21話目 剣と梓のバースデー 自由な午後
九割以上ガン○ムとガ○プラネタです。
興味のない方には退屈な話になるかと存じます。
御承知の上、お読みください。
執筆中(8/14)の閲覧数が、何故か前日までの比じゃなくて、怖くなった……
日間記録が、最高記録の倍以上になってた……
嬉しいけれど、理由が解らない……
疑問を吹き飛ばす為、趣味全開です!
案の定だった。
「あ~ず~さ!待ち遠しかったぞぉ~!」
梓を発見するなり、抱き着く椿。抱き着かれたが、世間的な常識と照らし合わせても普通なハグなので、梓は振り解こうとはしない。若干、目は死んでいるが……
「……汗臭い。お風呂入ってんの?」
「ああ!来る前にシャワーを浴びてきたぞ!」
「何時?」
「五時だ!」
「やっぱり始発で来てた……」
「否!昨日の午後五時だ!待ちきれなくて、昨日の日没にはテレポート駅に到着してたぞ!」
阿呆だ。阿呆がここにいた。
「万が一にも梓を待たせられないからな!四時間前からここにいたぞ!」
「この異常者!ユニ○ーンさんに踏み潰されろ!デストロされてしまえ!」
「ぐぼはっ?」
密着状態からの、肝臓撃ちが炸裂した。打ったのが梓だから少し痛い程度で済むが、謙虚な元フェザー級日本チャンピオンだったら、死ねる。
そんな騒ぎを余所に、剣と一朗はユ○コーンさんを見上げていた。丁度、角が開いてガン○ム顔に変身する演出中だから。
「素晴らしい。このスムーズな変身は何度見てもいいものだ」
「カッケーわ~。やっぱガ○ダムは男心に刺さるわ~」
「いつの日か、初代様の立像と並び立つのを見たいな」
「ビル○ファイターズで初代と赤○ク立像が並んだのも、ファンの夢だよな~」
二人とも、立像にロマンを感じずにはいられない。だって本当にスッゲえもん!
「初めて海浜公園に初代様が立ったのは……小学生の頃だったか。ゆりかもめの窓から見えた時の感動は、忘れられない」
「展示最終日、嵐が来たんだよな。懐かしいわ~」
「静岡での展示を経て、この地に戻り、ユ○コーンさんへ代替わりした……感慨無量だ」
「設置工事中、作業員が連○軍のジャンパー着てたんだよな。愛に溢れた演出してくれるぜ!」
「ネットで「接収された!?」って沸いてたなぁ」
「アナハ○ムの作業員もいれば完璧だったな」
「初代様の撤去も、頭と左腕から外したのは、解ってたよな」
「何処までガン○ム好きだよ!ってな」
「欲を言えばどんどん立像を増やしてほしいけど、バックパックが大きいのは、バランス的に厳しいかな?」
「フリー○ムやゼ○カスタムは不利だよなあ。見てえけど」
「ダブ○オーならギリいけるか?ミストの噴出と発光で粒子放出再現したりとか」
「でも、オー○イザーないと満足しきれなくね?」
「……その通りだ。シンプルでバランスが良く、その上で人気のある機体でなければ立像にはなれない!」
「立像無理なら……座像ならいけね?」
「それ、いいね!片膝立ちでな!それならバインダーを固定出来る!なんでもいけるぞ!」
ガ○ダムは、男を少年に戻す。どんな世代であれ、ガン○ムを語る事に嘘は吐きたくないのだ!
「お待たせー。聞いて聞いて!カ○エラーゲットしちゃった!ダン○ルも!もう一寸でメタ○ロスに進化……あれ?」
雀が最後に到着すると、椿だけ会話からハブられていた。
「だから、機体とパイロットはセットで語らないと!刹○以外がライ○ーやク○ンタに乗っても量子化無理なんだから!」
「いや……それだと純粋な操縦技術がさぁ」
「でも、作品間でコックピット回り全然違うよね?阿頼○識が搭載されてたら三○月最強でしょ?」
「確かに鉄○最強は三日○。誰も一対一じゃ勝てなかったからな。只、最強ではあっても無敵じゃなかった。悲しいが……」
「マッチングなら、断然キ○とストフリだろ!全レンジ対応のハリネズミ武装!ミー○ィア装備時の殲滅力!」
「ハリネズミ武装なら、ユ○コーンのFAだって負けてないよ!それに人の意思を力として具現化する機体なんだから!それこそガ○ダムでしょ!」
梓も加えて、ガ○ダム談義は最強機体&パイロットになっていた。剣と桜に挟まれ、梓も当然ガ○ダムは見ている。
「梓が何言ってるか、全然解らない……」
「私も、ロボットは、ちょっと……」
全員揃ったので、館内に入り、フードコートで食事をした後、RO○ND1でボーリングやビリヤードを楽しむ……ワケがない!
「今回、俺っちプロデュースのバースデーパーティー開場は、ここ!ガン○ムベース東京!」
剣さん、瞳がキラッキラ!周りはガ○プラだらけだ!
が、納得いかない様子の女子一名。
「田崎……何なのここは!ここで何しろっての!プラモデル売ってるだけじゃない!?」
胸ぐら掴まれ、ガックンガックン。一朗は先程食べた豚骨ラーメンがリバースしそうだ!
「ま、待て……ほら、剣は楽しそうじゃん?……嫁さんだって……」
剣は既に、売り場の徘徊を始めていて、梓もそれに追随している。雀も取り敢えず二人を追いかけていた。
「今日は二人を楽しませに来てんだからよ。もちっと様子を見てろって」
「……ぬぅ。仕方ないな」
納得はしてないが、一応落ち着いた椿を伴い、一朗も剣に合流した。
「じゃ、これからみんなで、ガ○プラ作りまーす!先ずはガン○ラ選びからー!」
「マジか!」
剣さん。大喜び!
椿さん、大慌て!
「つ、作るって、ここで!?」
「おう。ここで買ったガン○ラは、ビルダーズルームで作っていいんだぜ!工具も貸してくれるしな。剣ん家、犬・猫・赤子がいるし、安全面もそうだし、何より暇がねえっつってたじゃん。どうよ?このプランは」
「ありがとう!そして、ありがとう!」
某、空飛ぶヒーローみたいに礼を述べると、剣はガ○プラ選びに熱中し始めた。折角だからと、限定品を狙いに行った。
「あ、梓?お前はこれで……」
いいのか?と、問おうとした椿であったが……
「私、ベアッ○イⅢ作ろー。売ってるかな?」
既に、目当ての商品は決まっていた。
「あ、アズちゃん待ってぇ~。私、プラモなんて作った事ないよぉ。選ぶの手伝って~」
椿が呆然としている間に、雀は梓に助けを求めていた。椿は置いてきぼりにされた!
「さってと、俺っちは限定のRGユニ○ーンにでもすっかな」
一朗は、肩をガシッと掴まれた!女子離れした握力で!
「待て。責任持って、私のも選べ」
「な!?そんなの、俺じゃなくて、嫁さんについてきゃいーじゃんよ?」
「それは……なんか、負けな気がするから、無理」
「……!あ、嫁さんの興味あるものを知らなかったのが恥ずかしい……的な?」
椿は無言。しかし、一朗の肩を掴む指には、一層の力が加えられ……食い込んだ。
「痛っ、イダッ!ギブ!ギブー!!」
全員ガ○プラを購入後、ビルダーズルームで合流した一同。一朗が肩をサスサスしているので、雀が心配そうに訊ねたが、重傷ではなさそうなので、早速ガン○ラ製作に取りかかる事とした。
先ずは、各々購入したガ○プラの発表である。
剣は、ベース限定商品のHGフリー○ムのクリアーverだ。
「どうしてコレにしたん?」
「素組なら夕方までには作れそうだし、それに……塗装、したいと思わなくて済むからだ……」
うん、うんと頷く梓と一朗。
「どういうこと?」
雀と椿には、いまいち解らないようである。
「塗装には、組み立て以上に時間が掛かるんだ。それに、塗料ってのは、基本的にシンナーだから体に悪い。アクリルなら水で汚れを落とせるが、ラッカー・エナメルは専用の溶剤が必要になるし、毒性も強くなる。幼児のいる家ではどちらにしろ扱い辛いんだ。しかし、ガ○プラを作っていると、成型色だけでは物足りなくなり、どうしても塗装したくなり、安全性の高いアクリルより発色の良いラッカーに手を出したくなり、スミ入れの為エナメルにも手を出し……なんにしろ、時間のない人間には半端な物しか作れなくなる。だが!クリア成型やメッキ、グロスインジェクション等は塗装しない事にこそ価値がある!それは、素人が再現出来ない色や質感だからだ。よって、多少お高い値段であっても、塗料を必要としない分、ライトモデラー向きと言えるだろう。……解った?」
「う……うん。凝ると、キリがないんだね?」
「ちっとも……解らん」
梓は、言葉通りベ○ッガイⅢを購入していた。
「一回作りたかったんだよねー。リボンストライカーが可愛いし。元がヌイグルミ設定なのもマル」
雀はベース限定カラーverのプ○ッガイにした。
「ガン○ラって、こんな可愛いのもあるんだね。今迄感心なかったから知らなかったよ。カラーバリエーションも多いし、驚いちゃった」
「女の子のガン○ラ入門用には最適解。模範解答ありがとうございます」
「四十年前、アッ○イがこうなるとは誰が思っただろーな?」
……椿が、とてつもなく憎悪を含んだ目で一朗を見ていた。
「それで、椿は何にしたんだ?」
「……コレ」
そっと袋から取り出されたのは、FGガ○ダムだった。
「わ、私だって可愛いのがあると知ってれば!田崎が「初めてならコレ」だって言うから……」
椿的には、FGガン○ムは可愛くないらしく、ベアッ○イやプチッ○イを見せつけられたような、意地悪でFGガ○ダムを薦められた気分になっていた。……だが。
「イッちゃん、いい仕事するね!FGこそ、初心者が組むべきガン○ラ。自由の象徴たる逸品だよ」
「誰でも簡単に組めるからこそ、何処までも自由に弄り倒せる。誰もが一度は組むべきガン○ラだ。そのガ○プラは、いいものだ」
「え?え?……なんなんだ?」
「バッキー……もし、FGを「そんなの」とか言ってたら、二人とも、スッゲエ怒ってたぞ。……命拾いしたな」
そう、FGを「そんなの」と言ってしまった世界線では……
「で、俺っちはRGユニ○ーンの立像ver!ここ来たら、一度は買わなきゃだもんな!」
「……夕方までに、完成しないよな?」
「あ、今日は素人の面倒見るから作らねーよ。だから二人は、自分の世界に没頭してくれや」
「「こんなに嬉しい事はない!」」
かくして、ガン○ラ製作が始まった。
三十分後。
「だーかーら!説明書をよく見ろ!パーツの形と図を照らし合わせて、ランナーの番号確認すんの!あー!無理やりハメるな!折れる、!割れる!」
何故、製作難易度最弱のFGで、こうまで厳重注意をされるのか?……脳筋恐るべし。
「出来たー!説明書も解り易かったし、腕も足もよく動くし、ポーズもしっかりとれるんだー。自分で作ると、可愛さも倍増するね!……一人だけじゃ、淋しいよね?……もう一個買ってくる!」
「雀っち、優秀な生徒~」
一方、剣と梓は、黙々と作業に没入していた。
ゲートを残してランナーから切り離してからの二度切り。
更に僅かに残るゲート跡をカッターで削り、最小限のヤスリがけで整える。
パキッ。カチッ。シャシャッ。ザザッ。パチッ!
完全無言。だが、剣と梓にとっては、久々に味わう、心地の良い時間であった。
雀が二個目のプチッ○イ(アレ○ヤオレンジ)を買って戻って来た。それとほぼ同時に、椿のFGが組み上がった。
「ようやく……出来たぁ~」
完成と同時に、一朗がテーブルに突っ伏した。自分一人で組むより、数倍疲れたようだ。
「う~む。真っ白なので物足りないが、中々に格好いいではないか!流石は私だな!」
ゲート部分が抉れていたり、逆に余り過ぎてパーツの隙間が空いていたり、トレードマークのV字アンテナが欠けていたり……お世辞にもいい出来とは言えないが、元々キットのプロポーションは優れているし、ビルダーが満足したなら別にいいじゃん!……と、一朗は自分に言い聞かせ、突っ込まなかった。
完成したFGを梓に見てもらおうとして椿だったが、余りに真剣で集中していた為、声を掛ける事すら出来ず、その表情に見惚れて、だらしな~い笑顔を晒すのであった。
そして雀は、プ○ッガイの魅力に取り付かれていた。製作ペースは一体につき二十分も掛からず、次を選ぶ時間の方が長くなりさえする程である。剣達のように鬼気迫る集中はしていないが、ストレスフリーで心底ガン○ラ作りを楽しんでいた。
その様子が、ガ○ダムベースを訪れていた紳士なビルダー達の心をほっこりさせていたりしたのだが、本人は預かり知らない事である。
そして、三時間を過ぎた頃。
「ふう……完成した」
「ストライカーをセットして……終わり!」
完成したら、当然動かして遊ぶのがガン○ラだ。剣はフリー○ムをハイマットフルバーストモードに変形させてみると、感動にうち震えた。旧キットでは、出来なかったアクションだ!
梓もベアッ○イⅢにコミカルなポーズをさせて遊んでいる。足を広げて座らせたりとか、ベ○ッガイだからこそ、兵器ではないからこそ許されるポーズをとらせたりしている。ふと、集中していて気付いていなかった事に気付いた。
そこには、戯れるようなポーズで配置されているプ○ッガイ達が、六体。雀は現在進行形で、七体目を作っていた。
梓はそこに、そそっとベアッ○イⅢを並べてみた。
「あっ……映えるね、アズちゃん!」
「これは、破壊力抜群の可愛さ♪」
二人は、ガン○ラ仲間として、相互理解しあった。この瞬間、ニュー○イプだったりイノ○イターとかになっていた。
椿は……梓を眺めているうちにうたた寝していた。徹夜していたようなものだから無理もない。
「さてと、雀っちが七体目を完成させたら、今日はお開きな。いやいや、雀っちに布教が出来て満足したわー」
「……恥ずかしながら、楽しいね、ガン○ラ。もう、プチッ○イを全種類作りたくて仕方ないもの……」
「そして、自分だけのガ○プラが欲しくなり、塗装に手を出し、改造に手を出し……俺の言ってた事、今なら完全に理解出来るだろ?」
「うん!ガン○ムって、戦争の為のロボットだと思ってたけど、それだけじゃなく、ガン○ラは格好よくても、可愛くてもいいんだね。なんだか、とっても自由に遊んでいいんだ!」
「「「そう!ガン○ラは、自由だ!」」」
とってもアメイジングなセリフでこの場は締められた。
三代目最高。
次回からホームでバースデーになります。
今回程は、偏ったネタにならない……筈。
何気に、初めて三日連続投稿していた。
四日……いけるかな?
兎に角、謎のPV増加に怯えつつ、読んで下さった皆様に感謝します。そして、感謝します!




