第一話
筆がかなり遅いです。処女作です。
10歳になったとき、俺、ユウは召喚というスキルを洗礼で手に入れて何が召喚できるだろうとスキルを使用したところ一振りの剣が召喚できた。
剣の種類など一切見当もつかない。ギルドにいる冒険者の人たちに武器の種類を聞きに行ったとき極東に伝わる刀と言われる種類ということが分かったので、それから3年間毎日刀を振り続けた。
13歳になった時、冒険者を志し冒険者として様々な依頼を受けた。時には失敗することもあったが無難な冒険者人生を送りそれから様々な仲間と出会い俺をリーダーとしてパーティを組み20歳のころには国で有数のパーティランクAまで駆け上った。
そんな俺は一念発起しパーティメンバー全員を王都の居酒屋に呼び出しを行っていた。
「おい、なんだよユウ、突然呼び出しなんてまぁ、いつものように飲み会だろ?」
軽い口調で話しかけてくるのはパーティで一緒に前衛としてアタッカーを務めているヴォルフだ。
「そうですよリーダー、どうせいつものように朝までバカ騒ぎするんでしょ?」
ローブを身にまとった魔術師のエドウィンは店員にいつものとオレンジジュースを頼みながら席に着く。
「まったくお前たちは…あ、俺はエールな」
レンジャーのセルゲイもエドウィンと同じように店員を呼び止め注文を行っていた。
「私たちしか負えないような依頼が来たとかですかね?」
真っ白なローブを身にまといヒーラーのゴンゾも席に付きパクパクと先に注文していた名物の煮込み料理を口に運ぶ。
女性冒険者は一人も入っていないむさ苦しいパーティだが全員仲がいい、時には喧嘩もするがすぐに水に流せるぐらい気の許せる最高の仲間たちだ。俺以外の全員は、ある程度女性との付き合いはあるが、パーティを作るとき絶対に女性冒険者は入れないという約束の元このパーティは成り立っている。
俺はそんな全員を見渡し重い口調で肘を立てて手を組みながらこう告げた。
「みんなに集まってもらったのはほかでもない、俺はパーティを解散するつもりだ」
「は?」「なんで?」「どうしたんですかリーダー」「どういう冗談です?」
全員の口々からは何故?といったセリフが思った通り出てくる。
「理由はこれから話す…まずはヴォルフ、お前は騎士団からぜひ団長になってくれと懇願が来ていることを知っているそして、パーティに所属しているからという理由で断り続けていることを何より、嫁さんのサーシャから安定した仕事についてほしいと懇願されていることも」
苦虫を潰したような顔をしているヴォルフの次にエドウィンに目を向ける。
「次に、エドウィン…お前は宮廷魔術師なってほしいと引き抜きの話が出ていることも宮廷魔術師の知り合いから聞いた。そしてヴォルフと同じ理由で断っていることも、そして彼女から猛烈なアプローチを受けて今度結婚する予定なのも」
手に持っていたジュースを、指摘を肯定ととるようにエドウィンは静かに置いてうつむいている。
「そして、セルゲイ、レンジャーとしての能力を買われて王宮の暗部への誘いの話も耳に入っている」
渋面を作り、一気にエールを呷り小さな声でなんで知ってるんだと小さな声でつぶやくセルゲイ。
「最後に、ゴンゾお前も枢機卿から聖職者として教会に貢献してほしいと毎日のように枢機卿配下の人たちに家へ押しかけられていて、念願の彼女ができそうなことも」
俺は一気にエールを呷り、重苦しい雰囲気に耐えられなくなった面々は声を上げようとするが手で制し、一呼吸おいてから次の言葉を紡ぐ。
「俺はみんなに幸せになってほしい、もう12年も連れ添った仲間だ、しかし俺たちは魔物から人々を守るという理念から結成されたパーティだそろそろ個人の幸せをつかんでいいと思っている。もちろん俺はこのままパーティを続けたい。だが、みんなの幸せを考えると今までの話はいい転換期だと思っているんだ。約束された安定の報酬、妻をめとり子供を作って老衰で孫に囲まれながら死んでいくモンスターに蹂躙されて無駄死のない幸せな死。そんな個人の幸福な人生を歩んでほしいと本気で思っているんだ」
「みんな済まない…俺の勝手な判断なのは承知の上だ。しかし、Aランクという高位にいながら後進の連中も育ってきていることは知っている。最近全員で面倒を見ていた『風切り羽』の連中がCランクからBランクに上がったじゃないか、そいつらに後を任せて俺らはもっと自由になっていいと考えているんだ」
俺の考えを聞いた面々は次々に言葉を発する
「言われていることは確かに事実だ、しかし俺はこのパーティが気に入っているんだ。安定した収入?幸せな家庭?騎士団長?そんなのくそくらえだ、俺はこのメンバーでやることに納得している」
みんなの口々から発せられるのはパーティを存続させたいという意志だけだった。
「それにユウお前はどうなる?お前の動向が一切話の中にないじゃないか」
「俺はもう冒険者に疲れたよ。今まで貯めた金で各地を放浪して、気に入った女性を妻に迎えて家を買って静かに余生を過ごすつもりだ」
パーティの面々は納得できないという表情をしているが、全員来ている誘いは今のパーティを解散したら手に入る地位だ、その事実のみを淡々と語った。
頭をぼりぼりと掻いてエールを一気に飲み干したヴォルフが最初に口を開いた。
「まぁ、リーダーのユウが決めたことだしな…納得はしていないが理解はできる。嫁さんからも安定した職業についてって言われてるのも事実だし、娘たちにも毎回冒険に出るたびにパパ死なないでねって涙顔で言われるのも少々堪えてきた…」
続けざまにエドウィンも口を開く
「この前彼女からのプロポーズを受けました。そしてその申し出も受けて今度結婚します。将来生まれてくる子ども達と妻になる彼女のためにも少々値が張りましたがこの王都に一軒家も買いましたし、収入の安定した宮廷魔術師になるのも悪くないのかなと悩んでもいます。実際リーダーからの話は渡りに船です」
セルゲイは両腕を組み観念したかのように吐露し始める。
「確かに、暗部なんて汚れ仕事はどうかとは思っているところもある。しかし名前は出ないが確実に王からの賞賛も受けるだろう。しかし、二足の草鞋でできないものかと一生懸命考えたが両立は難しいことはわかっている。口は堅いほうだと自負しているが、仲間たちに聞かれてしまうとポロっと仕事の内容を話をしてしまいそうという懸念が大きい」
料理を口に運ぶのをやめ、ゴンゾもしっかりとした口調で語りだす。
「私に聖職者なんて務まるのかという疑念が絶えませんが、毎日家に来る聖職者たちが熱心に仕事のすばらしさを語るのです。心が揺らいでいないかと言われると正直迷っています。私も最近、リーダーが年間契約をしている宿屋を引き払おうとしていると友人から話を聞いていましたが、まさかパーティーを解散するとは思ってもいませんでしたよ…」
全員が渋々だが納得してくれたようだ。
こうして王都から各地に派遣されていたAランクパーティー『先陣を突き進む者』は解散した。