109話目 海へ!
ここから何話かお待ちかね?水着回です。
基本、妄想全開の遊びエピソードです。
午前中から太陽が張り切りすぎ、気温が三十度を軽く越え、降り注ぐ太陽光線と、それを吸収して熱々となったアスファルトからの照り返しに苛まれながら、五台の原付が縦列となり、制限速度を遵守しながら目的地……海水浴場へと向かっていた。
その道すがら、水分補給と涼をとる為に、五台の原付は揃ってコンビニへと立ち寄ったのであった。
「ふうっ!汗かいた~」
「絶好の海日和……にしてもムレムレ」
翼と希がフルフェイスのヘルメットを外して徐に首を振ると、尾のように振り乱される髪と共に、玉のような汗がキラキラと舞い散った。二人は加えて当然のように、全身ライダースーツ(本日は白が基調色)のファスナーを腰の辺りまで一気に下げて、服に籠っていた熱気と湿気を解放した。つまりは当然、高一女子としては大変けしからなくも立派な膨らみも勢いよく存在を主張してくれやがるのであった。
既に水着を着用してはいるが。
「大胆だよな、お前ら……だがまぁ、少し意外ではあるけどもよ」
そんな感想を漏らした遥は、背中にドラゴンの刺繍がされたスカジャンにTシャツジーンズ姿の、昭和の定番的な単車スタイルである。
「なんつーか、もっと布面積少ないエロ水着を選ぶと思ってたんだが」
そう、双子の水着は……上下セパレートではあるが、所謂三角ビキニではなく、サーファーやダイバー等のマリンスポーツ向きな、ジョギング等のトレーニングウェアとしても普段使い可能な、半袖・ショートパンツ(膝上20センチ)タイプなのであった。因みに、二人ともお揃いのデザインであり、襟元から胸までスッポリ布で覆われている。黒地にシルバーのラインが入っているのが翼。ブルーのラインが希である。
遥のキャラを理解している素朴な疑問を受けて、双子は……ニヤリと笑みを浮かべた。
「ふふ……コレにはコレで、狙いがあるのだよ遥ちゃん」
「何も、露出するばかりが、エロスじゃないとゆう」
「……結局、エロ的な目論見はあるんかよ!」
こうして……翼と希が公序良俗に反しない(と、思われる)格好で女の魅力を無駄に放出する事で、駐車場で人目を引いている間に、剣と梓が人数分のスポーツドリンクをコンビニで購入して来たのであった。因みに梓はゆるふわなワンピースにデニムの上着を羽織り、剣は長袖Tシャツの上にアロハシャツを着ている。全員、事故に備えて長袖を着用しているのだった。
「お兄ちゃん、梓ちゃん、さんきゅ~♪」
「いやはや、生き返りますなぁ~」
双子はスポドリを受け取るや即座に、飲み込むどころか流し込む勢いでペットボトルを煽り、500ミリリットルの内容量を、僅か数秒で空にしたのであった。
「も少し大事に……ま、いいけどさ。確かに今日は真夏の暑さだからな……熱中症には気を付けないと」
「久々に原付でツーリングするのは楽しいんだけど~……ちょいと厳しい熱気だよね~。ついでに、つばぞみを見る周りの有象無象がのぼせまくっているから更に暑い!」
何処へ行っても何をしても、無駄に無意味に男性を魅了してしまう翼と希。特殊メイクでもしなければ隠しきれない魅惑的な容姿をしているが故、目立たないよう自重するより、敢えて惜し気もなく披露して、作為的に無作為に居合わせた男達をからかっているのだった。
「いつもながら質が悪いぞお前ら……まぁ、周りの連中も、たまたま運良く俺の妹の艶姿を目撃出来て幸せだろうが……それ以上を望もうってんなら……俺も自重とゆう概念を忘れざるを得ない訳だが……」
感情全てを取り払ったような表情で、あらゆる光を吸い込みそうな深淵の如き漆黒の瞳で、ゆる~りと周囲に視線を巡らせる剣。体感温度が四十度を越えそうな猛暑日でありながら、運悪く剣とガッチリ目が合ってしまった何人かの男達は、えもいわれぬ恐怖に震え、全身から冷や汗を噴き出して、夏の屋外とは思えないほどの涼を得たのであった……
「お前も過保護全開だな~……アネさん達は、そろそろ着いた頃なんかな?」
本日は五人だけでなく、他の姉妹とも全員で海水浴を楽しむのが目的なのである。原付免許を取り立ての双子が「海沿いを疾走したい!」と物申した為、原付班と、光の運転するワゴン班に別れて移動しているのであった。
「こっちは時速30迄しか出せないからな。しかし……こうして班分けして正解だったかもな」
「そうだねぇ。皆で電車でも良かったけど、つばぞみのアレは、あの人にはいきなりじゃ刺激が強すぎただろうしねぇ~」
揃って遠い目をする実質夫婦な二人。妊娠五ヶ月ともなり、お腹の膨らみが若干目立ち始めた光の大事をとって、もう一人ドライバーが同乗しているのだが、その彼の事を、二人は少々心配しているのであった。
「「海だー!」」
「う……海だ~……」
「実鳥義姉さん、律儀に付き合う必要ないから」
海水浴場近くに駐車するや否や、元気一杯にワゴン車から飛び出したのは、ビーチサンダルを履いた水着姿の少女と幼女、聖家の元気印である桜と燕である。続けて恥ずかしげに両腕を軽く突き上げて降車したのは、同様に水着姿の実鳥。そして、呆れながらの調子で小町が降りる……だが、既に水着である。こまたんも、しっかり浮かれているのであった!
「もー、ノリを合わせて下さってもいいですのに小町たま~♪海に着いたら「海だー!」叫ぶのはO・YA・KU・SO・KU!ではありませぬか!しかも……SYO・U・NA・N!の海ですぞ!ヲタにとってアウェイなリア充の巡礼地!別の季節であればいざ知らず……チャラ男とビッチの愛欲と性欲が渦巻き蔓延しているこのビーチ(SAKUTANの個人的偏見です)に堂々と踏み込むのです!そりゃもう、天井知らずにテンションが上がりましょうってものなのです!」
神奈川県、湘南周辺を舞台としているメジャーな漫画・アニメは少なくないのであるが、それでも夏、海の周辺は非オタのホームグラウンドであるとゆうイメージから、前世が非リア充なヒッキーヲタであった桜には縁遠い土地だったのである。
だがしかーし!美少女に転生し、美姉妹に囲まれ、転生魔法使いなイケメン兄まで有するリア充ヲタとなった桜にとって、最早、湘南の夏のビーチは、躊躇いなく突貫可能な聖地の一つとなったのである!
「てゆうかねぇ桜姉さん、その水着でよく、ヤング層メインのビーチに出る気になるわよね……無視しないだけ有り難く思ってほしいわ……」
「そうゆう小町たまも、年齢の割りにはセクシーで際どいチョイスだと思うのでありますよ。勿論よくお似合いでプリティではあるのですが、おにーさんはけしからんと物申したい!」
桜と小町、お互いがどんな水着を着ているかと言うと、小町は真紅の三角ビキニであり、アンダーはローライズで股上が浅く両サイドは紐が蝶々結びと……小学生にしてはかなり攻めている露出度の高い大胆な水着である。
それに対して、桜の水着は布面積では小町の十倍以上はある。形状としてはワンピースであるのだが……紺色一色である。そして、極めてピッチリと締め付けるように身体にフィットしていてボディラインが誤魔化しなく明らかにされる……要するにスクール水着である。しかも、胸の部分には御丁寧に四角い白い布が縫い付けられており、油性マジックで〝2の3 ひじり〟とまで明記されているのであった。更に捕捉すると、桜の通う放明中学校の指定水着とは別物である!
アダルトな雰囲気のビキニを選んだ小町と、別の意味でアダルトチックでマニアックなスク水をチョイスした桜。どちらにせよ、各々の性格がよく出ている水着姿であった。
「あははは~……私には、どっちの水着も着る勇気がないな~」
桜と小町が互いの意見をぶつけながら海へと歩む後ろ姿を、三歩下がって燕の手を引きながら歩く実鳥が、苦笑いを浮かべながら追随していた。
実鳥は二人に比べれば大人しめの、黄緑色のハイネックビキニである。トップスはフリルが層になっているフレアと呼称されるデザインとなっており、アンダーはキュロット状になっている。奇をてらっていない辺り、桜と小町より、よっぽど大人なのかもしれない。
「うーみっ!うーみっ!」
燕は小町と繋いだ手を大きく前後に振りながら、もう片方の手で腰に通した浮き輪を抱えている。肩や腰にフリルが沢山着いた可愛らしい水着である。が、白と青のカラーリングがそこはかとなく彼女の大好きなペンギンに見えなくもない……浮き輪には夏をイメージしてか、サングラスを装着してたり、かき氷を食べて頭痛に苦しんでいるようなファンキーなペンギンのイラストが多数プリントされているのは必然か……
妹達が一足先にビーチへ向かう中、光は車の運転席で一休みしていた。助手席に座る、婚約者の精神的ケアをしながら。
少し先の未来、光の夫になる予定の青年浅見 明良は、ここに来るまでの道中で、精神的にとても疲弊していたのであった……
「光さん……僕、剣君を心の底から、普遍的無意識の深淵に至りそうな領域から尊敬しました……女の子ばかりの空間って、とても……しんどかった……」
「……あの子達も、本当に悪気は無かったのよ?あと、剣は精神力が特殊に出来てて環境になるだけだから……比べる必要なんてないからね?」
「はは……あの姦しさに慣れるのに、どれだけの時間が掛かるのかなぁ?……まぁ、遠慮されていないのは、嬉しいんですけどね……」
明良の手に握られているアイマスクと、ワゴンから降車した時点で水着姿であった妹達……そこから車内で何があったかは……ほんの少しの想像力があれば、推して知るべし。
……とは言え、あまりに語らぬのも、女性との接点が少なく生きてきた明良の心労を理解するのに不充分であると思われるので、理由を多少明文化しておくとしよう。
当然、桜達は車内で脱衣したのである。そして一つ、正しい知識に基づく行為を彼女達は実行した。それは……〝日光を浴びてから日焼け止めを塗っても、直ぐには効果が発揮されない!〟とゆう事実。つまり、姉妹同士でクリームを塗りたくりあうとゆう、絵に描いたようなキャッキャウフフなサービスイベントが、目隠しされた背後1メートルに満たない空間で繰り広げられたのである……しかも、隣に妊娠中の婚約者が座っているとゆう状況で……だ。
明良とて男である。背後で「やんっ」とか「ひゃうっ」とか「あぁんっ」とか聞こえてくれば、それが未来の義妹だろうと、気にならない筈もないのだが、アイマスクを外して振り向きでもすれば、その瞬間、最愛の彼女の手によって、人生詰みになりかねないプレッシャー……簡単な説明ではあったが、明良の心労がお分かり戴けたであろうか?
「本当、翼と希がこっちじゃなくて良かったわ……あの子達のからかいは、明良くんにはレベルが高いから……合流する迄に、覚悟を固めておいてね……」
「勘弁して下さいよ……剣君、助けて~!」
海に到着したところ迄でした。
次回から本格的に遊びます。
今回のエピソードの為に、水着知識を付け焼き刃しました。
各キャラの性格に合わせてみたつもりですが、如何でしたでしょうか?




