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102話目 はるか防衛戦線!①

おふざけモード入りま~す!

「どうして、こんなことになってしまったんだろう……」


そう呟くのは、金髪ツインテールにピンク主体のゴスロリ・ミニスカ・ノースリーブを纏って二の腕と太股を露にしている童顔の美少女……これに猫耳カチューシャが装備されていれば究極的なコーディネートと言っても過言ではない、ハルにゃん半歩手前の遥であった。


そんな、少々世を儚むような乾いた笑いを浮かべる遥の隣には、着崩した白Yシャツにダメージジーンズ。大きめレンズのサングラスでニヒル(?)な雰囲気を演出している、引き締まった身体をしている少年がいた。傍目には美男子と美少女であるので、大半の他人からはカップルとして認識されているのであろうが……彼は当然、遥ちゃんの義兄である剣くんであった。


二人は現在、都内某所のショッピングモールの散策中である。平たく言えば、誤魔化しようもなく、デート中である。……これまた当然、偽装デートであるが。


遥が陰りのある表情をしているのに気付き、剣が遥にこっそり忠告した。


「仕方無いだろう?開き直れ。そうゆう作戦だろう?」


……耳元で、囁くように。必然的に、言葉と共に剣の吐息が遥の耳を撫でた。


「ひゃうっ!?」


……とても可愛らしい叫びを漏らした遥に、「初々しいなぁ……」と、行きずりの恋人達が生暖かくも、優しげな微笑みを浮かべていたりして……遥は今すぐにでも、全力疾走で逃亡したい気持ちで一杯だった!


どうしてこんな事をしているのか?その理由は、数日前に遡る……




それは、日毎に帰宅した遥が疲れ(憑かれ)きっている事に、家族の誰もが勘づいた事が起点となった。


遥が疲労を溜め続ける理由、それは高校の後輩にして、今やバイト先でも後輩となった、春乃宮都こと、みやみゃーによる病的な求愛行動による精神的なダメージの蓄積である。現状、遥が病みそうになってる以外、肉体的・物理的な被害は皆無であるのだが……


「駄目でしょ!遥義姉さんが実際に悩んでるんだから……早急になんとかしないと!」


姉妹一の正義ちゃんである小町の一言により、聖家の最高意思決定機関〝姉妹会議+1〟が開催される運びとなったのである。尚、+1は……当っ然!剣である。家庭の最高意思決定機関であるのに、両親に参加権も発言権も無いのはご愛嬌である!


そして、会議は会議室で重苦しい雰囲気で……ではなく、リビングのテーブル上にお菓子を広げ、ソファーに思い思いの格好で身体を沈めて寛ぎながら、リラックスしたムードで始まった。


「ええっとぉ……それじゃあ始めに、翼、希。強化した警備システムには、これといった異常はないのよね?」


「問題無く。ホシが監視カメラに映った形跡は無い」


「他にも、不審人物は確認出来ず」


以前遥が剣に相談した際に提案されていた通り、既に聖家のセキュリティは強化済みであった。監視カメラの性能アップに数量増加。ご近所ネットワークへの情報共有と注意促し。敷地外周の塀の上には保護色に塗装した有刺鉄線を設置……等である。


「ちょっ……ソレ聞いてないんですけど!」


知らされていなかった小町が驚きの声をあげた。ハブられていた気分のようで、面白くないみたいである。


「ま、落ち着けって小町。ウチの姉妹がストーカーされるのは宿命とか運命みたいなもんだから、なんにせよ警備強化は必要だったんだって」


そして、光すら知らない真実も存在する。剣は京都でのいざこざの末、家族全員への身辺警護をゲットしてきたのである。それも無料で。現在剣の姉妹達は、一般人に紛れている陰陽師やその関係者に護衛されている状態なのである。無料で。


「寧ろ当然と言うか、遅かったくらいじゃない?お姉ちゃんのモデル時代とか、つばぞみも濃いファンがいるし、さっちゃんだってイベントでマナーのなってないローアングラーに狙われたりするし……変なのに好かれるのは我が家の伝統みたいなものだもの。どりりんもこまたんも、明日は我が身になるかもしれないよ~?」


不敵な笑みを浮かべ、恋愛経験値ゼロの妹達に、からかい半分の忠告を贈った梓。流石は現在進行形で変態に好かれているだけあって、言葉に実感が籠って説得力が溢れている。


「や……やだなぁ梓さん……私なんかを、そんな病的に好きになる人なんて、いないですよ……」


「私は……逆恨みでストーキングされる心当たりは……あるかも……もっと警備レベルを上げよう!」


小町は憤っていたことも忘れる程に、危機感を煽られた。まっすぐで正しいと思った事を貫く性格が災いし、学校で不真面目な男子生徒等と度々衝突する事があり、その度に正論で打ち負かしてはいるのだが……それで逆恨みされている自覚は、あったのである。


「小町。家のセキュリティは一般家庭よりもずっと高度になっているから……まあ、本題に戻りましょう。どうやら、その都って娘には、まだ家まで尾行されてないって認識でいいかしら?」


「うん。私達がカメラの録画を確認した限りでは」


「少なくとも、ここ二週間ぐらい、本人が来た形跡はゼロ」


双子はバンドの打ち合わせや練習帰りに『29Q』を利用している為、都と面識がある。双子から見た都、みやみゃーの印象は、「ガチでヤベェ奴」であった。


一応、メイドの仕事は不慣れながらもこなしているのだが、常に遥……ハルにゃんを意識していて、ハルにゃんをずっと目で追いかけていて、熱に浮かされたようにボーッと見つめていたり。ハルにゃんが御主人様の要望に応えて萌え萌えなポーズをすると、ハァハァ息を荒げて口から唾液を垂らしていたり。双子がハルにゃんを呼ぶと、何故か背後霊のように憑いてきたり……そんな事がある度に青冷めているハルにゃんを見て「先輩ったら照れちゃって……素敵です❤」みたいな超ポジティブ解釈をしたりする……「お願いですから精神科でカウンセリング受けてください!」級の危険恋愛脳なデンジャラスガールなのだ!


そういった説明を双子が姉妹達に報告する中、遥は虚ろな目でポテチを咥えて固まっていた。パリパリだったポテトが、唾液を吸って萎れるぐらいに、動きを止めていた……


「お姉ちゃん……その人の事、そんなに苦手なんだ……」


実妹(実鳥)の言葉が聞こえたのか、遥の瞳に若干の光が射した。


「苦手と言うか……苦手なんだけども……嫌いと言うよりかは……怖い。同じ日本人な筈なのに、言葉が、気持ちが通じないんだ……どうするのが最善なのか、全く判らねぇ……」


本当に恐怖を感じているらしく、遥は喋りながら小刻みに震えている。そろそろ耐えるのも限界に近かった様子で、小町が騒ぎたてたのは、タイミング的に悪くなかったようだ。


「う~ん……ねぇ遥、いっその事、試しにその娘と付き合ってみちゃうってのは……どうなの?」


光の口から飛び出してきたトンデモ提案に、遥は全身総毛立て身震い速度を二割上昇させた!


「無いっす!いくらアネさんの御意見でも、そればかりは受け入れられません!自分、百合属性ありませんから!」


「そお?受け入れちゃえば、案外可愛いかもしれないわよ?」


「マジで止めてくださいよ!狂気を感じる程の変態なんですよ!試したらクーリングオフ出来ないんですから!」


遥にしてみれば、通りすがりに恩を着せる気もなく助けてしまっただけで、チョロイン宜しく惚れられてしまった訳である。なのであるから、お試し恋人期間なんぞを自ら提案しようものなら、これ幸いにと、ラブアピールが二朗系バリにマシマシするのは……考えるまでも無い!


「しかしなぁ、遥。変態の趣味嗜好は、そう簡単には変わらないぞ?それこそ、前に俺が進言した物理的説得(拷問・脅迫)でもしないと一朝一夕にはなぁ……それは精神衛生的に駄目なんだろ?」


「当然だろ!……曲がりなりにも、家族なんだぞ。別のストレスで胃に穴が空くわ」


「しかし、アレもコレも駄目じゃなぁ……単純に、実は彼氏がいるとでも嘘吐いてみるか?」


「そんなの、それこそ証拠を見せなきゃ納得させようが無ぇだろ?アタシに、そんな面倒事を引き受けてくれるダチなんている訳が無ぇだろがよ」


姉妹達の視線が遥に集まった後、その視線がつい~っと、剣へと移ろった。


「遥義姉様……面倒事を引き受けてくれる方なら、捜す必要もなく、ここに居られますが?……とてもベタベタなパターンではありますが、他に妙案もありませんので……偽装カップル作戦なのであります!」


くるくるっとターンを極め、右手は天を指差し、左手を腰に構えたポーズで、ラブコメ定番イベントの開始を、桜は楽しそうに宣言した!


「ちょ……待て!アタシが剣と?……も、もちょっと代案を考えさせて……」


断固拒否したい遥であったが……こんな(面白い)シチュエーションを、黙って流せない姉妹達に、遥はあっさり取り囲まれた!


「はるる~ん!洋服のコーディネートは私に任せてね~。とびっきり可愛いのを用意してあげるから~!」


「メイクはボクが担当するのであります!コスプレで鍛えたこの腕で、遥義姉様のロリ顔を、非オタの紳士淑女でも萌え萌えになる美少女にしてみせるのであります!」


「乙女に相応しい姿勢・立ち振舞いは私達が仕込む」


「言葉遣いも監修する」


正に、四面楚歌。四方を囲まれ、遥は何処にも逃げられない!


不敵に「フフフ……」と笑いを溢しながら躙り寄って来る四人を前に、遥は涙目で助けを求めた!


「み、実鳥!小町!助けてぇ~!」


だが、その助けを求める願いは……叶わなかった。


「お姉ちゃん……ゴメン!私、お姉ちゃんには可愛い格好してみてほしいの!」


実の妹、裏切る!


「ま、まぁ、その……ありがちな作戦だけれど、成功率を上げるには……我慢も必要かと……諦めて!」


小町も、姉達相手に無謀な戦いは挑めなかった!綺麗な服を着せられて、可愛くメイクされて、素敵な立ち振舞いをレッスンされて……「うん!マイナスどころか至れり尽くせりだよね!」小町は自身の内で、自分をそう納得させたのであった!


そうして、遥は姉妹の手により魔改造されたのであった……




そして現在、アイドルと見紛うばかりのルックスへと変貌を遂げた遥は、彼氏がいるものだとストーカーに誤認させる為、偽装彼氏に扮した剣と共に、偽装デートをしているのであった。


「……しかしなぁ、ここまで外見変えたら、アイツが私だと思わないんじゃないか?」


本日、ここでデートをしている情報は、双子から然り気無くみやみゃーへとリークされている。その時の様子を双子は「虚ろな目で笑ってたし」「なんか、スタ○ドっぽい何かが出てた」とかマジな顔で語っていた。


「梓が言うには、「恋する乙女はその程度簡単に見抜く」……そうだけどな。ま、何してこようと俺が傍にあれば心配ないだろ。俺達は作戦どおり、普通にデートを装う事にしよう」


そう、剣と遥は、春乃宮都を誘き出す為の囮なのである。都が何らかのアクションを起こした場合、それを現行犯で押さえる為に、姉妹総出で周囲に非常線を張っているのだ!


そして、剣と遥がモール内を暫く散策していると、剣のスマホに翼からのメールが着信した。


《ホシがモールに到着。これより、シスター08が尾行を開始する》


こうして、遥の悩みを解消すべく、聖家姉妹の総力を投入した〝はるか防衛戦線〟が開始されたのであった!




さて……このシリーズ何話かかるかなぁ?

これ終わったら本編は七月に入るつもりです。

さて……シスター08に、どんな格好させよかな?

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