24話 最後の城
僕たちは今。大きなテーブルを全員で囲んでいた。
「ついに最後の城に向かうことになった。ここまでのおさらいをしよう」
「まず生存している上級魔神ですね?」
ヘレネがそう問いかける。そうだ。城の攻略が完了しても未だに生き延びている上級魔神がいる。それは怠惰のアーダルベルト。嫉妬のエリカ。色欲のルーサーだ。
「私が戦ったアーダルベルトは不死鳥になり、いくら殺しても再生します」
「俺が戦ったエリカは天使器すら弾く鱗で下半身を護ってやがる。ついでに言えば海そのものを操れるほど水を自在に操れる」
「私が戦ったルーサーですが、人間の脳を支配することができることと、基本スペックで私よりも優れていました」
全員がそういうと、ヨランデ以外が苦い表情をしていた。ヨランデはどうしてみんなそんなに考えこんでいるんだろうくらいにしか考えていなさそうだ。
六つの城の玉座を破壊したことで、それぞれ世界中の人々に悪影響を与えていた怠惰、嫉妬、強欲、憤怒、色欲、暴食の瘴気がきえたことにより、世界中の人々が徐々に元の性格に戻ってきたことを確認できたが、まだ一つ傲慢の瘴気に充てられた人々が各地で人々を困らせていた。
おそらく最後の城攻略ではすべての上級魔神が邪魔しに現れるだろう。
「エドワルド、ダブルリードを使う。僕らが全員生存する未来を探すよ」
「当然、一発目で見つけてやりますよ。俺は幸運の冒険者だぜ?」
「心強いよ」
僕と天使形態になったエドワルドが手を合わせる。数多の未来から、最高の未来を探し始める。エドワルドは確かに幸運だが、それでも僕らは数億数兆の未来をもさくすることになった。
「「これだ!!」」
「見えたのですね?」
ニコラスが声をかけ、僕は頷いた。
「だがかなり成功率は低い。みんな、やってくれるよね?」
僕が全員に視線を向ける。ヘレネ、エドワルド、イレーン、ヨランデ、マーガレット、ニコラス。そして最後の城で上級魔神と戦う予定のヤーコフ。
「作戦はこうだ。まずアーダルベルトの相手をするのはヘレネとイレーンの二人に任せたい」
「了解しました」「承りました」
「次にエリカの相手はエドワルドとニコラスの二人」
「まあ、あいつは間違いなく俺が行くべきだろ」「頼りにしてますよエドワルド」
「そしてルーサーなんだが、マーガレット。一対一でお願いできるか?」
「イエス、マイ女神」
正直、マーガレットが一番心配だが、仕方ないだろう。
「あれ? 私は?」
ヨランデがそう呟くと、僕はにっこりと笑ってこう言った。
「最後に僕とヤーコフとヨランデの三人で玉座に向かう。はっきり言って今回が一番強い。より強い邪気を出せる城は城主である上級魔神も強かった。ルーサーが良い例だろう。僕とエドワルドが見た未来の中で、もっとも良い未来を見せたのはこの組み合わせだ」
僕がそういい、エドワルドも頷く。ヨランデはそう言われ、何かに納得したような表情になった。
「つまり、もっとも素敵な私だからこそ共に戦うことになったのですね!!!」
「まあ、君の力はある意味もっとも素敵なのだが」
ヨランデはこういうシリアスな場面でも通常運転の為、あえてツッコもうと思わないが、彼女も世界を救う力があることも事実。それに本気になれば彼女だって誰かの為に身を挺す覚悟のある人間だ。ここに集められたのは、身勝手でこの世界を危険にさらした僕についてくると決めた真の英雄。
「行くよ、僕の英雄たち」
「はい」「ああ」「畏まりました」「勿論です」「御意」「イエス、マイ女神」「まっかせなさい!」
僕らの浮遊基地は、今最後の城に向かって真っすぐと向かっていった。もうすぐだぞイブリ。お前まであと一つ。
上級魔神は残り四人もいる。これまでの戦いでまだ半分以下しか倒せていない。それでも良い。今度は勝つんだ。
最後の城まで来ましたけど、上級魔神はまだ4人生きているんですよね。
今回もありがとうございました。




