表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神427号~ラブ・イズ・フォーエバー~  作者: 大鳳葵生
第一章 六英雄再集結の章
18/86

10話 イレーンを追って

 ニコラスが起き上がると、二人より先に僕の目の前に歩み寄る。


「まぎれもなく僕は君を転生させた神427号ラブ・イズ・フォーエバーだ。イッツソークールな名前だろう?」


 僕が名乗ると、ニコラスは目を見開いて驚いている。やはり名前のセンスの良さに驚きを隠せないか。


 僕が胸を張っていると、エドワルドがニコラスの耳元で耳打ちをする。なんの話をしているか知らないが、ニコラスは小さくわかったと呟いたことだけがわかった。


「その私もラヴィ様とお呼びしましょう」


「ん? ああ、愛称の話か。好きにしたまえ」


 別にどう呼ばれようとかまいやしないさ。


「これまでの経緯を簡単に説明しよう。まずはあれだ。つい転生に興味を持ったから僕もこの世界に来ました。以上」


 僕がそう説明すると、ニコラスがまたポカンとした表情になる。まて、何故僕の名前を聞いた時と同じ表情になるんだ。


「ニコラス、私からご説明いたします」


 ヘレネが代わりに神428号のことや刺客のこと。神のルールのことを簡単に説明してくれた。すまない。


「ふむ、まあ良いラヴィ様にはご恩がある故、お供致しましょう。古城生活も飽きてきた頃でありますしね」


「しかし英雄になったのにこんなひっそりと生活していて楽しいのかい?」


 僕がそう声をかけると、ニコラスはどこか寂しそうに笑ってこう言った。


「この世界の魔物には吸血鬼もいるんです。それゆえ私もカテゴリーでいえば魔物なんです」


 そうか、何も配慮してなかったな。自分と同種が魔物と扱われる世界か。


 神を魔物として扱う世界に転生していたら、僕も人里に寄りつかないようにしていたのだろうか。まあ、関係ないか。


 街を歩いていて神と気付くものはいない。ニコラスもそうだ。与えたチートにより吸血鬼であることが露呈することはない。


「隠して生活しようと考えなかったのかい?」


「難しいですね。いつかは露呈してしまいます。例えば食事。私は血しかとりません故。例えば老い。長い年月同じ土地に住めなくなります。他にも色々…………」


 そうか。そんな小さいことも気にするのか。面倒な生物だけど、短い人生。なるべく不快は取り除きたいのだろう。多分。


「ですが、旅であれば別です。事情も把握している皆様ですし問題ありません。長い余生の暇つぶしとしてお付き合いしましょう」


 ニコラスに旅支度をしてもらっている間。僕らは古城の客室でゆっくりしていた。


「さてとあとの三人は本当にどこにいるかわかりませんよ?」


 エドワルドがそう言いながらソファにどかっと座る。ヘレネも氷のコップと流水を魔法で作り僕と自分の分を用意する。おいおいエドワルドをいじめないでやっておくれよ。


 そして準備を終えたニコラスに他の六英雄の情報を把握していないか聞いてみることにしたら、意外とつい最近、イレーンとあっていたことが分かった。


「イレーンとあっていたのかい?」


「ああ、ついこないだまで麓の街で働いていたみたいだがね。どうも、六英雄だとばれてしまってね。次の街に移動してしまうから一度挨拶に来たのだよ」


 やはりイレーンは英雄になったことを隠したい。そういう風に感じるな。何故だろうか? ヘレネが英雄であることを利用していたのは、奇術でより多くの人を笑顔にすることが目的で、それの集客の為に英雄の肩書を利用していることを話してくれた。


 エドワルドも英雄の肩書を利用することで多くの港から優遇してもらい船に乗せて貰っていたらしい。ニコラスは事情が事情だから仕方ない。


 だが、イレーンが英雄であることを隠す理由はなんだ?


 念のためニコラスにイレーンの向かった先を聞いてみたが、どうやらニコラスにもわからないみたいだ。だが、少なくともこちらに立ち寄るくらいには余裕があるルートなのかもしれない。


「イレーンが元々住んでた街とこの古城の位置関係からおそらく西に向かう道を進んだ先に向かったんじゃないかな?」


 自分のことを知らない人間の住む街を探すのであれば、特に決まった目的地がある訳じゃないだろう。


 であれば、イレーンはこの古城へ挨拶をしたあとにわざわざ来た道を戻って探すよりも、この先にある街に行く可能性が高いだろう。


「ではゴーレムを呼ぶとしよう。留守の間城を護って貰おうと思う」


 そういったニコラスが吸血鬼の力である眷属を使役する能力で先ほどのゴーレムを呼び出す。破壊しなくてよかった。


 その後、ゴーレムが変形し、分散。僕らぐらいの大きさになったゴーレムが城内を徘徊し始めた。そんなこともできるのかこいつ。


 馬車に乗り込むと、ニコラスが御者の席をまじまじと見つめた。


「どうしたんだい?」


「この馬車に御者はいないのですか?」


「まあ馬はテレパスで僕と繋がっているから不要かな」


「そうですか」


 そういえばヘレネとエドワルドは細かいことを気にしないから完全にスルーしていたよ。いや、僕が何をしてもおかしくないって考えていそうだな。


 新たな仲間、ニコラスが加わり四人になった僕らはイレーンが向かったであろう西の街に向かうのであった。

次は結界使いのメイドイレーンです。

簡易的にキャラの紹介

ラブ・イズ・フォーエバー(通称:ラヴィ):神様、創造チート、付与チート、職業自在チート(ステータス変化あり)


ヘレネ・ギルフォード:人類(地球出身)、奇術師、気象操作チート、魔力量チート、前世の死因[溺死]


エドワルド・レーニン:人類(ヘレネと並行世界出身(分岐点が紀元前))、自称冒険者、感覚操作チート、幸運チート、前世の死因[餓死]


ニコラス・エリンクス:吸血鬼(地球人の想像世界出身)、伯爵、弱点再生チート、速度チート、前世の死因[焼死]


今回もありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ