペア以外と交流できる数少ない場だということもあって、食堂は結構人気だ。
「あ、レイとレイアじゃ~ん、おはよぉ~」
「あ、おはよー!」
声をかけてきてくれたのはリオ。髪がぴょんぴょんはねているのは一瞬寝ぐせかと思ったけど、そういえばいつもこうだからもともとなのかも。
リオも私と同じ水色系統の髪と瞳の色なんだけど、なんていうか……私よりははっきりしてる感じ、っていうか。とにかく、同じ水色というたぐいでも少し色が違うのだ。
結構雰囲気がふわふわしてるから、すぐに誰とでも仲良くなっちゃう。頼りにならなさそうに見えるけど、いざというときは頼りになる。
「ぁ、お、おはよぅ……」
「サラもおはよう!」
ちょっとおどおどしながらも挨拶してくれたのは、リオのペアであるサラ。
灰色のさらさらとした髪がすごくきれいで、リオに髪で遊ばれているところをよく見る。肩にかかるかかからないかくらいの長さで、リオはみつあみをしてみたりしてよくいじっている。
大人締めな性格だから嫌じゃないかな、ってたまに不安になるけど、ここ一番ってときは自分の意見をはっきりと示してくれる。
ちなみに、リオは水属性で、サラは火属性だ。
最初にサラが火属性だと聞いたときは意外だと思ったけど、実はサラって結構強いほうだったらしい。
一度一緒に魔物の討伐に行ったときに見たんだけど、普段の態度からは想像できないくらい強かった。火力はもちろんだけど、きっと視野が広いんだと思う。
私には到底できない芸当だ。
うらやましいなぁ。って思っても、何にもならない。
だから私は、毎日欠かさず鍛錬をしている。
努力が報われてるかどうかは……まぁ見ての通りだけど。
やらないよりましだと思ってる。それに、訓練は疲れるし苦手だけど嫌いじゃない。
「お~い?早く食べないと冷めちゃうよ?」
「あ、ごめん!ちょっとぼーっとしてた」
目の前には、ホッカホカのごはん。おなかがくぅ、と音を立ててレイに笑われ、ちょっと肘で小突くと仕返しされ、二人での小突き合いが始まる。
それを二人が笑顔で見守る。これが、いつもの風景だ。