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神427号~ラブ・イズ・フォーエバー~  作者: 大鳳葵生
第一章 六英雄再集結の章
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7話 お前ら結婚しろ

 ヘレネの希望通りエドワルドのハーレムにならないように他の男メンバーを優先して探すことになった。


 それは別にいい。が、道中の二人の喧嘩が少々耳障りすぎる。


「エドワルド!」


「なんだよー。ちょっと抱き着いただけじゃんかー」


「思いっきり撫でまわしてきたじゃないですか。人体バラバラマジックでも始めませんか?」


「ヘレネちゃん? 幸運な俺でも故意は死んじゃうからね?」


「始めませんか?」


「ご、ごめんなさい」


 僕が想像していた六英雄のイメージと違うなぁ。もっとこうかっこいいものかと思っていたんだけど、彼ら彼女らを見ていてなんか想定より仲悪い感じ?


 全員集めるのも考えものなのか、二人が特別相性が悪いのか。まあ、ヘレネと二人きりの時よりはにぎやかなのは間違いないんだけどね。


 馬車に乗りながら二人の様子を片隅で眺める僕。まあ、人間の旅っていうのはこういう不完全な部分があるものなのだろう。


 神と比べちゃいけない。神の世界が嫌で飛び出してきたんだぞ僕。


 何でも完璧にこなして、淡々と話を進めて、冗談を言う口もなく、ケンカもしない。


 ああ、そうか。僕は神の中でも不完全だったのかもしれない。だから、こっちに来たんだ。


 二人のやり取りは耳障りなものから、なんだか心地よいものに変わったような気がする。


 三人はとにかく大陸中の山奥にあると言われる古城巡りが始まろうとしていたが、それがまた長い旅路になるなんて考えていない。


 範囲攻撃と多彩な魔法が仕えるヘレネ。幸運と五感を利用した索敵が得意なエドワルド。この二人がいるだけで刺客からの襲撃も随分楽になったものだ。


「ラヴィ様! またエドワルドが不用意に触ってくるのです!」


 いい加減ヘレネが可哀そうになってきたし、女神の出番かな。


「……エドワルドちょっとこっち来なさい女神様怒ってるよ?」


「いや、来なさいって目の前にいるじゃないですか?」


「あ?」


「うっす。申し訳ございません女神様」


 女神様のことを敬う気持ちだけは理解したよ。さて、ここからはちゃんとお説教しようか。


「いいかいエドワルド。相手を不快にさせた時はごめんなさいで済むものじゃない」


「ラヴィ様がそれいいます?」


「現在進行形で後継者を不快にさせていますのに」


「僕とあいつじゃコミュニケーションが取れないからね」


 なんでこいつら突然僕に矛先を向けてくるんだよ。あれか? 僕の発言がそんなにもブーメランだったのか?


 あろうことかヘレネとエドワルドが内緒話を始め僕をのけ者にする。何かを話していることはわかるが一体何の話をしているというのだろうか。


「いいですかエドワルド。ラヴィ様はあくまで神様です。人間の気持ちなどわかったつもりでおられます。いつか分かり合える時がきてくださると良いのですが」


「あー、うん。オーケーオーケー。なんか違和感ある時は人の気持ちってのがどういうものかちゃんと説明するようにするわ」


 のけ者にされるのは構わないが、そのあれだな。あいつらもう少し僕に隠す様に喋れないのか。思いっきり僕のことを話しているのがバレバレだぞ。


 そんなことを目の前で繰り広げられている今、数刻前の険悪な雰囲気よりは耳障りではないしいいかと思うことにしたよ。


 そして僕らを乗せてくれている馬車には、どんどんモンスターが集まってきていた。


「さて、よくわからないがむしゃくしゃするし僕が…………」


 僕が重い腰をあげようと立ち上がろうとしたら、僕より先にヘレネとエドワルドが立ち上がる。


「こんな雑魚モンスターラヴィ様の手を煩わせるわけにはいきません! 行きますわよエドワルド!」


「オーケー。まあ、俺範囲攻撃まったくないんだけどね」


 二人が馬車を降り、僕だけ取り残された。おい、お前ら絶対仲良いだろ。


 取り残された馬車の中から二人の様子を眺めることにした。まあ、仲間の戦力を知るのはいいことだろう。仮にも六英雄だ。数十単位のモンスターの群れくらい一掃してくれないと困る。


「マジカルギフト!」


「ほわ!??」


 ヘレネが魔力を味方に一部渡す魔法を使いエドワルドに譲渡する。これでヘレネほどではないが、エドワルドもそこそこの魔法が使えるようになるだろう。


「轟き唸る者よ!」


「荒れ狂う者よ!」


くうを裂き信念を貫く為!」


「地を削り山地を砕く為!」


「雷電は」「怒涛は」


「「大蛇を象った!!」」


雷蛇乱舞スネークスパーク」「大蛇大波コブラウェーブ


 雷の蛇と水の蛇が折り重なり合い、帯電する双頭の蛇が完成した。その蛇が周囲を蹂躙し、数十もいたモンスターたちが一瞬で討伐されていった。


「お前ら結婚しろよ」


 僕の小さな呟きが、もしヘレネに聞こえていたらまた騒がしくなっただろう。だが、僕は呟かずにいられなかった。


 戻ってきた二人はまた言い合いをするが、それが完全に環境音になった頃、僕はすやすやと眠り始めた。

この世界の敵においては六英雄もさすがに優勢ですね。前回はエドワルド君も初見殺しでしたし活躍気味。


はたしてこの三人で相手を劣勢にできるチーターは転生してくるのだろうか。


今回もありがとうございました。

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