海藻L.ochroleucaとEchinus esculentusによる魂の罪の償い
海藻オクロレウカの生い茂る
暗い褐藻林に住むウニ達は、
豊富な餌に囲まれ、
巨大に肥え太る。
魂も自我も無い死人の髪の毛にも見える
黄土色の茎の海藻達が光を遮り、
太古の死骸である岩礁を
仄暗い魂の闇夜に
浸している。
水の上の霊の栄光。
人の住めぬ地の虚しい神殿。
社会的な精製を拒絶する野生。
放線菌ストレプトミセスの黄色の居住区。
ああ、骨に巣食うウニ達や
この辺りでルーベンスと呼ばれる
桃色のヒトデ達は
(おお!!ルーベンス!!)
何も思考する事なく、
この世界で
キリストに与えられた命の原罪を
この低地より淡々と償っている。
(おお、学生諸君。
罪の償いとしての延命の聖性は
疫病を起こすテナシバクラム菌にすら宿り、
聖性とは、
無数に刻まれ、
汚穢の中にすら内包されるのだ。
それが世界だ!!
穢れの中にある神聖。
死滅の中の救済。
海胆の不毛の地の正当性!!)
対して、
内湾の港の船着き場の斜面に群れる
浅場のウニ達は、
常に飢餓に耐え、
成長する事もなく、
淡々と波の揺らぎの中、存在する。
彼らは移動する事もなく、
その場で生涯を終えるのだ。
そうだ。
ウニ達は貪食でありながら
欲しない肉である。
海のあらゆる場所に存在し、
正解という陥穽にハマる事もない。
たった三ペークスの中に永遠の褥を決め、
虚しさを恐れもしない海の地を這う
[汚れたもの]に、
偉人よ、船乗りよ、歌手よ、
頭を垂れ、涙せよ。