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第三話

「ん~今日はどうするか」


目が覚めて開口一番独り言を言う。


「昨日はギルドに行くのが遅かったからまともな依頼がなかったのかもしれないな。今日は朝イチで行ってみるか」


高位の冒険者ならだれでも持っているマジックバックから着替えを取り出し服を着替えると。昨日は付けていなかったが、いつも冒険に行くときの装備、ガントレット、グリーブ、胸当てを身に着け最後に刀を腰に差すと宿屋の食堂で朝飯を食べた後、ギルドに向かって出発していった。


ギルド内は活気であふれており、昨日見かけなかった冒険者たちでごった返していた。中には包帯でぐるぐる巻きにされている姿が散見されたが生きているなら儲けものだろう。ひどい怪我になると冒険者を引退せざる負えないが…


しばらくギルドの様子を眺めていると突然大きな声が入り口から響いてきた。


「たのもー!昨日のやつらは歯ごたえなかったからな。今日こそ強いやつと戦いたいぞ!」


包帯でぐるぐる巻きの男が大声を上げる。


「げぇ!あのバーサーカー女またやってきやがった!?」


昨日見みたドワーフホーン族の女の子だ。その子は意気揚々と満面の笑みで語りだす。


「お?昨日見なかった顔もあるな。アタシは依頼者だ!内容は簡単アタシと模擬戦をすること!アタシに勝てたら金貨1枚、負けたら貸し一つってのが依頼だ!…なぁ、マクシミリアンこれであってる?」


啖呵を切った後、不安そうに後ろに控えていたドワーフホーン族の男に訊ねる。


「合ってますよエヴァンゼリン隊長…さぁ我こそはという冒険者の方は訓練場までお願いします」


そのあとを追いかけるように新人っぽい子やベテラン風の冒険者たちが次々と訓練場へ向かっていく。


そんな姿を目にした。包帯だらけの男は


「やめろ!怪我するだけだ、みんな行くのをやめるんだぁぁぁ!」


と大声で叫んでいた。


ふむ、あの女の子に勝つだけで金貨1枚か…かなり美味しいなと考えて最後尾で俺も訓練場へ向かうことにした。



たどり着いた先では台風のように暴れる少女と次々となぎ倒されていく冒険者たちの死屍累々と言った構図が繰り広げられていた。


「こんなに強いなんて聞いてねぇ…」


ベテラン冒険者っぽい男がそのように言った後、気絶していた。


入り口で止まっていた俺はポカーンとした様子でその光景を眺めていた。


「まじかよ、あの子相当強いぞ…下手すればAランク相当の強さだ…」


ギルド内ではランク付けがされていた。

大まかな分類はこうだ。



冒険者ランクF 新米のひよっこクエストを受けるなら上のランクの人についていって基礎を学びましょう



冒険者ランクE 一人前、ゴブリン程度なら簡単に倒せますがウルフの群れがやってきたら逃げましょう



冒険者ランクC ベテラン、オークの群れぐらいなら討伐できます。オーガは複数人で挑みましょうダンジョンでの初心者育成係、ここまでくれば生活には困らないでしょう。引退して初心者の育成にあたるのもよし



冒険者ランクB 一流冒険者、オーガの単独撃破が可能、オーガの群れがやってきたら逃げましょう。ダンジョンでのけん引役。大抵の冒険者の最終ライン。下手な貴族よりも偉いです。



冒険者ランクA 超一流冒険者、ドラゴンなら撃破可能、一騎当千のつわもの達、大陸に50名ほどしかいません。大概の貴族ならひざを折って彼らに依頼します。気まぐれで依頼を受けるのが大半で、国からの要請があれば出動しなければなりません。



冒険者ランクS 規格外、ランクS冒険者を止めるためには数万の軍勢で挑む必要があります。国家間で管理されており、出動要請には多額の金が必要となり、また、ランクS冒険者の名前は公表されておらず、謎に包まれています。



また、パーティーランクもあり固定パーティーで組んでいたらランクがついていきパーティー指名での依頼も来る。




頭の中でランクの整理をしていると突然嵐のような暴風が止み斧を担いだ女の子がこっちを見ていた…


「じー…」


「なんだお嬢ちゃん。俺を見ても何も出ないぞ」


「アタシの乱舞で吹き飛ばないなんてお前強そうだな!あたしと模擬戦しろ!」


「えー…俺は見に来ただけであって模擬戦をするつもりは…」


「問答無用!」


ブンッと大振りのバトルアックスを両手で掲げると切りかかってきた。


「ちょっ!!待て!」


急いで回避して距離をとる。


「これが避けられたのは久々だぞ!楽しくなりそうだ!」


「あー…さっきの包帯男が言っていたバーサーカーってこういうことか…」


刀を腰にさしたまま逃げ回ること30分ほど、癇癪を起しそうな顔になっている少女は叫んだ!


「もー!!避けるなぁ!攻撃してこい!」


「えぇ…女の子を攻撃する趣味はないんだけどな…避けてるだけで十分じゃないか…」


「口を利く余裕もあるし、武器を抜いた強さも見たい!覚悟ぉ!」


大上段から繰り出される一撃は訓練場の地面を叩き割った。


「あっぶねぇな!俺じゃなかったらミンチだぞ!」


周りに転がっていた冒険者たちはすでに自力で立ち上がり遠巻きに俺と少女の戦闘を見ていた。


「なにもんだよあの男、俺たちじゃ歯が立たなかった相手にもう30分はよけ続けてるだろ…」


「あいつならあの子倒せそうじゃね?実際あの子を倒すのが金貨一枚ってのが割に合わないが、よし、あの男が勝つに銀貨5枚」


「私は女の子に銀貨1枚」


ワーギャーと議論を交わす冒険者たちは俺と少女の戦いにとうとうかけ事まで始めた。俺はそのたくましさに笑みがでるが少々長引きすぎだ。


「騒ぎになってきたしそろそろ、幕引きと行くか…」


俺は刀に手を添えると前傾姿勢になった。


少女はバトルアックスを構えるとイライラが止まらないのか


「これで…倒れろ!絶技グラウンドゼロ!!」


見た中で一番の大振りを繰り出してきた。


ここだ…これ以上、訓練場をボロボロにできないと腹をくくり


「甘い!縮地!絡めとり!」


一瞬で少女のそばまで移動し、武器を弾き飛ばして刀の切っ先を首元に当てる。


「これで俺の勝ちだな」


「へ?何が起きた?!なんで!私のバトルアックスは?!」


バトルアックスは見事に壁に突き刺さっており少女を遠巻きに見ていた御付きっぽいドワーフホーン族の男は目と口を大きく開けていた。


「隊長…あなたの負けです…」


「そっかーアタシの負けか…フフフ」


俺は刀を鞘にしまい、ふぅと一息つくとドワーフホーン族の男はこちらに金貨をピンッと弾き投げた。


「おめでとうございます…そしてご愁傷さまです…」


「おめでとうはわかるがご愁傷さまというのは…?」


少々困惑している俺は言葉の意味を訊ねる。


「実はエヴァンゼリン隊長は婚姻相手を探しておりまして、条件として一つのことを上げたのです」


ものすごく嫌な予感がするがマクシミリアンは続けて語ろうとするがそれを遮るように腕に柔らかい感触が伝わってきた。


「アタシより強いこと…お前私の夫になれ!」


「…はぁ!?」


「アタシを倒した。つまりアタシよりお前が強い!そしたらアタシと結婚して子供が生まれたらもっと強い子供が生まれてくるぞ!」

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