日常
ピピピピッ、ピピピピッ。
枕元に置いた目覚まし時計が朝を知らせてくれる。でも、だからと言って私は起きるわけがない。
なぜかって?理由は単純。眠いから!!はい、説明終わりー。こんなフッカフカのベッドの上で寝る以外の選択肢なんてある!?
だが、私の安眠を脅かそうとしている敵が一人………。
「はよ起きろっつってんだろこの寝坊助が!!」
「ちょっと待って布団をはぎ取らないで!!寒い!!!」
こいつ、布団奪ってきた!!まじでしんじらんない!!!
「ちょっ、起きなかったからで布団を奪うのはなしでしょ!!?この悪魔!!ひどい!!」
「お前が何しても起きないからわざわざ起こしてやってんだよ感謝しろこの馬鹿!!」
「はぁぁぁぁ!?!?私にはちゃんとレイアって名前あるから!!あ、それかもしかして名前忘れちゃった?そっちがバカじゃん」
「お前マジふざけんなしばくぞ????」
ピンク色の肩までかかる長髪に、透き通ったような目。
こいつは、私のルームメイトであるレイ。
まぁルームメイトだけど、さっきの会話の通り、私たちは犬猿の仲である。こんな奴と同じ部屋と私かわいそ過ぎる……。
え?こいつのフルネーム?知らん!!!興味なかったから覚えなかった。それだけ。
決して私の頭が悪いわけではない。決して私の頭が悪いわけではない。あいつは勝手にバカって言ってるけど私は馬鹿じゃない。そう、私は馬鹿じゃない。
なぜこんな奴と同じ部屋なのかというと、私とレイは最悪なことにパートナーだから。
ここは騎士団。年齢が同じで、なおかつ実力の高いものと低いもの……つまり、バランスの取れたペアが騎士団側によって組まれ、そのペアは同じ部屋で生活する。
魔物を倒すときも、ご飯を食べる時も一緒に過ごす。そうすることで相手のことを理解し、連携できるからだそうだ。こいつと連携なんて死んでもしたくないけど。
そして同期の中で私は何と最弱といわれている。というか本気で騎士団最弱かもしれないという自覚はある。
私の魔法は花属性。花属性は主に回復とかが担当で、戦闘には向いていない。そのうえ、私は運動音痴だし、さらに言うと魔力も結構少ないほう。
結果、私は弱い。これは受け入れがたいけど、認めなきゃいけないことだ。
そして、私とは反対に同期の中で最強と呼ばれているのがレイ。
レイは私とすべてにおいて正反対だ。攻撃力の高い氷属性で、運動もできるし魔力量も多い。そして何よりすごいのが、魔法の命中率だ。
基本的に氷属性は個体を発射したりするから、水属性みたいな変幻自在の攻撃が出せないため命中率が低い。
けど、レイは違う。
直接見たわけじゃないけど、入隊試験の時の魔法試験で、的にすべての攻撃を命中させたらしい。しかもど真ん中。的を壊すくらい威力も高かったらしい。知らんけど。
でも、威力が高いのはすごいことだ。威力が高いということは魔力量が多いということ。つまり、普通の人よりも多く魔法を繰り出せたり、魔力を上乗せして攻撃を強化することも可能だ。人間でいうと体力みたいなもの。
だから、最強と呼ばれるレイと最弱といわれる私はペアにさせられた。ぜんっぜん納得してないけど。
「ボーっとしてないでさっさと食堂行くぞ。遅かったらおいてくからなのろま」
「マジでひどすぎ。人の心ないの?」
「うっせはよこいおいてくっつってんだろ」
「〇ね」
やっぱこいつマジで嫌い。一生分かり合えない。