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106話目 はるか防衛戦線!⑤

ユニークPVが10000越えました!

何も宣伝してないのに、一万人の目に触れたのか……なろうって、凄い。

読んで下さった全ての方に感謝を。

「大丈夫でありますか?都お姉さん」


「生まれて初めて……腰が抜けました……驚き過ぎたり、恥ずかし過ぎたりで、何がなんだか……ほ、本当に女の子……なんですよね?」


「はい!体はちゃんと女の子なのです!心の方はどっち付かずなので、男と女、どっちも恋愛対象なのであります!」


「そんなこと、訊いてません……」


「ですが、大事なことなので!」


桜なりに、思い込みの激しい視野狭窄な相手にどう対処するか考えた結果〝兎に角意表を突いて自分のペースに捲き込む〟事がベターではないかと思ったのである。これまでの都の様子を姉妹達からの報告から、ネガティブオーラを拡散していたかと思いきや、幸せ一杯に萌え崩れした気色悪い表情を見せたりするなど、瞬間的な感情の起伏が極端なのでは?と分析し、一気に畳み掛けてみたのであった。


そして、つい先程、都に対して言った〝見ちゃいけません!〟よりも明言化された恋愛価値観を発言した意図は、「同性愛に偏見ありませんよ?」と、理解を示す為であった。それで警戒心を解ければ儲けものなのである。発言前には、お子様が避難しているのを確認している。桜は一般人に気配りが出来る子だ!


「それはそうと、美しいお姉さんを地べたに腰砕けな状態で放置するのは、ボクの沽券に関わるのです……そんな訳で、少々セクハラ失礼致します」


「セク……?え、ちょ……」


桜は兄譲りの淀み無い動作で都の背中と膝下に腕を回すと、空のダンボールを持ち上げるかのように、都をお姫様扱いで抱えあげた。


「まあ、お茶でもしながら語り合いましょうであります!」


桜、渾身のイケメンスマイル!そう……桜は現在銀河級美少年を演じているのだ。ここまでのアブノーマルなやり取りを見聞きしていない、通りすがりの女性達が思わず頬を染めてしまうような、少女と見紛う(実際少女だけど)レベルの美少年に仕上がっている。都はそんなキラキラ王子様な微笑を、至近距離から逃げ場なく浴びてしまったのだった!


「……は、はい❤」


都は熱に浮かされ、この瞬間だけとはいえ、遥の事を忘れて桜に悩殺されてしまったのであった……


その様子を、都を追跡していた実鳥と小町は、見ていた!


「これって……桜ちゃんがあの人を……ナンパした?……って事になるのかなぁ?」


「ヤバイ……何をどう考えたら、アレを相手に、そんな発想に至れるのよ……女の子好きなのは知ってたけど……ストライクゾーンが球場より広いんじゃないの?」


「それは言い過ぎだよぉ……でも、平和的に解決できるなら、それがいいと思うけど……」


「……警察に厳重注意してもらえそうなだけの状況証拠はあるんだけどね……その方が、安心なんだけどな……」


二人は引き続き、こっそり追いかけるのであった。




桜は都と落ち着いて話す為、モールのメイン通路から離れた、トイレ傍の壁際に設置されたベンチに、都と横並びで腰を下ろした。だが、都の様子は落ち着くには程遠く、桜に対してドギマギしつつ。遥から遠ざけられ、見守れない事に不安になり、二重の意味で胸の鼓動を高鳴らせていた。


「え、えぇっと……あの、私……お姉さまを、守らないと……」


「それでしたらご安心を。あのデートはフェイクですので」


「フェイク?……嘘なの!?何の為に……」


「都お姉さんを誘き出す為だったのであります。今日、ここで遥義姉様がデートするという情報を、どのようにして掴んだのか覚えておいでですか?」


「それは……!?え?あれが既に?でも、どうしてそんな……?」


バイト先で、客として訪れていた翼と希の会話を耳に挟んだ事、その情報を元に、都は今ここにいる。だが、それが自分を誘き出す罠であったこと。そして、何故そんな罠を仕掛けられなければならなかったのか、都には全然理由が思い当たらなかった。しかし、ある一点に於いて、都にとって非常に有益な事実があった事が、思い込みの激しい彼女を急激にポジティブにさせたのである!


「あ、でもそれじゃ!あの男は偽彼氏って事ですよね?……良かったぁ~。可笑しいと思ったんですよぉ~。あんなスカした男がお姉さまに相手にして貰える訳がないんですからぁ~」


その時、都の頬を何かが掠め、耳のすぐ傍で、ドゴン!!と、何かが壁と激突し、強烈な轟音を響かせた。


「今、なんと言いやがりましたですか?」


声のトーンはあくまで明るく。しかし、発せられる言霊からは冷気と重厚感が……都がゆっくりと、冷や汗を垂らしながら首を九十度横に捻ると、そこにはダークな顔色でニコニコ笑顔とゆう名状し難い表情で、殺意と怒りを堪えている桜の姿が……壁に撃ち付けられたのは彼女の拳。その壁に直接打突された小指部分は、皮が割け、血に濡れていた……


桜は今、宇宙一敬愛している兄を馬鹿にされ、堪忍袋の緒が、ギリギリ糸一本分を残してブチギレ寸前状態である!


「あ……れ?私、何か失礼な事を?……は!?私としたことが、なんたる失言を……ごめんなさい!」


しゅう~と萎む桜の憤怒。現世年齢の三倍は人生経験があるので、そこらのキレやすい若者とは違うのである。


「内心どう思っていようと、あんなチャラ男とでも楽しんでいるフリが出来るお姉さまは、素晴らしく優しい御方ですよね!」


「そうそう、遥義姉様の御心は、フェアリーの如く清らかで美しい外見に優るとも劣らず……ではあるけども!ボクが怒ったのはソコちゃうわ!知ったかぶりで、ボクの尊敬する兄様をコケにしてくれてんじゃねぇ!であります!」


「お兄さん?あの男……人が?きゃあっ!?」


背中から羽交い締めにされ、関節を極められベンチに横倒しにされた都は、逃れようと必死にもがくが、きっちり固められた関節は動かせず、伸びきった筋肉には激痛が走る!


「い、痛い!痛いってば!切れちゃう!筋肉裂けちゃう!ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!許してぇ~!本当に痛いのぉ~!」


「簡単には赦さぬぅ!奇妙な冒険の敵キャラみたいに、再起不能(リタイア)させて、連載中に再登場不能の罰を与えてやるのでありますぅ~!」


ありとあらゆる間接技を、とっかえひっかえ繰り出す桜。上手い具合に一般客が近くに来ないが、都の着衣は乱れに乱れ、下着が見えるは、はだけるわ……光源不明の白光や、自主規制君が出現するギリギリな状態となっている。人通りが少ない場所柄と、監視カメラには翼達が細工をしているので、都の社会的地位は保護されていたりはするのだが……


「……御愁傷様。桜姉さんの前で兄さんを悪く言うとか……運が無かったね、あの人」


「うわ……あれ、絶対痛いよ……これ、計画の内なのかな?桜ちゃん……暴走してたりしないのかな?」


妹達は、しっかり見ていた!


そして、聖家ワゴン車内では……


「流石は桜。変態相手に理解を示して、心の隙間ににゅるり込むとは、私には解っていても無理だった。キモいから」


「そこまでは見事だったけど、お兄ちゃんへの罵詈雑言で、全部チャラにするとか……気持ちは解る!もっとやれ!」


双子は、綿密に何パターンも考えていた計画を、全て放棄して成りゆきに任せる事にしていた。寧ろ、二人もお兄ちゃん大好きっ子なので、モニター越しに桜へエールを贈っていた。


「ま、責任は桜に押し付け決定で」


「もう一枚、切り札あるしね」




「うっわぁ……そろそろ止めさせないと」


「流石に、人に気付かれてきたね……」


如何に監視カメラを誤魔化していても、どったんばったんしていれば、通行人には誤魔化しようもなく、遠巻きにベンチの上でレスリングしている少女達の様子を伺う人々が現れはじめていた。撮影されるのは阻止しなければ!小町と実鳥が野次馬から桜を守ろうと身を乗り出そうとした、その時……


「ここは、お姉さんに任せてもらおっかな?こまたん、それでなんだけど……アレ、持ってたら貸してくれない?」


そこには、フォーマルなレディススーツを纏い、優秀なOLか女教師さながらにキメた、シスター02が、遂に表れたのであった!


「は、はい。どうぞ……」


「持ってきてたの!?……何処に?」


小町が何処からともなく取りい出したるは伝家の宝刀――ハリセンである。何処に?とか、疑問に思ってはならない!必要とあらば何処にでも現れる……それがハリセンだ!


「ありがと。それじゃ……いってきます!」


一閃。ハイヒールを軸にしての回転薙ぎ払いが、桜の額に炸裂した。


「わだあっ!?」


大袈裟な叫びを上げ、オーバーリアクション気味に、揉んどりうって転がる桜。漸く芸術的サブミッションの数々から解放された都は、トホホな泣き顔で救い主に頭を垂れた。


「あの……ありがとう……ございました」


「いやいや、それはまだ早いなぁ。……今から、お説教タイムだからねぇ~」


そう……梓もその目で、その耳で、全部見聞きしていたのである!ハリセンで肩をトントンしながら、笑っているのに暗い表情で都を見下す姿に、先程の桜がデジャヴり、都は心底恐怖したのであった……


「ハイ!周りの皆さんも見せ物じゃありませんからね、撤収撤収!それとも……半裸の少女を盗撮している性犯罪者がいると、警備員でもお呼びしますか?」


大して強い動機があった訳でもない野次馬達は、梓の脅しに詰まらなそうな顔をして散っていった。そして、梓の台詞に自身がどんな格好になっているかを気付かされ、都は恥ずかしそうに衣服を正したのであった……


「あ……梓姉様~……お見事な龍巻○だったのであります~。おでこがジンジンするのです……」


「さっちゃん。痛い程気持ちは解るけどね!暴力は時と場所を弁えて、だよ!」


「いや、ソコは〝駄目、絶対!〟でしょ?」


思わず突っ込みを入れに来ちゃったロリギャルこまちゃん。


「暴力が生み出す憎しみの連鎖……醜さの極み」


思い出したように設定に準じる闇の使徒・ヴェルディーネこと、実鳥。すんごく頑張ってる!


「さっちゃん……どりりんに謝って」


「この懸命さに萌えませぬか?」


「私には憐れとしか言えないよ……泣けてくるよ……」


「……笑って下さい。泣かれるよりずっといいです……」


目前で繰り広げられる姉妹カルテットなやり取りに困惑する都。なにしろ、女教師・男装女子・痛女・ロリギャルな見た目の、ちぐはぐな四人なのだから……だが、それ以上に大いなる疑問が頭の中で渦巻いていた。


「皆、遥お姉さまの……姉妹?」







案の定終わりませんでした!

次回こそ今シリーズラストにします!

……自分の作品とは関係ありませんが、読者の皆様もご存知であろう事件に、とてもやるせない気分です……悲しい……悔しい……何故、こんなことが……


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