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第23話 罠

 とある部屋にて真っ二つになったグルワーズの死体を発見した。

 近くには宝箱そっくりの魔物の死体。これに食い殺されっぽい。


「ガリウスのクソ野郎はいねぇみたいだな?」


 周囲を見渡すニッケルトンさん。

 ぼくも軽く見渡してみるけど、残念ながらガリウスの姿はない。

 四方30メートルほどの石造りの部屋。

 宝箱は、部屋のど真ん中に、これ見よがしにあったのだ。

 何か遺品でも、と思ってグルワーズの遺体を調べる。嫌な奴だったけど、こんなのでも奥さんと子供がいるから何か持って帰れないだろか、と思ったのだ。

 しかし、ぼくの思いやりは不首尾に終わった。

 荷物入れどころか、小銭ひとつ残っていなかったのである。


「ガリウスのクソ野郎……本当に、クソ野郎だな!」


 けっ、と唾を吐き、それを自分の足の裏で踏みにじるニッケルトンさん。


「冥府の河の渡し賃くらい残してやるのが礼儀だろうに、……ほれ!」


 ニッケルトンさんが銅貨差し出す。受け取る。双子のお姉さんからも一枚ずつ受け取り、ぼくのも合わせて四枚の銅貨をグルワーズの胸ポケットに入れてやる。


「ガリウスのクソ野郎は、グルワーズを犠牲にして何を手に入れやがったんだ?」


 宝箱そっくりの魔物の死体を覗き込むニッケルトンさん。

 宝箱そっくりの魔物だが、その実、しっかりと宝箱なのだ。


「なんだ、ワン公? てめぇもいっちょ前に宝箱に興味津々か?」


 何のこっちゃ、と見ると、さび丸が後ろ足立ちで宝箱を覗き込んでいた。


「すみません、ニッケルトンさん」


 さび丸を後ろから抱き上げる。


「別にかまいやしねぇよ、……ん?」


「どうしました?」


「いや、底板がちょっとズレてるみたいなんだ」


 本当だ。覗き込んでみると、底板が少しズレて、もう一枚の底板が見える。


「二重底、って奴か……へへへへっ、思いがけないお宝って奴が隠れていたりな」


 ニッケルトンさんが締まりのない顔で宝箱の底板を外す。

 はたして底板の底から出てきたのは……


「罠だな」

「罠ですね」

「罠に違いないわ」


 ぼく、ニッケルトンさん、テトラお姉さんの3人の意見を見事に一つにしたボタンだった。


「意地汚く宝箱を漁った拍子に発動する仕掛けか」


「ガリウスは引っかかったんでしょうか?」


「いや、残念ながら発動した形跡がない。運良く見過ごしたらしい」


「ガリウスが引っかからなかった罠にぼくらが引っかかるのは阿呆らしいです。放置して先に進みましょう」


「だな」


 ふたりで宝箱にそっぽを向く。


 ――ぽちっ!


「……え?」


 聞き慣れない音に後ろを振り返ると、テトルお姉さんが宝箱に手を突っ込み、ボタンを押しているところだった。


「なっ、なにしてやがる?!」


 ニッケルトンさんの当然と言えば当然の質問に、テトルお姉さんはきょとんとした。


「いや、誰も押さないみたいだから、ならあたしが押しちゃおう、って……」


「な、なぜ押す必要がある? あからさまに罠だろうに!」


「罠とわかっていても押さずにはいられない魔性の突起物、それがボタンよ!」


 どやっとキメ顔でテトルお姉さん。

 そのとき、どどどどどっ、と室内を激震が襲った。


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